異常現象(後)
「はあっ………はあっ………あ゛ーっ!数が多いんだよ!【ウインドカッター】!」
どれくらいたっただろうか?
………一体何体のモンスターを狩ったのだろうか?
両手鎌だけでなく魔法も使って戦っているが数が多すぎて途中から数えるのは止めた。
倒したモンスターの数なんて分からないし、どうでもいいことだ。
ていうか【吸魂】してないのにレベルがサクサク上がっていっている気がする。
そのお陰かステータスがどんどん上がって自分でも動きが良くなっていっていると思う。
こいつら強さはそこまでではないけど数が多いんだよなぁ………
今のところ狩ってきたモンスターはカメレオンのようなモンスターと豚のようなモンスターと犬のようなモンスター、それに猪のようなモンスターだ。
それぞれ名前はクリアドラコ、オーク、ワイルドウルフ、ワイルドボアというらしい。
ちなみにこれがそれぞれのステータスだ。
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名前:なし
性別:♂
種族:クリアドラコLv:11
体力:600/600 魔力:280/280
攻撃:150
防御:200
俊敏:240
器用:160
知力:150
幸運:30
所持SP5
魔法スキル:なし
取得スキル:【透化Lv5】
固有スキル:なし
称号:なし
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名前:なし
性別:♂
種族:オークLv:15
体力:700/700 魔力:150/150
攻撃:300
防御:250
俊敏:53
器用:45
知力:59
幸運:32
所持SP10
魔法スキル:なし
取得スキル:【棍棒術Lv4】【攻撃強化Lv3】
固有スキル:なし
称号:なし
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名前:なし
性別:♂
種族:ワイルドウルフLv:18
体力:800/800 魔力:100/100
攻撃:200
防御:152
俊敏:480
器用:60
知力:40
幸運:20
所持SP7
魔法スキル:なし
取得スキル:【爪牙Lv.4】【連携Lv.2】
固有スキル:なし
称号:なし
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名前:なし
性別:♂
種族:ワイルドボアLv:18
体力:1100/1100 魔力:50/50
攻撃:320
防御:130
俊敏:380
器用:10
知力:20
幸運:13
所持SP6
魔法スキル:なし
取得スキル:【突進Lv.MAX】【体当たりLv.3】
固有スキル:なし
称号:なし
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………まあ、格下ばっかりだな。
それに今の俺は塔の出入り口の前に陣取って戦っているから、外に逃げようとしてくる奴らを優先的に倒しているせいであまり他の場所にいるモンスターにはどうしようも出来ない。
………本格的にどうしようこれ………
「ブモオォオオオッ!!」
そんなことを考えていた時でも普通にモンスターは襲ってくる。
ワイルドボアが俺に向かって突撃してきた。
それを俺は避けることなく正面から両手鎌を振り下ろしてワイルドボアを縦に両断する。
俺に両断されたワイルドボアはその両断された切り目から血を流して塵となって消えていった。
「さすがにそろそろ疲れてきたな………!」
疲れてきたが襲ってくるモンスター達はいなくならない。
ずっと両手鎌を振っているし魔法も使い続けている。
「はあっ!もう面倒くさい!!【ウィンドカッター】!」
俺はイラついてきて魔法で一気に片付ける。
とりあえず俺が放った【ウインドカッター】の射線上にいたモンスターは全部死んだみたいだ。
だけどまだまだモンスターは塔から出てくる。
その数は多いけどまだ今の俺ならなんとかなるはずだ。
………それでも早くなんとかしてもらわなきゃどうしようもならない………
「ああーっ!もういい加減止まれよっ!?」
そう叫んでもモンスターが出てくるだけで何も変わらない。
それどころかまた新しいモンスターが現れた。
今度は熊のモンスターだ。
「うげぇっ!マジかよ……【ウィンドカッター】!」
「グルアァッ!?」
俺が再び【ウインドカッター】を放つと、その風の刃に対して熊型のモンスターは腕を交差させて防御したが、風の刃によって防御に使った両腕ごと首を狩られた。
「はぁ………まだ続くのか………」
俺はすぐに塔の入り口に戻って扉を開けるとそこには今までよりもさらに多くのモンスターがいた。
そしてそのモンスター達が一斉に俺へと向かってくる。
「くそっ………いつまで続くんだよ………!」
俺が弱音を吐いたそんな時だった。
突如空から光がさした。
その光は俺がいる周辺だけでなく塔を中心としてかなりの範囲を照らした。
まるで昼間のように明るくなったのだ。
突然の出来事にモンスター達の動きも止まった。
「な、なんだ?」
俺はその光の出所を探すために周りを見渡す。
そんな時だった。
『ピコン』
ずいぶん長く聞いてなかった音が鳴った。
この音は、この通知音はメッセージが届いた音。
現時点でそれをしたのは1人?しかいない。
「管理者さん!?」
俺は慌ててメニュー画面を開くとその通知を確認する。
するとそこにはこう書かれていた。
『お久し振りです。突然ですが申し訳ありませんが、今すぐそこから離れてください』
「えっと………どういうことですか………?」
『そのままの意味ですよ。今から光が差している塔………ダンジョン一帯を『ゴブリンキングの巣』と同じように隔離します』
「はぁっ!?ちょ、ちょっと待ってください!いきなり過ぎませんか!?それにダンジョン!?」
『ごめんなさい。でも貴方にとっても都合が良いと思いますよ?』
「………それは………まあ、確かに………」
正直言うとこれ以上モンスターの大群を相手にするのは結構しんどい。
それに管理者さんの話を信じるのならこの光が差し込んでいる場は『ゴブリンキングの巣』と同じように隔離されるらしいから安全になるだろう。
「くっそ!後で説明してもらいますよ!」
俺は俊敏のステータスをフルに使ってその場から離れる。
向かうのは人が多く感じられる方向。
俺は心の中でため息をつきながら人の気配がある方へ【飛翔】スキルを使い飛び出したのだった。
***
結論から述べよう。
俺は万が一の事を考えて人が多い所のビルの屋上に降りたのだが、そこで見た光景は俺の心配なんて杞憂だって事がわかった。
俺が光が差している場所から脱出したら光は消えて止まっていたモンスター達も動き始めた。
そしてそのモンスター達がまた人を襲い出す。
そう思った俺はビルの屋上から飛び降りてモンスター達に近づこうとした。
だが、モンスター達はなにか見えない壁があるのかさっきまで光が差していた場所から境界ができてるようにそれ以上は進まなかった。
これでモンスターの対処は大丈夫そうだ。
それに光の中にまだいた人だろうかどんどん俺がダンジョンで転移したように人が現れてきている。
「さて………これからどうしようかな………」
今はとにかくあの管理者さんの説明を聞きたい。
なぜこうなったのか、何が起こったのか………聞きたいことはたくさんある。
だが、それより………
「くそ………皆は無事か………?」
管理者さんから送られてきたメッセージにはここから離れてと書かれていた。
それにモンスター達もつまりここから離れても問題無いだろう。
アーニャさんはユキにまだ幼いがファムもいるから大丈夫だと思いたい。
それにエスカリアさんも陽介も早希も雪奈さんも玲奈さんも人が多い場所にいるんだからなにかあったとしても対処できていると信じたい。
俺はそう願いながらビルから飛び降りるのと一緒に【飛翔】スキルを使って楽泉町に戻るのだった。
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