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修を呼ぶ鈴の声が聞こえる。修の胸に鼓動のように響いている。鈴を捜そうと車に乗ると、エンジンをかけている間に助手席のドアが開いて、亜紀も乗り込んできた。
「わたしも連れてってよ」
『薔薇園』ナンバーワンの華麗な微笑みと香りを振りまく。
「降りんねよ」
と言う修の左腕を亜紀は胸に引き寄せ、
「ねえ、しゅう」
「離さんね」
「連れてってくれんなら、死んでも離さん」
甘えた声で告げて、修の腕を胸のふくらみに押し当てる。
修はプロの技に恐れ入って、
「連れて行くけん、離して」
峠を下り、朝陽に向かってアクセルを踏み込んだ。豆津橋を渡って左に折れ、裏道を通り、いつも通り水天宮下の河原へ行ってみた。
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