説明と予想外

「なるほどね~それでこの人と一緒に暮らしてるんだ~」


「はい………そうなります………」


俺は陽介に説明を終えると、ソファーに座っていた。

そして俺の隣にはエスカリアさんが座っており、アーニャさん、管理者さんはソファーの後ろに控えている。


「………ふーん………そうかそうか」


「………へぇ〜………」


そして俺の説明を聞き終えた陽介と早希は俺を睨みつけていた。


「あの………お二人さん?」


「………ねえ、空」


「な、なんでしょうか………」


俺が恐る恐ると聞くと早希は真剣な表情をして口を開いた。


「………こんなに可愛い犬と鳥いつの間に飼ってたの?」


………は?

そういうと早希はユキとファムを撫でる。

2匹は俺の友達だからという言葉がわかっていたのか少し警戒してたのに撫でられてぐでーんとしてしまった。


「………いや、そっち?」


「え?他になにかあった?」


「いや………なんでもないです」


「いや、もっと突っ込む所があるだろ………」


陽介が呆れたように呟く。

確かにそうかもしれないけど俺としてはさっきの早希さんが出現しないならもうどうでも良かったりする。

だから頼む。

ユキ、ファム、そのまま早希の機嫌を直してくれ。


「いやいや陽介、だって空だよ?」


「………それもそうか」


おいこらそこ納得するんじゃありません。

というかお前らさっきまであんなに怒ってたじゃないか………


「………はぁ」


俺はため息をつく。

すると陽介は俺の方を見てニヤリとした笑みを浮かべる。


「まあ、とりあえず話はわかった。とりあえず俺らも自己紹介するか?」


「うん。それがいいかもね」


「……はぁ、まあいいか」


俺は諦めて立ち上がる。

そして3人の方を向いて言う。


「それじゃあ、改めて紹介します。こちらの2人が俺の幼馴染みの………」


「はじめまして。俺は立川陽介。よろしくな!」


「私は天海早希だよ~エスカリアちゃんは知ってると思うけどよろしくね~」


陽介と早希は笑顔で自己紹介をする。


「はい、存じております。陽介さ…んははじめまして。エスカリア・ウタリア・オースターと申します」


「私はアーニリカと申します。以後お見知りおきください」


エスカリアさんもアーニャさんも丁寧に挨拶をした。


「おう!2人ともよろしくな!」


「うん!エスカリアちゃんは良い子だしアーニリカさんは頼りがいのありそうな人だね」


早希は2人を褒める。

2人も嬉しそうだ。


「ありがとうございます」


「光栄です」


2人は頭を下げる。


「次は私ですか。はじめまして。私は境界管理「ちょっと待てー!!!」なんでしょうか?」


管理者さんがとんでもないことを言おうとした瞬間、俺は管理者さんの口を自分の手で塞いで陽介と早希に聞こえないところまで離れる。

後ろが騒がしいがそれどころではない。


「………管理者さん、今なにを言おうとしてました?」


「………」


管理者さんはなにか言おうと口をモゴモゴさせているが俺が押さえているため喋れないようだ。

俺は手を離すと、管理者さんの肩に手を置いて言った。


「もう一度聞きますよ?今、なにを言おうとしてましたか?」


「なにをと言いましても、ただの自己紹介ですが?」


「ふぅ~………」


俺はその言葉を聞いて大きく深呼吸した。

そして俺は言う。


「管理者さん、あなたの名前?はなんですか?」


「名前とはまたおかしな質問ですね。ご存知でしょうが私の名は『境界管理AI・No.000』ですが?」


「さっきの自己紹介もその名前を?」


「ええ。勿論そのつもりですが?」


………この人、本気で言ってんのか!? 俺は思わず頭をかかえる。


「………管理者さん。今から俺があなたに名前を付けます。これからはその名前を名乗ってください」


「構いませんが」


「では。あなたの名前は………」


***


「いや~すまんすまん。待たせた」


「いえいえ、大丈夫ですよ」


エスカリアさんがそう言ってくれる中俺はソファーに戻る。

俺が連れていった理由を理解してくれているのか陽達介と雑談して時間を潰してくれていたらしい。


「それで?そろそろちゃんとその人の自己紹介を俺としては聞きたいんだけど?」


「ああ、悪い。それじゃあどうぞ」


「わかりました。改めまして、私はアイカと申します」


そうして彼女は名乗った。

俺の咄嗟の名付けだとこれが限界だったんだ。

ちなみに名付けの理由は単純で、 AIでアイ、管理者さんのかでカ合わせてアイカただそれだけだ。


「おう!よろしくな!」


「よろしくね~」


陽介と早希は笑顔で返事をする。

俺としてもこれ以上のネーミングセンスは無いのでありがたかった。


「それで~?どうしてアイカさんが自己紹介するときになんで空は離れていったのかな~?」


「あ、それは俺も気になった」


「あ〜あれはな」


俺は少し考えて答える。


「内緒♪」


「はー!?教えろよ!さっきのは教える流れだろ!」


「まあまあ陽介、落ち着いて」


早希が陽介を抑える。

ナイスフォロー早希。


「まあ、空にも色々あるんだよ~きっと」


「………なんか納得いかねぇけどわかった」


陽介は渋々と引き下がる。

よしよしこれでなんとかなったかな?

これでとりあえず一安心………


ピンポーン


そうやって一安心かと思ったらインターホンが鳴る。

はて、誰だろう?


「はいはーい!」


早希が玄関に向かっていく。

早希が扉を開ける音が聞こえる。

え?あいつなにか勝手に頼みやがったのか?


「おっ来たか」


「お前は知ってたのか?」


「そりゃあなあ。だって呼ぼうぜって提案したのは俺だぜ?」


「お前かよ」


陽介がドヤ顔で言う。

こいつは本当に調子に乗りやすい奴だと思う。

まあいいけどさ。


「お邪魔します」


「………お邪魔します」


そんな声と共にリビングのドアが開かれる。


「お久しぶりです」


そこには早希の他に2人いた。

完全に俺の予想は外れていた。

正直予想としてはこいつらがデリバリーかなにかを頼んだのかと思っていた。


「………玲奈ちゃんに雪奈ちゃん?」


「こんにちは空さん!」


「………こんにちは」


そこには予想外、玲奈ちゃんと雪奈ちゃんがいた。

………本当になんでいるの?

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