第12話 アメリカの正式発表

「みなさん! これは映画の広告ではありません! アメリカのビディエン大統領はアメリカ内に出現した穴をダンジョンと命名し、スキルと呼ばれる能力が存在すると正式発表しました。尚、世界各地に出現した穴にも同様のことが言えるだろう、とのことです」


 テレビをつけると全チャンネルで大統領の記者会見が放送されている。


「アメリカめ! 世界を混乱させるつもりか!」


 国内の対処で精一杯で外国の事情まで把握しきれていなかった。


 考えてみれば、日本という小さな島国でさえ、知識のスキルを発現させた者がいたのだ。

 アメリカ程の大国なら2人や3人ぐらいいてもおかしくない。


 いや、既に他の国に先手を取れるような、未知のスキルを持った者がいる可能性もある。

 紫色の水晶の加工用途も発見済かもしれない。


 しかも、アメリカはダンジョンのモンスターを素手やダンジョン産の武器で倒せばスキルを発現させられることまで発表していた。


「直ぐに記者会見の準備をします。こうなってしまった以上、自衛隊や警察がスキルを取得するまで待っていたら、国民がいつここや、議事堂に押し寄せてくるか分かりません」


 総理は直ぐさま会見を開き、アメリカと同じ様にダンジョンとスキルの存在を認める発言をした。


 さらに、今まで通りダンジョンへの立ち入りを禁止し、もし無許可で立ち入った場合は、通常の不法侵入に加え、さらに罪を重くするとの意向を示した。


 その警告もあってか、泥酔した者がたまに、自衛隊員と揉み合いになるくらいで、中に入ろうとする者はいなかった。

 日本人の国民性に助けられたと安堵する首相であった。

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