届け!交換日記
まさき博人
NO1/始まり、始まり
ケンジ1970年昭和45年2月13日(金)
1953年昭和28年1月23日生まれ
書き始めた年齢 17歳3/4ヵ月
私の日記
日記のあけぼの
今日から書く私の日記。これから後何年つづくかわからない。三日かも知れないし、一生つづくかも知れない。とにかく、その日の風まかせの気まぐれ日記である。
さて今日は、私が、タケとヨシブーの影響を多分にふくみながら、また自ら日記を書こうとした記念の日である。この本は昨日買ったのだが、昨日は書き始めなかった。理由はなし。(ちょっと眠かったからかな)。今日からは毎日、私の好きなことを書くつもりである。
!やる。言うべきことは言う。続ける。
ヒロト2022年令和4年1月23日(日)
クリハラケンジ君
高校1、2年生の 時の同級生、ヒロトです。
ケンジ、お前が俺と同じ69歳になる筈だった今日から、この日記を書く。
そう、お前は、令和3年8月11日に膵臓癌で亡くなったんだよ。
17歳のケンジに告げるのはつらい。
前年の9月、警備の仕事で度々滞在した小笠原母島にいる時に、体の異変を感じ、本土に戻って検査を受けたんだ。
余命4ヵ月、末期の膵臓癌だった。
お前はそれをヨシヒロに話した。ヨシヒロは俺たち2Cクラス会全員にメールを流し、リモートでケンジを励まそうということになった。スマホの画面のお前は、2年前にやったクラス会の時と変わらなかった。
お前は頑張った。つらい治療も受けて戦った。俺たちもクラス会ライングループを立ち上げて、ラインでお前を励ました。
そのことについては追々書いていこうと思う。
ケンジ1970年昭和45年2月14日(土)
今日もまた書けた。またよろこばしからずや。
2月14日、今日何としても書かねばならないのはバレンタインデーの、女の子からのプレゼントを初めて受け取ったことである。私にチョコレートをプレゼントしてくれたのは、何と思いがけなく同じクラスのT・Kさんだった。
私は前に一度、ある女の子からのバレンタインのプレゼントを返したことがあった。その時の経験がばかに苦かったので、今度は受け取った。しかし、今度も相当の心理の抵抗を感じた。私は柄に似合わず、神経質なところがあるので、どうも深く考え過ぎて、受け取るのが悪いような感じになる。
しかし、私は、リラックスして、ドライにいこうと思い、喜んでプレゼントを受け取った。。今でもまだ心のどこかに何か抵抗を感じるが、決して誤った判断ではなかったと、私は確信している。
それはそうと、私のようなふつつかな男にプレゼントしてくださったT・Kさんには、本当に「ありがとう」の一言だけである。これからも自然にいこうと思う。また妹の友人の女の子からプレゼントをもらったことに対しても「ありがとう」でした。
まぁそんなわけで今日はいろいろと神経を使った。今後はアッサリと進むように心掛けたい。以上。
!男らしくアッサリと行こう。
ヒロト2022年令和4年1月24日(月)
T・Kさんか。
パッと浮かばなかったので、ヨシヒロがメールで送ってくれたクラス名簿を見てみた。
名字がKの人は3人、名前がTの人はひとり、わかりました。なるほど。
真面目で清楚な感じ、頭も良かったんじゃないかな。今、少しはにかんだ笑顔が目の奥に浮かびました。いいね、良かったね。
バレンタインのチョコと言えば、俺にもちょっとした思い出がある。モテ自慢じゃないかって言わないで聞いて欲しい。
高校3年のバレンタインデーの前日に家に電話があって、2年の女の子だったんだけど、「明日のお昼休みに、第2校舎の一番上の階段踊り場に来て欲しい。」って、なんかもうひとり電話のそばにいるらしくて、キャッキャしてた。当日の昼休み、俺はオサム、シブヤ、ヨシイケら、軽音楽やってる連中の演奏で気持ちよく歌ってたりして、わかってはいたんだけど行かなかった。
すると二日後位かな、当時の郵便小荷物で、無造作に茶色い紙にくるまれたものが届いたんだ。開けてみると、丸いプラスチックの容器に入ったチョコレート。蓋がちょうどイナヅマのような形で割れていた。ちょっと怖かった。
しばらく放って置いたチョコレートは、「あんたいらないみたいだからわたしが食べる。」って、全部姉に食べられた。
ケンジ1970年昭和45年2月16日(月)
今日もまた書けた。いとよろこばしからずや。
今日は放課後、真面目に教室の掃除をやった。そのために、学校を出るのが少し遅れた。まあそのくらいならばよかったのだが、帰りに数人の達と帰ったので、また遅くなり電車に間に合いそうになかったので、達の誘いで南口の本屋とパチンコ屋へ行った。私はプロレス狂のナガマツと行動を共にしたので、プロレス雑誌の立ち読みで思ったより多く時間をつぶしてしまった。その後、ナガマツとパチンコ屋へ行った。しかし私は、外でナガマツのカバンを持って待っていた。その時の不安なことといったら、まことに凄まじきものだった。何しろ近所には、BARやパチンコ屋がたくさんある。非常に環境の悪い所なので、向こうから警察官が来た時などは、呼び止められはしないかとひやひやしていた。その上、近所の柄の悪いスピッツのような犬に吠えられて、また肝を冷やした。今考えると本当に時間がもったいなかった。どうせ行くならパチンコでも何でもやれば良かったと思う。しかし、パチンコ屋に入る気がしなかったのも事実である。昨日タケと行ってアッサリとすってしまったのが、そういう気を起こさせたのだろう。
しかし、私は家に帰って来て、本当にやらないで良かったと思う。その理由の一つには、何とその時はサイフを持っていなかったのである。もしもサイフを持っているつもりでパチンコ屋に入れば、達に金を借りてまでやっていたろう。
ヒロト2022年令和4年1月29日(土)
今日は、うれしい知らせがあったよ。
ケンジの大親友、ヨシヒロは、実は20日から入院しているんだ。
喉と食道に、いくつかの癌が見つかって内視鏡手術を受けるためなんだ。
お前を励ますために立ち上げたクラスラインに、さっきヨシヒロから書き込みがあった。
無事2回の手術が終わり、明後日退院だって。『良かった😂』の返信やスタンプが続々送られて来た。本当に良かった。
退院祝いで集まりたいところだけど、例によって新型コロナ。オミクロン株ってヤツが猛威をふるって、昨日は東京都で17631人、全国で81738人、ものすごいことになってるよ。もっともっと増えそう、恐ろしい。
ケンジの入院の時も、すでに面会が出来なかったね。今度はお前がどっかから俺たちのことを見守ってくれ!
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