第19話 予知

 翌朝、公介は昨日の出来事が夢ではないことを確認する為、昨晩取得したスキルを確認した。






魔力量 1,000/1,000


魔力制御 1,000


スキル

[自由設定]


[数値化]


[知識]


[九死に一生]


[魔力回復速度上昇]


[ドロップ確率上昇]


[発声切替]


[身体強化]

 熟練度 最大 (1,000)

 消費魔力 1~1,000


[鑑定]

 熟練度 最大 (1,000)

 消費魔力 1~1,000


[加工]

 熟練度 最大 (1,000)

 消費魔力 1~1,000


[鍛冶]

 熟練度 最大 (1,000)

 消費魔力 1~1,000


[予知]

 熟練度 最大 (1,440)

 消費魔力 1~1,440


[隠密]

 熟練度 最大 (ー)

 消費魔力 1~


[治療]

 熟練度 最大 (1,000)

 消費魔力 1~1,000






 どれも有用で世間では当たりとされているスキルばかりだ。


 九死に一生は死に直結する程の怪我を負っても、魔力が1000以上あれば、1000を消費してその怪我を瞬時に治すことが出来る。


 魔力回復速度上昇は通常何もしなくても魔力は自然に回復するのだが、その回復する速度を上昇させることが出来る。

 自由設定のスキルで改変させた結果、1秒で1000回復することが可能になった。


 ドロップ確率上昇はモンスターを倒した際にアイテムを落とす確率を上昇させるスキル。

 これも自由設定で改変し、100%アイテムをドロップさせることが可能。


 隠密は透明になれる[透明]スキルと自身から発生する音を無くす[消音]スキルの両方の効果を持ったスキルだ。

 魔力1で10秒間使用できる。


 魔力量と魔力制御は1000までしか自由に調節出来なかったが、それでもその半分に到達している者さえ、現在は確認されていない上、魔力をほぼ一瞬で回復できるスキルを取得しているのだから十分過ぎると言えるだろう。


 熟練度が存在しないスキルは常時発動しているが、魔力を消費するスキルは自身の行動によって発動する。

 魔力を消費する性質から魔法と呼ばれているが、自身の行動という部分がみそなのだ。


 スキルは自分にとって手足のようなもので、発動の仕方を説明するのは難しい。

 魔力の使い方も同様で息の吸い方や、指の動かし方を説明しろと言われているようなものだ。

 普通はスキルが1人1個しかない故、慣れれば発動のコツを掴める。


 しかし流石に公介のようにたくさんあるとゴチャゴチャになり上手く発動が出来ない。


 その点で言えば[発声切替]のスキルはある意味公介にとって一番存在してて助かったスキルかも知れない。


 その名の通り発声によって、スキルの発動を抑制できるのだ。

 ◯◯スキルオフと声に出せば、魔法だけでなく常に発動しているスキルでさえ発動を一時的に抑制出来る。


 このスキルのお陰で、発動したいスキルだけに集中することが出来る。


 スキルを確認したことで支度を済ませ、学校へ向かう。

 東京の高校に通っているが偏差値は普通、学校も普通科/公立と何もかも普通である。


 家族は離れたところに暮らしていて、自分も近くの高校でいいと思ったが、両親が上京を進めてきた為、仕方なくアパートを借り、通っている。


 お金も学業に集中できるよう、毎月それなりに送ってくれる。

 絶対に地元の学校が良かった訳ではない為、これも経験だと思い1人暮らしを送っている。


 因みにスキルをどんなに取得しようが、しばらく彼の生活は変わらない。

 なぜなら、ビギナークラス免許からDクラス免許に昇格するには、20歳を向かえなければならないからだ。


 本来、死のリスクが一般的な職業より高いダンジョンに未成年を入らせる訳にはいかないとの声が多数挙がっていたが、政府がビギナークラスと認定したダンジョンの階層にいるモンスターを倒すのに命のリスクはないとの見解から、そのエリアのみ活動を許されたのだ。


 これは若い頃から、ダンジョンで経験を積み、将来高リスクのダンジョンへ出向いた際に、死のリスクを減らす為、という意味合いがある。




 学校へはバスで通学している。

 住む場所を徒歩圏内の場所に借りなかった訳は、両親の仕送りが関係している。

 毎月の決まった額のお金の中に家賃代も含まれていて、安い場所に借りても残った金額は好きに使っていいとのことだったので、多少遠くても安い場所を選んだ。


 バス停まで、歩いていく公介だが、途中ふと気になったことを実行する。


「予知スキルオン」


 周りには誰もいないが、一応聞かれないよう小声で呟く。

 未来に起こることを知ることが出来る予知スキルを使って見たくなったのだ。


 スキルをダンジョン外で使用することは原則禁止だが、発動が本人にしか分からないスキルは、取り締まりのしようがない為、誰にも迷惑をかけないスキルなら無視、というのが暗黙の了解である。


 魔力制御を高めたお陰で、1つのスキルの発動に集中すれば、直ぐにある程度発動感覚を掴むことに成功していた。


 魔力を1消費することで1分先の未来が分かる予知スキル。

 便利だが、このスキルにも欠点があり、鮮明に見えるわけではなく、あくまで、どんなことが起きるかがなんとなく分かるだけ。


 それと、であってではないことだ。

 仮に魔力を10消費して、10分先の未来を予知しても5分先は分からないということだ。


 時計を確認すると7時半を過ぎた頃だった。

 適当に10時間後、魔力を600消費し、予知することにした。


 予知する場所を指定することも可能だが、とりあえず自分がどうしているかを知りたい。


 17時半頃を予知すると、分かったのはバス停でイライラしながら待っている自分。


 学校はとっくに終わってる筈なのに、何故そんな時間にバス停で待っているのか。

 気になった公介は、時間を遡りながら予知を繰り返す。

 魔力が直ぐに回復するからこそ出来る芸当だ。

 何回か予知したところで事の経緯を理解できた。


 どうやら今日は放課後友達に誘われ、その時間帯まで遊んでいたが、地震により電車が遅延し、バス停が混雑しているようだ。


 揺れは震度4らしく命の危険を感じる大きさではないが、電車が遅延するには十分な揺れだ。


 そんなことをしている内にバス停に着いた。

 バスを待っている最中、無駄だと分かっていながらも、SNSに投稿してみた。




 今日は帰宅ラッシュより少し早く帰った方がいいかもしれないな。電車の人とか。




 流石にド直球に予知スキルで判明したぞ!、と書くわけにもいかないので、匂わせな感じで投稿した。


 何個かいいねが付いたことに、暇な人もいるもんだと思っているとバスが来た。


 バスに乗り込み学校へと向かう公介であった。

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