第28話

「それは.....」

この場でぱっとは答えられない。


正直、同情はする。

が、被害が大きすぎた。



お咎めなし、とするには無理がある。


「私としては何らかの処罰をせねば被害者が納得できないと考えています。.....まぁ犯人が生きていなければそれも出来ませんが」

「それは...部門長?もしや死んだことにして有耶無耶に、とか考えてませんよね?」


処罰するには本人が生きていなければならない。死者を罰しても何にもならない。


「現状、あの男はどんな状態なんでしょうか?」

「ほぼ死人ってとこやね。良くも悪くも持っていた霊装や素材、魔力が危うい所でつなぎ止めてるわ」



「ふむ......。現場としてはどんな判断を下しますか?」

「被害者へのある程度の補填がされるならば、霊装等は討伐した現場が押収したいところです。本人には同情はしますがやったことが大きすぎます」



「ほんなら、霊装とか素材.....所持品をまるっと渡したら身柄は火龍預かりってのでどないやろ?それじゃ罰にはならへんか?」



「ふ...む。それなりに長期の禁固刑とするならば妥当でしょう」

「それならばこちらにも利がありますし、文句は出にくいでしょうね」


文句があるなら火龍の下へ、ってことで。



「ほんならまた所持品は引き渡しに来るわ。ほな」

手をしゅた!と上げて影の中に消えた闇龍。


「ま、まぁこれで一段落ですかね」

「そう願いたいです。私もこれで失礼しますよ」

「あ、ちょっと!いつあれが来るか分からないでしょう」

「や、あれ相手じゃ2人掛かりだろうが関係ないと思いますよ。では」



闇龍が持ってきた素材や霊装などで儲けが出たのかどうかは分からない。あえて言うならば、様々な意味で悲鳴をあげる部門長が見られることになるのだが、もう少し先の話。


部門長よ、がんばれ!

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