メイドの気持ちと言語問題の解決

俺はエスカリアさんとアーニャさんにこの世界について教えていた。

そしてその間俺は同時進行で言語問題を解決するための策を考えていた。

だが、中々思いつかない。

そうして考えているうちに夜になり、2人を寝室に案内したらやっぱり疲れていたからなのか2人がすぐに寝てしまったので今は居間で言語問題の解決方法を考えていた。


「う〜ん」


しかし、どうしたものか。

やはり言語の問題は大きい。

2人が異世界から来た人間だとバレれば間違いなく面倒事が起こるだろうしなぁ………

本当にどうするかなぁ。


「ステータス」



俺は自分のステータスを確認することにした。


------


名前:神山 空

性別:男

年齢:16歳

種族:人間Lv.50(進化可能)/レイス(進化可能)Lv.50

職業:魔法使いLv.50(転職可能)



体力:1200/1200 魔力:3164/3164

攻撃:1037

防御:377

俊敏:357

器用:224

知力:1227

幸運:212



所持SP335

魔法スキル:【風魔法Lv.7】【火魔法Lv.6】【付与魔法Lv.5】【回復魔法Lv.3】【水魔法Lv.1】

取得スキル:【暗記Lv.4】【速読Lv.2】【柔術Lv.4】【鑑定Lv.4】【看破の魔眼Lv.3】【飛翔Lv.4】【怪力Lv.5】【跳躍Lv.1】【斬撃強化Lv.3】【頑強Lv.3】【吸収Lv.6】【棍棒術Lv.8】【アイテムボックスLv.3】【鎌術Lv.6】【錬金Lv.3】【鍛冶Lv.3】【絵画Lv.2】【マップ】【気配感知Lv.4】【拳術Lv.2】【】

種族スキル:【魔力操作Lv.7】【魔力増加Lv.4】【物理攻撃耐性Lv.2】

職業スキル:【知力強化Lv.7】【魔力消費減少Lv.3】【魔法威力上昇Lv.3】

固有スキル:【吸魂Lv.4】


称号:境界の管理者の協力者


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めちゃくちゃレベルが上がってステータスが上がってる………

しかも進化と転職ができるように………でもこれは………今はちょっと怖いな。

前までは1つずつだったから何も考えないで実行したけど複数できると影響が怖いな。

とりあえず進化と転職は後にしよう。

そしてスキルが………おっ?


「もうこれしか無いよな……」


俺は決心した。

地獄の作業をすることを。

………………………やだなー………


《アーニャside》


目を覚ますとまずは見覚えのない天井が目に入る。


「………ここは?」


そして部屋を見渡すと私が寝ていたベッドとは別にもう1つベッドがあり、そこにお嬢様は寝ていた。

そしてそれを認識すると同時に昨日までの事を思い出してくる。


「そうでした……私達は……カミヤマ様に助けられて………」


昨日カミヤマ様に助けられてカミヤマ様の家に連れられて来たのだった。

それで、そのあとは…… 私は思い出す。

カミヤマ様に言われたことを。

異世界に来たこと、言葉が通じないかもしれないということ、魔法はなく科学というものが発展していること。

そして私達をこれからも助けてくれると言ってくださった。

そしてその後は私達の事情を説明してから寝室に案内されて………そこまで思い出すと顔が熱くなる。

そうでした………お嬢様がベッドに横になったらすぐに眠ってしまわれて……私もすぐに………

幸い寝室に案内してくださった時点でカミヤマ様にはもう休んでも大丈夫と言われていましたから良かったですが………

それにしても久しぶりにこんなにゆっくり寝ました。

お嬢様と共に城を追われてからというものの休む暇なく逃げ続けていましたからゆっくり眠る暇もありませんでしたし。

ですが、既に追手を撒けていたのか追手の気配がなかったのも幸いでした。

あのまま追われ続けていたら今こうしていられるかわかりませんでしたからね。

………まあ、ゴブリン達に襲われてしまった時に疲労が溜まってしまい抵抗もろくにできず意識を失ってしまったのですが。

カミヤマ様には本当に感謝してもしきれない。

カミヤマ様に助けていただけていなかったらどんな目に遭っていたかわかりませんでしたからね。

しかし………

チラッとお嬢様を見る。

本当に可愛い寝顔をしています。

この状況にとても安心しきっているようですね。


「ふふっ」


思わず笑みがこぼれてしまう。

確かにお嬢様は幼い頃からずっと一緒にいましたがここまで安らかな表情は久しぶりに見るかもしれません。

それだけ心を許しているということでしょう。


「……んぅ〜」


するとそんな私の視線を感じたのかお嬢様の口から声が漏れる。

起こしてしまったでしょうか? いえ、ただ寝返りを打っただけのようでまだ眠っているようです。

少し残念ではありますがこの寝顔もまた愛らしいものです。


「よし!」


私は頬を両手でパシッと叩いて気合いを入れる。

少しずつでもカミヤマ様に恩を返していきましょう。

まずは家事をさせていただきましょう。

幸い昨日の内にカミヤマ様に色々教えていただけたのですぐにでもとりかかれます。

そうと決まれば早速取りかかりましょう!

まずは着替えを用意しなければいけませんね。

それから朝食を作って………

ふふっ………することがたくさんあって困ってしまいますね。

私はカミヤマ様に用意していただいた服に着替えて部屋を出る。

仕事をメイド服以外の服ですることに違和感を覚えますね。

居間にカミヤマ様はいないようですからまだ起きていないみたいですが朝ごはんはどうされるのでしょう?

まさか食べずにどこかへ行ってしまうなんてことはありませんよね?


「?」


そんな事を考えていたら居間の窓から見える倉庫から魔力を感じました。

あそこにいらっしゃるのでしょうか?

私は居間から出て玄関まで行き、サンダルという靴を履いて倉庫に向かいます。


「カミヤマ様?ここに………いらっ!?カミヤマ様!」


私が倉庫の扉を開けるとそこにはたくさんの指輪と壁を背にして座り込んでいるカミヤマ様がいた。


「えっと……アーニャさん?おはようございます」


「は、はい、おはようございます……ではなく、お体は大丈夫なのですか!?」


「ああ、ちょっと魔力を使いすぎただけだから大丈夫だよ」


「で、ですが……」


私はカミヤマ様のところへ行き、カミヤマ様の顔の前に手を差し出す。

カミヤマ様は一瞬キョトンとされていましたが、私が何をしようとしているのかわかったのかご自身の手を私に差し出してくださいました。

私はカミヤマ様の手を掴み引っ張り上げるようにして立ち上がらせようとするのですがカミヤマ様が立ち上がってくださいません。


「カミヤマ様?」


「ごめん、アーニャさん、もう少しこのままでいいかな?ちょっと力が入りにくくて………」


「はぁ……わかりました。少々お待ちください」


私はカミヤマ様の横に座り込んでカミヤマ様の肩に手を置くと、そのまま自分の方に引き寄せるようにしてカミヤマ様の体を私の足を枕にするように倒します。


「………アーニャさん?これは?」


「カミヤマ様が動こうとしないので私が楽な体勢にしただけですが何か問題がありましたか?」


「……ないけど……あるような……」


「なら良いではないですか。それともやはりお体に異常があるのですか?」


「いや、そういうわけじゃないんだけど……その………この体勢は膝枕じゃ………」


「どうしましたか?」


カミヤマ様は顔を赤くして目を逸らしながら言いましたが私にはカミヤマ様が何を言いたいのかわかりませんでした。

一体どうされたのでしょうか?


「えっと………いいの?体勢、辛くない?」


「はい、これくらい平気です」


「そっか……じゃあこのまま頼んでもいいかな?」


そう言うとカミヤマ様は私の太ももに頭を乗せられ、顔を私に向けないように横になります。

しかし、先程のような辛そうな様子は見られませんのでこれで良かったのでしょう。

カミヤマ様はそのまま静かに呼吸をしていらっしゃいます。

私はそんなカミヤマ様のお顔を見つめながら頭を撫でていました。


「カミヤマ様……」


私は今幸せです。

こんなにも優しい方に出会えたことに……


「カミヤマ様……」


「ん?どうした?」


「いえ……何でもありません」


「ん?何だかわからないけどまあいいか………あ、そうだった」


「どうかされましたか?」


「うん、忘れる前にさ。はい、これ」


カミヤマ様はポケットから指輪を2つ取り出し、それを私の手に握らせるように渡してきました。

そこに山積みになっている指輪とは違ってひび割れていたりするものではなくちゃんとしたものですね。


「あの、これは?」


「2人の言語問題をなんとかするための指輪だよ。この指輪には【言語理解】のスキルが付与されているからお互いの言葉を理解できるようになってるはずだ。だから後で試しに使ってみてくれないか?」


カミヤマ様は真剣な表情で説明をしてくれます。

私はそんなお顔を見て嬉しく思うと同時に胸の奥が温かくなっていく気がします。

私はカミヤマ様から頂いた指輪を大切に握りしめます。

そして私はカミヤマ様に微笑む。


「ありがとうございます。大切に使わせていただきますね」


「ああ、そうしてくれ。こんだけ苦労したのに要りませんとか言われてたら泣くところだったよ」


「ふふっ、そんなこと言わないですよ。返してくれといわれても絶対に渡しませんよ」


「そんな事いうつもりはないけど……ね………サイズは自動調整されるからはずだから大きさは関係ないよ」


「わかりました」


「うん………そうだ、文字も読めるか………試して……みて………ね………」


「………カミヤマ様?」


カミヤマ様を見ると目をつぶっている。私は慌ててカミヤマ様の口元に手を当ててみると微かに息をしているので眠っているだけのようです。

魔力切れを起こしておられたのですから無理もないですね。

私はため息をつくとカミヤマ様の寝顔を眺め続けます。


「本当に……優しい方です……」


私はカミヤマ様のおでこに軽くキスをする。

起きていたら恥ずかしくてできない行為ですが今は眠っておられるので構いませんよね。


「カミヤマ様……」


カミヤマ様に頂いた指輪を見つめる。

そしてそのまま左手の薬指につける。


「私の心はもう貴方のものです。カミヤマ様……」


私は眠るカミヤマ様の横顔をずっと見つめ続けるのでした。


《神山side》


朝起きるとアーニャさんが俺の膝枕をしながらじっと見つめてくる。

その視線が妙に熱を帯びていてドキッとしてしまう。

魔力を使いすぎて倒れてしまったのでアーニャさんに迷惑をかけてしまった。

まさかあそこまで【付与魔法】の【スキル付与】が成功しないとは………

素体となる指輪は【錬金】スキルで直ぐに作れた

し、必要だった【言語理解】のスキルはSPが足りたから取得できたから良かったけどな。

それでも【スキル付与】を失敗したら壊れかけてしまったら【スキル付与】は使えなくなってしまうからその度に作ったしな。

そのせいであれだけあった俺の魔力がすっからかんになってしまった。

………まあ、膝枕って………恥ずかしかったけど正直嬉しかった。

まぁ、アーニャさんが嫌がらなかったのは幸いだけど…… 俺は気まずくなりながらもゆっくりと体を起こす。するとアーニャさんはハッとした表情を浮かべて立ち上がる。


「あ、おはようございます。カミヤマ様」


「お、おはよう」


「お体の方は大丈夫ですか?」


「う、うん魔力は回復したから問題ないよ」


「そうですか……よかったです」


アーニャさんはホッと安堵のため息をついた。

そんな姿も可愛らしく見える。


「はっ!朝食の準備をしてきますので少々お待ちください!」


「あ、うん……わかった」


慌ただしく倉庫から出ていくアーニャさんを見送って山積みになっている指輪の山を全部【アイテムボックス】にしまってから俺も後に続く。

仕舞ってて思った。

俺、失敗しすぎな。

数が多すぎて【アイテムボックス】に仕舞うのにかなり時間がかかってしまった。

正直もう2度と【スキル付与】は使いたくない。

倉庫を出ると既に日は昇っていて外は明るくなっている。

昨夜は結局あれから何も食べていないから腹が減ってきた。

俺はそのままの足で居間に向かう。

そこではアーニャさんがキッチンに立っていた。


「カミヤマ様。お待たせしました」


「ん?何作ったの?」


「はい、サンドイッチを作らせていただきました。お口に合うといいのですが……」


そう言ってアーニャさんは皿に盛り付けられたサンドイッチを机の上に並べてくれる。

皿には色とりどりの具材を挟んだサンドイッチが並んでいる。


「おお~うまそう」


「ふふっ、ありがとうございます」


「じゃあさっそくいただきます……うん、うまい」


「ありがとうございます」


アーニャさんはとても嬉しそうな笑顔を見せてくれた。

………………やばい、可愛いすぎるんですけど。

そんなことを考えながらアーニャさんの用意してくれた朝食を食べ終えると少し落ち着いたのか冷静になってくる。


「ごちそうさまでした。………そういえばエスカリアさんは?」


「はい。お嬢様はまだ「ふわぁ~………おはよおうございます………」いま起きたみたいです」


「……なるほどね……」


俺は苦笑いを浮かべる。

まぁ、エスカリアさんも疲れていただろうし仕方ないと思うけどね。


「カミヤマ様……おはようございます……」


「はい。おはようございます」


寝ぼけているのかな?

まだ眠そうだし……

アーニャさんはクスリと笑う。


「お嬢様、カミヤマ様に失礼ですよ」


「う~んまだ眠いんです………」


「はぁ……カミヤマ様。申し訳ありませんがエスカリア様をお部屋までエスコートしていただいてもよろしいでしょうか?」


「え、ああいいよ」


俺は立ち上がってエスカリアさんに近づくと手を差し出す。


「ほら、手を貸すから掴んで」


「は、はい……」


エスカリアさんは目をこすりながら俺の手を掴むとゆっくり立ち上がる。


「ではカミヤマ様よろしくお願いします。私も後片付けが終わったら直ぐに参りますので」


「オッケー。わかったよ」


俺がそういうとアーニャさんは一礼してキッチンに戻っていった。

さて、それじゃ行きましょうかね。

ほら、こっちですよ~

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