第3話

「やけにあっさりと納得しましたね?」

住んでる街で竜巻が出たよ。うん、信じよう。

そんな簡単に受け入れられた。


や、普通はもうちょっと信じるまでに時間かかったり半信半疑でことに当たったりするじゃん。


それをこの部門長という責任と権力と立場がある人があっさりと信じた。



「いや、最近少しずつだが遺跡内部で異常が見つかっているのですよ。通常ならいないはずの怪物に植物。はぐれくらいなら出ても偶然かと思うところですが、群単位での大移動まであったらしく・・・・・・。そこへ貴方、というより遺跡内部に住む方々の見解でしょう?

むしろ、全ての異常の答えとして納得できるのですよ」


ちなみに、はぐれとは集団からはずれて単独行動をする怪物を示す。

グループは同種の怪物が4~5体程度の集団。

そして群とはグループが複数合流したかなりの数の集団を示す。

さらにその上は一族コミュニティーとされ、本当の異常事態だ。


そんな怪物たちは基本的に生まれたエリアからは出ない。エリア内では移動するものもいるが、森ならば森の中に。沼ならば沼のどこかに住処を構える。

しかし極まれにだが森から沼へ。荒野から砂漠へ。山から草原へ。

その関連性は解明されていないが住んでるエリアそのものを変える程の移動をすることがある。

これを大移動と呼び、遺跡内で何か・・が起きたという目印でもあるのだ。


「なるほど。まぁいち探求者の意見よりも遺跡に住むヒトや他の異常報告もあっての納得ですか」

それならこちらも腑に落ちるというもの。

無条件に信じられて間違っていたらシャレにならないのだし。



「そういうことです。これからの方針ですが、まずは遺跡内部の異常のみを開示し、しかる後に魔力溜まりについて警鐘を鳴らそうかと思うのです」


混乱防止しつつ情報を集めようということか。


「それに加えて実績の高い探求者に魔力溜まりがどこにあるか、何が原因かも調べるべきでしょう」

「そうですね。その場合は提言者たる貴方が調査の筆頭でしょうけど」


は!?


「いや、私みたいなのよりももっと若手とか!実績の確かな人の方が!」

「そうはいきませんよ。よろしくお願いしますね」


にっこり。



悪魔め!

面倒なこと押しつけられそうです。

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