事情説明(後)
管理者さんが言った言葉に俺は固まった。
「えっと………つまり、この世界の人達が戦うってことか?」
「えぇ、そうです」
俺の質問に管理者さんは無表情で頷き肯定した。
この世界の人達が………戦う?
………どういうことだ?
「………この世界の人が戦う?なんで?そもそもどうやって?ステータスも武器もないのに」
「簡単です………既にこの世界にもステータスがあるんですよ」
「え!?」
「えっ?」
「え?」
「「「「…………」」」」
俺とエスカリアさんとアーニャさんは管理者さんの発言を聞いて固まる。
そして少しの間沈黙が流れた後、俺は管理者さんに質問をした。
「………管理者さん、それマジ?」
「はい、本当ですよ」
管理者さんは言う。
俺はエスカリアさんとアーニャさんに顔を向けると2人も首を横に振った。
………いやいやまてまて、そんな簡単に信じられないだろ。
………いや、管理者さんの言い方的に嘘じゃないのか?
そう思って管理者さんの方を見るが管理人さんは一切表情を変えていない。
「い、いやいやいや、管理者さん、それはさすがに………」
「いえ、ソラさんの言いたい事は分かります。私も信じて貰えないと思っています」
「ならどうして………」
「それは………見て貰った方が早いですね。ご覧ください」
管理者さんは俺の言葉を聞くとテレビの方を指差す。
俺達は3人は管理者さんに促されるままテレビに視線を向けた。
するとそこにはさっきまで映っていたニュース番組が映し出されている。
だが、さっきまでと同じような内容ではない。
テレビにはアナウンサーが真剣な顔をして話していたのだ。
『緊急速報です。先程から世界各地で"ステータス"と発言すると突如半透明のボードが現れました!これは一体何が起きているのでしょうか!』
…………は?
『現在SNSなどで確認できているだけで100万人近くがこの現象の報告がされています。情報によると―――――』
………なんだよこれ?
ダンジョンが出現した日本だけじゃなくてこんな世界中で起きてるって事か?
そんな事があり得るのかよ………
「………管理者さん、これって本当に起こってるんだよね?」
「はい、間違いなく」
管理者さんの返事を聞きながら俺は考える。
……もしこれが事実だとしたらこの世界はとんでもない事になるぞ………
だってそうだろ?
既にあんなダンジョンが出現してただでさえ今までの常識が覆されているのに加えてこれだ。
もうこの世界は俺の知っている世界ではなくなっているのかもしれない。
エスカリアさんとアーニャさんなんて唖然としているし………
まあ、そりゃそうかこの世界に来てから覚えた常識がさらにぶっ壊れたんだから。
「…………管理者さん、これからこの世界はどうなりますか?」
「そうですね……まずはステータス関係なくこの国の"自衛隊"と呼ばれている組織が"銃"を使ってモンスターと戦って勝てるかですね」
「………それはどうなんでしょうかね」
管理者さんの言葉を聞いた俺は思わず呟くように言ってしまう。
銃は確かに強いだろう。
だけどそれはあくまで普通の人間相手だったらだ。
モンスター相手に通用するかわからない。
「………とりあえず、今は様子を見ましょう。まあ、適度に俺もモンスターを狩りにはいきますけど」
「そうしていただけると幸いです。境界のシステムが破壊される前にあちらの世界とこちらの世界の境界の壁を最高硬度にしてきたので破られることはないはずですが………万一という事もあり得ますから」
管理者さんがそう言うとエスカリアさんが恐る恐るといったように手を上げながら口を開く。
「あの………話の流れを遮るようで悪いのですが、一ついいですか?」
「はい、構いません」
「もちろん」
「ありがとうございます。あの、さっきから銃と仰っていますが、銃とはなんなのでしょうか?名前だけはソラさんに教えて貰ったので知っているのですが………」
「あぁ………そうですよね………この世界の事を怖がってしまわないように見せてなかったんだけど……」
俺がそういうと管理者さんは俺の顔を見てくる。
………いや、そんなに俺を見られても困るんですが。
いきなり銃の実際の映像なんて見せるわけなかろうに。
「えっと………どうしようかな………」
俺はそう言ってエスカリアさんとアーニャさんの2人に目を向ける。
2人とも俺の方を見て首を傾げていた。
………どうする?
「………仕方ないか………実際に見せた方が早いな」
俺はそう言うと管理者さんに話しかける。
「管理者さん、ちょっとだけ2人に見せても大丈夫ですかね?まだこの世界の事をよく知らないので」
「えぇ、問題ありません」
「わかりました」
管理者さんの許可が出たので俺はエスカリアさんとアーニャさんに向き直ってスマホを手に取る。
そして画面を操作してからエスカリアさんとアーニャさんに見せる。
するとエスカリアさんとアーニャさんは驚いたような表情を浮かべた。
俺はその反応に苦笑しながら2人に声をかけた。
………さすがに驚くよな。
俺は2人の方を見ながら心の中で思う。
「………2人は初めて見ると思うが、これが"銃"だ」
俺の言葉に2人は俺が持っているスマホに視線を向け続けている。
そして少しの間沈黙が流れた後、俺は言葉を続けた。
「………まあ、簡単に説明するならこんな感じだな」
そう言いながら俺はスマホの画面に映っている銃の映像を止める。
「………すごかったですわ………」
「ソラ様、あれは魔法を使っていないのですか?」
「うん。一切使っていないよ」
「そうなのですね………凄まじい威力ですね」
「そうだね」
そっからはしばらくエスカリアさんとアーニャさんと話をした。
ちなみにその間、管理者さんはずっと無表情だったが、俺達と会話をしている時はどこか楽しげな雰囲気を出していた気がした。
「それでは話を戻しましょう」
「ああ、はい」
管理者さんがそう言ったので俺はエスカリアさんとアーニャさんは話をやめて管理者さんの方を見る。
「ありがとうございます。話を戻しますと、自衛隊がこの銃であのモンスター達に勝利して経験値を得られればレベルが上がるようになります」
………なるほど。
管理者さんの言葉を聞いて俺は納得をする。
つまり銃は弓や魔法と同じように遠距離攻撃での判定になるってことかな。
「そして………自衛隊がモンスターを倒すことができれば魔石の存在にも気付くでしょう」
「……なるほど」
「そうすれば魔石の研究も始まるでしょう。それにレベルが上がり、ステータスが上がれば身体能力も上がりますから銃を使うこともなくなると思います」
「………確かに」
実際俺もステータスが上がったからか、前よりも体が軽いし動きやすいし力がかなり強くなってる。
そのうち魔法や武器を使って戦った方が強くなれるだろうな。
「しばらくは様子見ですね。私もできる限りサポートしますので安心して下さい」
「はい、よろしくお願いいたします」
「ありがとうございます!管理者様!」
……こうして俺達は管理者さんとの話し合いを終えたのであったのだった。
おまけ
「あれ?そう言えば管理者さんこれからどうするんですか?」
「どうするとは………?」
「いや、住んだりする場所は………」
「………どうしましょう………」
「………管理人さんって結構抜けてるんすね………」
その後、我が家に1人住人が増えたとさチャンチャン
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