第10話
轟っ!!
と空気すら焼き尽くしながら迫る火龍種の咆哮。
あ、軌道上には木があったし、虫も近くにいましたけどすぐに発火しました。
「風の精霊たちよ。我を守護せよ『嵐の鎧』!」
『嵐の衣』よりも防護能力の高い魔法を重ね掛けする。
直撃さえしなければ多分死なない!・・・ハズ。
「風と水の精霊たちよ。壁となりて威を阻め!高く堅く守護せよ『黒嵐の城壁』」
火龍種の咆哮を正面から防ぐ。
『人間、貴様と同じ力を持った者が我が至宝を盗んだ。盗人は貴様か!?』
龍の至宝を盗んだ!?どこの馬鹿だ!!
でもそれならこの暴れようも納得できるけど!
龍種は宝物を収集する習性があり巣にため込むのだ。
永く生き、高位となった龍種ほど莫大な財宝が手に入る。
ただし、どんな物を好むから龍次第。火龍種ならば火に関する財宝を、金龍種ならば貴金属や鉱石を、といった方向性はあるが。
とある闇龍種は生物の死体をひたすら集め、死の龍として討伐指定されたものもいる。
「それは私ではありません!そして私の知る人間でもありません!」
そんな無謀通り越して馬鹿なことするような奴はいないはず!
『・・・!!では探し出す術はあるか』
少し冷静になったようで、静かに聞いてきた。
「もし、私が持っているもので賄えるならば、お渡しします。盗人を探すならば時間を頂くほか・・・」
『盗まれた我が至宝は【始原の炎】だ。人間にそれを賄う術はないだろう』
始原の炎・・・・・!
太古の昔、神様が人間に火という存在を教えるために木に雷を落とした。その落雷によって生じたのが【始原の火】だ。
そしていつからか、魔力溜まりなどの魔力が満ちた場所に雷が落ち、その場にある魔力を全て吸収した結晶が見つかるようになった。雷と火の魔力の結晶が。
それが【始原の炎】とよばれている。
この魔力溜まり発生らしき異常に重なって龍種の至宝を奪う?
そんなタイミングのいいことってないだろう。
それどころかイレギュラーが起こり得る状況ならどれだけ綿密に至宝の奪取を目論んでも止めておくだろう。
中止か延期かは置いとくとしても。
「もし、時間を頂けるならば私がその盗人を探し出します。代わりに2つ、お願いしたい。ひとつは元の住処でお待ちいただくこと」
『我が至宝が戻るならば誓おう。もうひとつはなにか』
「この遺跡内でいくつもの異常が発見され、その調査をしているのです。その調査にご協力を」
異常を一つ解決&協力者(?)&身の安全get!
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