第18話 その日の夜

 その日の夜、公介はベッドの上で数値化スキルを使用した。


 さっきまで、数値が視界に見えっぱなしだったが、なんとかコツを掴み、視界から消す事に成功していた。


(まずはどんなスキルを取るか)


 ◯◯スキルを取得、と声に出すと言っても自分の知らないスキルは声に出せない。


 今まで確認されているスキルを全て載せたサイトがあるのだが、どうせならまだ誰も持っていないようなスキルも欲しいと考えた公介は、存在する全てのスキルを知れるスキルがないかと脳を働かせていた。


(そういえば鑑定スキルで自由設定は鑑定出来るのか?)


 鑑定スキルで人間を鑑定しても分かるのはスキルのみで、魔力量などの数値までは分からない。

 数値化させることは数値化スキル持ちだから行えることで、鑑定スキルと数値化スキルは別物だからだ。


 要するに、ゲームのように元々見えないだけでデータ上数値は全員に存在している、というわけでは無く、数値化スキルの効果で初めて数値化出来るだけなのだ。

 その点で言えばスキャナーも数値を見るという表現より、その都度数値を計るという表現の方が適切だろう。


 だが、数値化スキル持ち本人が、自分に鑑定スキルを使った事例はない。


 スキルは基本的に1人1つであり、スキルの書は現在1つしか見つかっていない。

 誰が使ったかまでは、不明だが、使った者が元々数値化スキルか鑑定スキルを持っていて、さらに使って得たスキルがそのどちらか、ということは、まずあり得ないだろう。


 だが、公介ならそれが容易に行える。


「鑑定スキルを取得」


 そう声に出し、確認すると、






魔力量 1/1


魔力制御 1


スキル

[自由設定]


[数値化]


[身体強化]

 熟練度 1

 消費魔力 1


[鑑定]

 熟練度 1

 消費魔力 1






 鑑定スキルを取得したことを確認すると、早速[自由設定]のところに焦点を合わせ、目を凝らす。


 鑑定スキル持ちが鑑定を行う際は、こうするらしい。


 だが、どう集中しても説明が出る気配はない。

 流石に取得したばかりでは使いこなせないのか。

 肩を落とす公介だが、鑑定スキルは対象の価値が高ければ高い程、必要な魔力が増えることを思い出した。


 そして、これは熟練度や消費魔力が存在するスキル全般に言えることだが、スキルを使用する際、多くの魔力を消費すればするほど、高い効果が得られるが、魔力量が多いだけでは魔力を多く使用することは出来ない。


 スキルを何度も使用し、熟練度を上げることで、スキルに消費できる魔力が上がるのだ。


 さらにスキル以前に魔力制御が高くなければ、そもそも魔力を上手く扱えず、思った通りにスキルが発動しない。


 つまり、魔力の量と魔力制御、鑑定スキルの熟練度を上げられるなら、鑑定が出来るかも知れない。


(自由設定というぐらいだから、数値も上げられても不思議じゃないよな)


 そう判断し、公介は声に出す。


「魔力量を1000に上昇、魔力制御を1000に上昇、鑑定スキルの熟練度を最大値まで上昇」


 数値を確認すると、






魔力量 1000/1000


魔力制御 1000


スキル

[自由設定]


[数値化]


[身体強化]

 熟練度1

 消費魔力1


[鑑定]

 熟練度 最大(1,000)

 消費魔力 1~1,000






 期待通り、[自由設定]の自由とはスキルだけでは無かったようだ。

 もう一度[自由設定]に焦点を合わせ、目を凝らすと、






[自由設定]

 魔力量、魔力制御、スキル、スキルの熟練度を声に出すことで調節、取得が可能になるスキル


 取得できるスキルの種類は...






 鑑定は成功したが、スキルの数が記載されているだけで、名前までは載っていない。

 只、世界で確認されているスキルの数より多い為、まだ見つかっていないスキルがあることを知れただけでも収穫はあっただろう。


(俺みたいに自分のスキルを秘密にしてる人もいんのかな)


 公介がそう思いつつネットで調べていると、確認されているスキルを希少価値の高い順や、戦闘向け順に並び替え出来る有能サイトを見つけ、取り敢えず欲しいスキルを取得していった。

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