大切な友だち

バブみ道日丿宮組

お題:とんでもないハゲ 制限時間:15分

大切な友だち

 よく晴れた日の集合には友だちが大いに役立つ。

「いたいた」

 友だちはハゲと言うか坊主。ワックスで磨いてるんじゃないかという反射率を会得してる。太陽が2つあるんじゃないかって思うね。

 必然として、近くに立つものは少ない。皆眩しい。

 無論、友だちに近づいてってる私も眩しい。一刻もはやく帽子をかぶってもらいたい。

「待った?」

「30分ほどな」

「そこは待ってないって言わない、普通?」

「ウソを付くのはいけないと親にしつけられたのでな」

 友だちは正直者だ。きちんとしつけられたことを守る忠犬のような存在でもある。人を裏切らないし、約束を守る。そして誰にでも優しくて、誰にでも厳しい。

 そんな友だちのまわりには自然と多くの友だちが集まった。

 私もその一人だ。

 ちなみに友だちは女性だ。私は男性。

「眩しいから、帽子かぶってね」

「まだ、あいつが来てないじゃないか」

 それまで私を眩しいままにしておくというのか。あいつは時間ぴったりにしかこない。あと10分は待つことになるのだけど……。

 なんとなく重くなった雰囲気を察したのか、「まぁいいか」と友だちは帽子をかぶった。光は一瞬にして、沈黙。いや……普通の世界に戻った。

 帽子をかぶった友だちは、坊主と思えない可愛さを持ってる。ナンパ防止のための坊主ということらしいが、すごくもったいない。身体つきもしっかりと出てるところは出てるし、性癖もおかしなところはない。おすすめできる人間だ。

 とはいえ、へんな人たちには紹介したくない。

 普通にいい人を紹介したい。

 ちなみに友だちをナンパできる状態というのが帽子をかぶったときでしかなく(第二の太陽光のため、なくても坊主は評価されないらしい)、必然として私たちが側にいることになる。

 男と女。後からくるのは女。

 そのペアでいるならば、自然と声はかかってこない。

 たまーにDQNが声をかけてくるが、その時は帽子をとって閃光を放ち、離脱する。それが定番であり、防衛手段。

 それくらいにとんでもないハゲ力なのだ。

 一度体験してみたいという他校の生徒がたまにいるが、あまりおすすめできるようなものじゃない。

 暑くないのに暑かったり、痛くないのに痛かったり、そういったダメージを負いたくはないでしょ?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

大切な友だち バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ