世界一の被害者
『世界一の被害者』
引かなくなったアイシャドウ 代わりに隈は濃くなって
割れたままのファンデと 減らないワンデーコンタクト
お願い踏切、あと少しだけ せめてこの曲が終わるまで
お願い信号、ここに留めて むこうに一日が待っている
ブルーライトカットの黄ばんだ朝日と
やけに湿った青白い月面に見下ろされ
一度使い切ったこの世界で 誰かの使い捨てをなぞって
誰もが誰かの代替品で 毎日律義に首輪をつけて
時間は転がり落ちてゆく
胃液が歯に沁みる 口を拭ういつかの遊園地の紙ナプキン
ああ、歯が浮くような 甘い過日に胸焼けがする
酸性の涙に腐食する心
融けてくれれば消えてしまえるのに
神様から借りパクしたこの身体も
舌剥く前で 下向くくわたし
溜息で人が殺せたら 今ごろ私は殺人鬼
顔面に貼り付けた 一日の死体を引き剥がして
ふぬふぬの布団にくるまる 世界一の被害者
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