お泊まりとお料理
「えっ?今日お前ら泊まっていくの?」
ある意味でのゲーム大会も時間が過ぎていき、時間も時間だ。
だから皆家に帰ると思ってたんだけど………
………まあ、良いか。
「おう!せっかくだしな!」
「当たり前じゃ~ん」
当たり前じゃねえよ。
まあ、別に良いけど。
「あの………私たちはこれで………」
「………ん………」
「え~玲奈ちゃんも雪奈ちゃんも泊まらないの~?」
「でも服もないので………」
「………申し訳ない………」
「え~大丈夫だよ~空~私と陽介の服置きっぱなしでしょ~?」
「まあ、お前らが持って帰らないから置きっぱなしだな」
「じゃあそれを着ればいいじゃ~ん」
「え、えっとそれでも………」
「え~良いじゃ~ん。エスカリアちゃんも皆が一緒が良いよね~?」
「はい!今日はとても楽しかったのでまだ一緒に遊びたいです!」
………そっか~………
エスカリアさんはめちゃくちゃ目をキラキラさせて俺と玲奈ちゃんと雪奈ちゃんを見てお願いしてくる。
「………アーニャさん、アイカさんこの人数分の食材あったっけ?」
そしてそんなエスカリアさんのお願いを断れるわけもなくまず俺が陥落した。
確かに今は危ないかもしれないけどよく考えたら俺がいればなんとかなるだろう。
「恐らく先日ソラ様と買い物に行った際に出してないものも含めれば足りると思います」
アーニャさんがそう言う。
なら良かった。
出してないものとは俺の【アイテムボックス】に入りっぱなしの数種類の食材の事だろう。
「えっと………これは私達は泊まるのは決定なんですかね?」
「………多分………」
「だよね~………」
玲奈ちゃんと雪奈ちゃんの2人が困ったような顔をする。
「はい!私は皆さんと一緒にお泊まりしたいです!」
そんな2人を他所にエスカリアさんが元気よく答える。
………もういいや。
これからこうやって集まれるようになれるかわからないし俺がいれば危険な事なんてほとんどないだろうし食材もある。
じゃあ良いでしょう!
「………待って………良く考えたらこれはチャンスなんじゃないの?」
「………なんで?………」
「だってさ先輩の………………」
そこで早希ちゃんと雪奈ちゃんが小声で何かを話していたけど途中から何を言ったのか聞こえなかった。
まあ、大したことではないんだろう。
「よし!空さん!今日はお世話になります!」
「………お世話になります………」
「おう」
………ふむ………俺の家に今日は4人が泊まるのか………
………あれ?男女比2:6?
………マジ?
「やった~じゃあ早速ゲームしよう!それに夜は女子会とかしよ~勿論アーニャさんもアイカさんも参加ね~」
「はい!」
「楽しみですね」
「……うん……楽しみ……」
「私も………ですか………」
「私は遠慮します」
反応は喜んだり、期待したり、困惑したりと様々だけどアイカさんは断っていた。
「え~ダメだよ~女子は皆強制参加なんだからね~」
「えっと………」
アイカさんは困惑したような表情で俺の方に視線を向ける。
初めてアイカさんが表情を変えたところを見たかもしれない。
………初めて表情が変わったところを見るのが困惑したような表情ってそれはそれでどうなの?
まあ、良い傾向なんだろうな。
感情が表情に出てきたってことは。
「まあまあ、アイカさんも参加してくれば?1人だけ参加しないって言うのも寂しいでしょ?」
「いえ、別にそんなことはないのですが」
「まあまあ、良いから良いから。1回参加してきてみな?ね?」
俺はそう言ってアイカさんに拝むように手を合わせる。
「わ、わかりました………では少しだけ」
すると渋々といった感じで了承してくれた。
………意外だ。
ダメだと思ったんだけどな。
「やった~それじゃあ参加決定~」
早希が気の抜けるような声で嬉しそうな声を上げる。
「………空」
「うん?どうした?」
「………男女比ヤバくね?」
………今更かよ!?
***
「………空くん………これ………美味しい………?」
「ん?ああ、ありがとう。うん。美味しいよ」
「………ん………」
「空さん、こっちも食べてみてください!」
「おう。うん。うまい。2人とも料理がうまいね」
「えへへ、そうですか?」
「………ん………嬉しい」
2人は照れた様子で笑う。
そしてその笑顔がとても可愛い。
本当に可愛らしい女の子達だ。
今俺達がいるのはキッチン。
事前に【アイテムボックス】から取り出しておいた食材を使って皆で夕食を作っているのだ。
ちなみにメニューはカレー。
カレー自体はアーニャさんとアイカさんが作ってくれる。
そして残っている料理できる組である俺、玲奈ちゃん、雪奈ちゃんでサラダやスープ作りだ。
「………なんか………新婚みたい………」
「………え?」
「………確かに………」
玲奈ちゃんの言葉を聞いて俺は思わず聞き返してしまう。
対して雪奈ちゃんはなぜか肯定している。
まあ、でも確かに。
出来たものを味見して感想を言う。
女の子が2人いるっていう所などは違うがそんなシチュエーションでは俺が経験してなかった感じだった。
というか死んだ親父とお袋が良くやってたわ。
そして玲奈ちゃんは俺の反応を見て自分が何と言ったのか理解して顔を真っ赤にする。
「ち、違うんです!今のはその………!」
「いやいやいや、大丈夫。わかってるから。俺もそう思っただけだからさ」
「うぅ………」
「………玲奈ちゃんが………自爆………」
「雪奈ちゃん!うるさい!」
玲奈ちゃんが雪奈ちゃんをポカポカ殴っている。
………仲が良いな~
だけどここはキッチンだからね?
危ないよ?
そんな俺の杞憂は的中してキッチンに置いてある包丁がジリジリと下がって行っていた雪奈ちゃんの後ろにあることに気づく。
「2人共!危ない!」
俺の声に反応して2人が振り返った瞬間にジリジリと下がっていた雪奈ちゃんが手を包丁の置いてある所に手を着こうとする。
「あっ!」
しかし、俺の声で包丁の存在に気づいた雪奈ちゃんが慌てて手を引っ込めようとするが間に合わずそのまま手が当たってしまいそうになる。
だけどそれを俺が見逃すわけもなく、素早く2人に近づいて2人の手を右手と左手を使って掴んで俺の方へと引き寄せる。
この間僅か2秒。
う~んビューティフォー。
「ふー………間一髪だな」
「えっと………空さん………あの………」
「………ごめんなさい………」
「怪我がなかったなら良かったよ。だけど気をつけてね?」
俺がそう言うと2人はコクりと小さく首を縦に振る。
そして2人を離そうと思って手を離す。
だけど2人は俺の服を掴んだまま離れようとしない。
「………どうしたんだ?」
「あ、いえ………その………」
「どうしたの?」
「えっとですね……」
「ん?」
俺は不思議に思って2人が何かを言い出すのを待つ。
「………その………や、やっぱりなんでもないです!すみません!」
すると突然玲奈ちゃんの方が慌て出した。
そしてパッと俺の服から手を放すと料理に戻っていく。
………なんなんだ?
「私も………戻る………」
そう言うと雪奈ちゃんも離れて料理に戻っていった。
………結局なんだったの?
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