第二話
私はテレビのリモコンを手に取ると、電源を入れた。テレビではちょうど、ニュースをやっていた。
「……では次のニュースです。今朝、七時頃、K区の路上で女性の遺体が発見されました。
警察によると亡くなったのは都内の女子高に通う、
そして同時に被害者の顔写真が映し出された。おそらく中学の卒業アルバムの写真だろう。
井口君は感想を
「あーあ、女子高生かー。まだ若いのに……」
私も、ため
「そうだね。まだまだ、これからだろうに……」
そして私は立ち上がった。
「それじゃあ、仕事に戻ろうかな」
「あれ、もう
「ああ、ちょっとアイディアが浮かんでね」
「それじゃあ、がんばってください」
「ああ」と私は自分の部屋へ戻った。デスクトップパソコンの前に座ると私はうつむき、両手を強く
三時間後。私は更に五枚の原稿を書き、印刷した。それを持ってリビングへ行き、井口君に渡した。ちょうどいい温度になったからか、井口君は長袖のシャツを脱いでいた。左腕には
「井口君、原稿は出来たよ。それともう三時過ぎだ。私は昼食を取らせてもらうよ」
「はい、では原稿を
「ああ、構わんよ。いつもの灰皿は、テーブルの上にあるだろう?」
井口君は
「はい、では
私は冷蔵庫からキャベツ、ニンジン、豚肉を取り出してフライパンで炒めて、肉入り野菜炒めを作った。そして井口君に聞いてみた。
「君も食べるかい?」
井口君は、原稿をカバンに入れながら答えた。
「いえ、いつも通り会社に戻る途中で食べていきます。それよりも良い原稿ですよ、今回は、これで行きましょう!」
「ああ、そうしてくれ」
「ああ、市村先生、短編はこれで良いんですが長編の推理小説は、どうなっていますか? ちゃんと進んでいますか?」
私は少し考えてから、答えた。
「ああ、まあね。トリックも、あらすじも
「そうですか。では今度は、それをチェックしにきますから、お願いします」
私は笑顔で答えた。
「ああ、分かったよ」
「それでは今日は、これで失礼します。お疲れさまでした」
「はい、お疲れさん」と井口君が帰ると私は、遅い昼食を取った。食後にタバコを一本吸うと私は、スマホを手に取った。
私は
「ええと、スマホの電話帳には無いか……。と、なると……」と、つぶやくと部屋へ行き机の引き出しから、
『はい、こちら警視庁・科学捜査研究所です』
『私は市村
少し
『ええと、永山ですか? 少々お待ちください』と、電話の
『はい、永山ですが?』
私は聞いた。
『永山か? 俺は市村健吾だ。憶えているか?』
『市村か? 久しぶりだな。高校の同窓会以来か?』
『そうだ。二十年くらいか』
『でさあ、取りあえず研究主任はやめてくれよ。今は研究員副主幹なんだ。受付の女の子が戸惑っていたぞ』
私は
『悪い、出世したのか。名刺の肩書も二十年前だからな』
『そういうことだ。で、何の用だ? 急に?』
『ああ、それなんだが今日、女子高生が殺されて見つかったっていうニュースが流れたろう?』
永山は普通に答えた。
『ああ、部下が担当しているよ』
『本当か?! なあ、どんなことが分かったんだ?!』
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