第13話 777

「はあ……」


 エンマ様は左手で頭を抱え、溜息を漏らした。


「とんでもない悩みの種が来たものだ。いつまで、こんな茶番を続けなければならないのか……」


 こう愚痴ぐちるのには訳があった。エンマ様は裁判所に来た銀次に対して、全く同じセリフ、行動を繰り返し続けているからだ。それに対して、銀次も負けじと大当たりと同じ願いを繰り返し続けている。


「元気だった頃に戻してくれ」


 銀次は願い通り、現世で睡眠を取っていた元気だった頃に戻り、そして急性アルコール中毒でポックリとあの世に行くという抜け出せないループの輪の中にいる。


 今回の大当たりで遂に777回目。



 ――スリーセブンもの虚無きょむな繰り返し。



「全く、しぶとい。少しは殊勝しゅしょうなことを言えば、天国モードに突入できるのに……。だが、反省の色無しでは、こちらも――」


 エンマ様は閻王庁の裁判官の誇りにかけて、銀次との根競こんくらべ勝負をひたすら続けている。


 銀次を駄目人間のまま、天国に行かせてなるか、との一心で――。

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