第11話
火龍種が咆哮を放った頃、『青葉』のジョバンニと『
森エリアの入り口近辺でシキは死黒キノコを発見していたため現場の確認と周辺の調査に向かっていた。
死黒キノコ・・・その名の通り黒い猛毒キノコである。
成長してばらまく胞子は麻痺毒。キノコ自体も僅かな量で全身から血を流して死ぬ出血毒。
反面、乾燥させて精製すれば錬金術にも魔法にも使える(術中でも吸えば死ぬが)優秀な触媒にもなる。
そんな超がつく取扱い注意なものが森エリアの入り口に大量に発生すると新人たちがバタバタと死んでいく危険地帯になるだろう。
「このあたりの開けた場所に死黒キノコが群生していた。見つけた物は全て取ったがまた生えてるやもしれない」
「こんな場所に生えているなんて知りませんでした。レイシーさん、よろしければお手をどうぞ」
「ありがとうございます。しかしこの程度ならば大丈夫ですので」
案内をする『黒霧』の後ろで『青葉』が『教授』を口説こうと隙を窺っていた。
なんとも温度差のある光景である。
もっとも『青葉』だけが空回りしていて、あとの2人は真面目に調査をしようとしている。
「『青葉』どの。まもなく発見場所に着く。気を引き締めてもらいたい」
「おっと、これは失礼をしました」
「風と地の精霊たちよ。毒持つ眷属の息吹を阻みたまえ『
毒に対する抵抗力を高める魔法。明確な指定が無い場合、麻痺や睡眠などあらゆる毒(体外で発生した自然由来のもの)に抵抗できるようになる。
よほど強力な猛毒には特化対抗術が必要だが、死黒キノコの胞子ならば、初歩の対抗術で十分だ。
「待って。何か聞こえるわ」
レイシーが異変に気付き注意を促す。
「何かしら・・・足跡のような、移動する音がするの。獣みたいな爪や
「先に仕留めてじっくり調べてみましょう。レイシーさん、我が雄姿をご覧ください」
きざったらしい笑みを浮かべてジョバンニが剣を掲げ、走り出した。
「待て、『青葉』どの!」
「『黒霧』のシキさんもそこで待っていてください!」
ざんっ!
「なんだ!ただの
ざっ!ざざん!
「ほら!なんの危険もありません!」
ジョバンニがマタンゴを刻み、蹴りつける。
「「・・・・・・」」
レイシーとシキは注意深く周囲を窺っている。
当然ながら、真っ先に危険を察知し対処できたのはきちんと周囲を警戒していた2人だけだった。
「ぐあっ!?」
ジョバンニが弾かれたように真横に吹き飛んだ。
「やはり来たか。『教授』どの、どうされる?」
「出来れば生け捕りかサンプルは欲しい所ですが・・・・・・情報を持ち帰ることを最優先にしましょう」
「ごの・・・・・!マタンゴ風情がぁ!」
ジョバンニも剣をつきつけて新たに現れたソレに闘志を燃やす。
「いぁぁああ!!!」
黒いマタンゴ。
恐らくは死黒キノコのマタンゴらしき新種の怪物に3人で立ち向かう。
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