【石化の魔眼】と???
「ふぅ……これで十五体目か……」
俺は校舎内を走り回り、石化された生徒や先生達を探しながらバジリスクを倒していた。
だけどやっぱり生徒や先生達、石化されたであろう人達も一切見つからなかった。
これで確実にコカトリスの所に石化された生徒や先生達が連れていかれたって考えるのが妥当だろう。
***
「次はどこを探すかな……」
今のところ考えられる場所はグラウンド、中等部の校舎。
高等部の校舎はバジリスクの気配を【気配感知】で確認してから片っ端から殺していったから、もう高等部の校舎にはいないと思う。
そうなると次に探す場所としてはグラウンドか中等部の校舎になるんだけど……
「……やっぱりグラウンドかな……バジリスクが石化した人達を連れて行ったってことはコカトリスの所にいる可能性が高いよな……」
まあ、グラウンドに今もいる保証はないけど、それでも行ってみる価値はあるはずだ。
「よし!それじゃあ早速向かうか……っと、その前に【吸魂】」
俺がそう言うと、バジリスクの魂が俺の中に入ってくる感じがした。
『バジリスクの魂の吸収を確認。経験値を1954、【石化の魔眼】のスキル経験値を獲得』
『種族レベルが上がりました。ハイヒューマンのレベルが40になりました』
『スキルポイントを5獲得しました』
『種族レベルが上がりました。ゴースト(亜種)のレベルが37になりました』
『スキルポイントを4獲得しました』
『職業レベルが上がりました。処刑人のレベルが46になりました』
『スキルポイントを5獲得しました』
『職業レベルが上がりました。魔導師のレベルが46になりました』
『スキルポイントを5獲得しました』
『【石化の魔眼】のスキル経験値が一定値に達しました。【石化の魔眼】スキルを取得しました』
お、やっとか。
全部で十五体のバジリスク。
確かに【石化の魔眼】が取得できたのは嬉しいけど……なんかこう、もっと一気に上がって欲しかった。
バジリスク十五体は残っている生徒、先生を探している途中、校舎を歩いていた所を偶然見つけて、【隠密】のスキルを使ってサクッと倒しただけなんだけどね。
ちなみに俺がバジリスクを倒した時のドロップしたアイテムは魔石や革などだけだった。
さて……グラウンドに向かいたいんだけど……
「……反応?モンスターが一体に人が三人、か……?いや、でもこの気配は……?」
校舎から出ようとしたところで【気配感知】で気配が感じられた。
この位置だと……高等部の調理実習室辺りか?
だけどなにかおかしいな……
【気配察知】では感じる魔力は四つとよくわからない気配が一つ。
モンスターが一体に人が三人、という情報から考えれば、そこにいるのはモンスターであるバジリスクと生徒か先生。
そして、あのよくわからない気配はなんだ?
人っぽい気配な気がするけど……
「まあ、とりあえず向かってみればわかるか」
グラウンドにも早く向かいたいけど人の気配があるって言うなら行かないわけにはいかない。
俺はその気配の正体を確認するためにも調理実習室に向かって行く。
だいたい二分ぐらい走っただろうか?
俺が調理実習室の扉の前に着くと中から声が聞こえてきた。
扉越しだから聞こえづらいが気配からしてバジリスクの鳴き声かな?
感じられる人の気配はここまで来てわかったが準備室に三人とよくわからない気配が一ついるようだ。
そして、その扉を見つめるようにバジリスクは佇んでいる。
これはチャ~ンス。
まだ俺には一切気づかず、しかも準備室の方を向いていて俺のいる方に背中を向けてる。
だからこっちに視界も向けていないから不意打ちできるはず。
まあ、バジリスクの位置関係からして魔法での不意打ちは準備室に飛ぶかもしれないからダメだな。
普通に両手鎌で首を刈り取るしかない。
俺は両手鎌を構える。
「よし……行くぞ……」
俺は扉を勢いよく開けて中に飛び込み、バジリスクに斬りかかる。
バジリスクは俺が扉を開いた音に反応してこちらを振り向こうとしていたが、それよりも速く首に刃が届く。
「遅い!」
俺はそのままバジリスクの首を切り落とす。
「よし!」
うまくいった!
人の気配がするってことで準備室前にバジリスクが立っていたから準備室に影響がでないように手加減はしたけど、ちゃんと倒せた。
俺はバジリスクの体が塵になるのを確認してから準備室を見る。
俺とバジリスクの戦闘音は一瞬だったからか誰も気づいていないのか、それとも人が来たとは思っていないのかわからないが、扉が開く気配はしない。
「んー……」
どうしようかな……
このまま入ってもいいけど、流石にいきなり知らない奴が入ってきたら警戒されるよなぁ……
だけどよくわからない気配がなにかも知りたいし、このまま三人を放置って訳にもいかないしな~
うーん……まあ、これは仕方ないか。
俺は準備室の扉に近づいていき、ノックをする。
コンッコンッコンッ
…………返事がない。
気配も動く気配がなく、その場で三人固まって動く気配はない。
ちなみによくわからない気配は準備室の扉の前にいて扉を押さえるようにしている。
少しドアノブを動かしてみたが鍵がかかっているみたいで動かないから俺じゃ開けられないし。
仕方ない。もう一度。
コンッコンッコンッ
コンッコンッコンッ
コンッコンッコンッ
三回ノックをしたのにやっぱり返事はない。
気配も動こうとした気配は感じたけど結局動かないままだし。
これは助けに来たって呼び掛けなきゃダメかな……
多分これ助けに来たとは思われてないよな~
じゃあ地声じゃなくてちょっと声を作ってと……あ、あと口調も変えなきゃダメかな?
……変えられる気はしないから口調はそのままで良いか。
「おーい!助けに来たからここを開けてくれないか!」
声を作ったからいつもより声が低めになった。
だけど俺の声を聞いた瞬間、さっきよりも明らかに三人の気配に動きがあった。
「本当に?本当に助けに来てくれたんですか!?」
よし、食いついた!
「ああ!だから鍵を開けてくれないかな?」
「わ、わかりました!二人とも手伝って!」
中からバタバタと音が聞こえる。
手伝って?
鍵を開けるだけでなんで。
だけどそんな疑問は直ぐに解消された。
それからよくわからない気配のやつを三人の気配が動かしているように感じる。
……もしかしてこのよくわからない気配は……
そんな事を考えている内にも扉の鍵が開いた。
出てきたのは三人の女子生徒。
そして、ついに俺の視界にもう一つのよくわからない気配をした存在が映った。
……やっぱりか……
その存在は全身、石のような灰色一色に染まっていて、今は一切動くような気配はないエプロンを着た女性教師。
……俺の予想通り、いままでよくわからない気配をしていた存在は石化された"人"だった。
……マジか……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます