第11話 いきかえり

「よっしゃあ――」


 銀玉は興奮の坩堝るつぼと化しながら、台の内部の玉排出装置にてウイニングランを開始していた。


「パチン!」


 そんな時、銀次の耳にエンマ様の指パッチン音が入ってきた。すると、銀次はいつの間にか人の姿に戻り、元の証言台の前に立っていた。その突然ぶりに驚きつつも、銀次はパチンコ台へと視線を向けた。


 前方のパチンコ台の液晶は、レインボー柄のプレミアム演出が発生していた。


 つまり、大当たり確定。


 どうやら、無事助かったと銀次はほっと一息をついた。


「パチ、パチ、パチーー」


 エンマ様は銀次に拍手を送った。コングラチュレーションズ、と奮闘した銀次に敬意を払うが如く。


「いやあ、それほどでも……」


「照れなくてもいいぞ、大したものだ。しかも、見事に確変大当たりを引いたな」


 エンマ様の言葉を聞き、銀次はパチンコ台を見やった。台の液晶では、確かに七図柄が揃っていた。


「サービス、サービス! ……というわけで、特別に願いを一つ叶えてやる」


「マジで⁉ じゃあ、俺を生き返らせてくれ。まだ、やりたいことが山ほどあるんだ。元気だった頃に戻してくれ。頼むよ」


 銀次は両手を合わせ、ヘラヘラ笑顔でエンマ様に軽く会釈えしゃくをした。やりたいことなんて低俗なものだと、誰でも容易く分かる有り様だった。


「元気だった頃に戻せばいいんだな?」


「ああ」


「分かった……。ただし、ここでの記憶は現世に持ち込み禁止だから、完全に消させてもらうぞ。では、達者で」


 エンマ様は力強い指パッチンをならした。すると、銀次の体は一瞬で消えていった。銀次の魂は、現世の銀次の体へと戻っていったのだ。

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