第13話

砂漠エリア。

まばらに生える僅かな木と草、更に数が少ないオアシス。

あとは幾らかの岩。

残りは見渡せる範囲全てに広がる砂。


それがこのエリアの基本構成だ。



荒野にいたはずの一つ目狼がこの砂漠に群で移動したらしい。



荒野の何かから逃げてきたのか。

それとも砂漠にある何かを目指して移動したのか。


同時に調べようという意見もあったが、現状では荒野には異常が発見・報告されていないことから後者ではないか、ということになり砂漠の調査となった。



ちなみに調査には『赤猿』のディル『赤牛』のディガー『黄晶』エイジャスの3人が担当となった。


「今ンとこ、一つ目狼の群どころか一匹もいねぇな」

「そーですね!でもそれ以外はザクザクじゃないですか!」


一応、一つ目狼の群を探してはいるもののエイジャスの言うとおり、砂漠特産とも言う鉱石や砂などが大量に取れていた。

それこそ麻袋3枚にいっぱいになるくらい。


これらは一時的にまとめて保管して持ち帰り、後ほど山分けということになった。




はじめはそれらを採集することで臨時収入だと喜んでいたが、あくまでも本命を忘れては行けない。


「あっちぃしよ、次の岩陰かオアシスででも休憩にすンぞ」

「異議なし!」


すでに砂漠を歩いて2時間ほど。暑さと渇きに加え足場の悪さから体力の消耗は激しかった。



ザザザザ!

砂に垂直に刺さった剣のようなものがもの凄いスピードで3人にせまる!



「あン?」

「おや」

「・・・」

三者三様に気付き、武器に手をかけ、重心を低く落とす。


「オレがやらぁ。火の精霊たちよ。惑うものに爪をたてろ!『火閃斬カセンザン!!』」

広範囲に熱の裂傷を与える魔法。

ただし、短剣の刃の部分に集中した魔法は圧縮され切れ味をより鋭いものへと変えた。


同時に短剣を振り抜く。

ひゅっ!


「グゥゥゥ!」

「ヒレモグラじゃねぇか!」

迫っていたのは砂中を泳ぎように移動し、鋭いヒレと爪で人を襲う。ただし、


「砂から出てくりゃただの雑魚だ!」

火閃斬により砂から飛び出していたヒレモグラの胴体を短剣で一突きし、戦闘は終了した。


ヒレモグラから爪とヒレを取り採取も終わるとまた歩き出した。



そしてお待ちかねの・・・・・・

「オアシスだー!!!」

エイジャスが大声をあげオアシスまで走っていくのを眺め、

「やっと休めるぜ。ディガー行くぞ」

「・・・」

ディディ兄弟もまたもう一踏ん張りと歩き出す。



「って、あいつ何やってンだ?」

「しー!」

何故かエイジャスが水場の手前で身を隠すようにしていた。


「あれ!あそこにいるのって一つ目狼ですよね?」

「・・・このタイミングかよ」


丁度岩の向こう側に一つ目狼の群が休んでいた。

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