ゆったり時間と突然の来訪
俺は昼食を食べ終わった後、特にする事も無いので自室でゆっくりしていた。
管理者さんもホムンクルスとはいえ管理AIと言っていたから人の姿になれていないんだろう。
人の姿になったからか料理もアーニャさんのサポートがあるとはいえ苦戦してた。
それも見ていて面白かったけど。
具体的には黒い煙がフライパンから立ち上がってそれを見て首を傾げている管理者さんとそれを見てアワアワしてるアーニャさんが可愛かった。
「………暇だな」
俺はソファーに座りながら呟く。
………てかさ、俺が学校に行ってる間にアーニャさんと管理者さんが仲良くなってるんだよな。
………なんか俺だけ仲間外れみたいで寂しい。
俺はそう思いながらそんな気分を誤魔化すようにスマホを手に取る。
ピンポーン
そしてそんな時に家のチャイムがなる。
………誰だろう?
「私が行きましょうか?」
「いや、大丈夫だよ。多分なにかの
勧誘とかだと思うから」
「そうですか?……それなら良いのですが」
「うん。だから気にしないで」
「わかりました」
アーニャさんが立ち上がろうとしていたのを止めて、持っていたスマホをポケットに入れて玄関に向かう。
そして扉を開けるとそこには………
「おっす空。遊びに来たぜ」
「空~遊びに来たよ~」
「………はぁ!?」
俺は突然の来訪者2人に思わず声を上げる。
まあ、来訪者2人って言っても陽介と早希なんだけどさ。
てかお前らなんでいるの?
「おいおい、どうしたんだよ空。いきなり大声で叫んで」
「そうだ~近所迷惑になるだろ~」
2人はそう言いながら俺の家に入ってくる。
「いや、だってなんでここに居るのかわからないし」
「そりゃあれだよ。昨日言ったじゃん。明日は一緒に遊ぼうって」
「いや、言われてねぇし、言ってもねぇ。そもそも昨日会ってねえ」
「えっ?そうなの?でも確かに連絡は入れたぞ」
………マジで? 俺は慌ててポケットに入れてある携帯を取り出し確認する。
だけどなんにも連絡はきていない。
………はぁ?
どういう事だ? 俺は不思議に思って首を傾げる。
「おい、なんにも連絡きてないぞ」
「え?ちゃんと連絡は送ったはずだけどな」
俺は陽介が送ったというメッセージを見せてもらう。
送ろうとしている内容はこう書かれていた。
『今日これから遊びに行くから』
………いや、これだけ?
てかそのメッセージに未送信って書いてあるように見えるのは俺だけかな?
「おい、しっかりと未送信ってあるんだが?」
「はぁ?そんなわけ………マジじゃん………」
「このバカ………」
「ハハッ悪い悪い」
………こいつ絶対反省してないだろ。
「まあまあ良いじゃんどうせ誰もいないんでしょ~」
「いやお前はお前で決めつけてるんじゃねえよ」
失礼なことをいう奴だなまったく。
「え~だっていないでしょ?」
「お前の心ない一言が俺を傷つけたから絶対に入れん」
「ごめんなさい」
「わかればよろしい」
「………そろそろ良いか?」
「「ダメ」」
「なんでだよ!良いだろ俺も話に入れろよ!寂しいんだよ」
「うるさい。近所迷惑だぞ」
「そうだよ~ちょっと静かにしてよね。ほら早く中入れてよ~」
………あれ?
今こいつら中に入れたら不味くない?
俺こいつらにエスカリアさん達が一緒に暮らしてるって言ってないような………
俺の顔から血の気が引いていくのを感じる。
……ヤバイヤバイ。
これは非常にマズイ。
どうにかこいつらを家に入れないようにしなきゃ………
「お邪魔しまーす!」
「お邪魔しま~す」
「ってもう入ってる!?」
「いや、だって空なにも言わねえんだもん」
「そうだよ~………あれ?見覚えのない靴があるね~」
早希が俺の家に視線を向けるとそこにはエスカリアさんとアーニャさんの靴があった。
………終わった。
詰みましたわこれ。
俺は頭を抱える。
「ソラ様………?なにかありましたか………?」
そしてそんな時にタイミング悪くアーニャさんがリビングから出て来てしまったのだ。
俺が固まっていると、俺の前にいる陽介達の存在に気付いたようで、驚いた表情をする。
「えっ………あなた達は………」
「あっどうも。俺は立川 陽介です」
「………」
アーニャさんの姿を見た陽介は自己紹介をした。
しかしそれに対して早希は無言のまま、アーニャさんをじっと見つめていた。
「えっと………ご丁寧にどうも。私はアーニリカと申します」
「ああ、これはご丁寧にありがとうございます」
………あれ?大丈夫そう?
「ってどなたですか!?」
「なんで空の家にメイドさんがいるのかな~?」
アーニャさんと陽介達の会話が終わると同時に早希と陽介が俺に向かって詰め寄ってくる。
「え、あ、いや………それは………」
俺はなんとか誤魔化そうとするが、2人の圧に押されて上手く言葉が出なかった。
そしてそんな時に陽介が口を開く。
「まあまあ、落ち着けって早希。空も困っているみたいだしさ」
「でも陽介君だって気になるでしょ~?こんな美人な人でメイドさん家に居たら~」
「まあ、そりゃ最初はこいつどうやって○してやろうかな?って思ったけどさぁ」
「おい」
なんて事を企んでるんだお前は。
「よく考えたらこいつがなにもしないって事はなんか理由があっての事だろうしな」
陽介………お前ってやつは………
「だからさ………とりあえず話を聞いてみようぜ。○すのはそれからだ」
「おい、俺の感動を返せ」
こいつ………少しでも感動した俺が馬鹿だったよ。
「………まあいいや。それじゃあ、今度こそお邪魔しま~す」
「お邪魔しまーす!」
「ちょ、おい!」
「いいじゃん別に。減るもんじゃないし~」
「そういう問題じゃないんだよ!」
俺は慌てて止めようとするが、時すでに遅し。
早希は俺とアーニャさんが止める前に居間の扉を開いてしまった。
そして開いたら当然エスカリアさんと管理者さんがいるわけで………
「ひゃっ!ど、どなたですか!?」
「お客様ですしょうか?」
「………」
「………」
陽介と早希の2人は無言でこちらを見てくる。
その目はまるでゴミを見るかのような目だ。
そりゃそうだよねエスカリアさんはまだしも管理者さんはアーニャさんと同じメイド服なんだから。
「………空、これは庇えねえよ………」
「………うん、擁護できないよ………」
2人とも俺に冷たい目を向けながら言う。
「いや待て!これには深い事情があるんだ!」
「どんな?」
「そ、それはだな………」
「………」
俺の言葉を聞いた陽介は俺から視線を外すと、そのままエスカリアさんの方に顔を向けた。
そして少しの間沈黙が続く………
「………空………」
「………はい」
「………時間はあるからたっぷりと説明してもらうからね」
「………うっす………」
………こうして俺は陽介達に事の経緯を説明する事になったのだ。
………ちなみにその時の早希は今まで戦ってきたモンスターの誰よりも威圧感が強かった………
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