俺、結構うまくね?

「………できたぞ……やっと………」


あれから数時間、魔方陣を描くために必要な魔石(小)を使って【錬金】スキルで魔方陣を描いた。

いや、本当に大変だった。

魔方陣を描くための画材に魔石が必要で魔石を砕く必要があった。

そこまでは特に難しい作業でもなかったから良かったんだ。

だけど魔方陣を描く時に魔力を常に流す必要があって更に1回のミスも許されずミスったらまた1から作り直し。

この作業のせいで今まで手に入れてきた魔石をホブゴブリンの物を除いて全て使うことになったし、【魔力操作】、【魔力増加】のスキルがそれぞれ2と1レベル上がったし【絵画Lv.1】も取得してしまった。

………そこからレベルも更に1上がったしな………

ちなみにこれができた魔方陣だ。


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名前:錬金用魔方陣

品質:B

説明:錬金する為に必要な魔方陣が描かれたもの。

魔方陣は劣化しないが描かれている物が普通の紙のため耐久性はそこまで高くない。

魔方陣には桁外れの魔力が込められている。

製作者:神山 空

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……もう二度とやりたくない……

ちなみに品質はF~SSランクと分かれていてそのランクの中でも特に品質が良い物は+がつくらしい。

だからBランクは結構良い物のはずだ。

というかあんだけ苦労したのにそこまでランクが高くなかったら管理者さんにストライキを起こしてしまう。

まあ、これでようやく俺が求めていた物が作れるようになった訳だ。

さてと、それじゃ早速作っていきますか!


ここに素材を魔方陣を描いた錬成すれば完成だ。

まずは……そうだな、どうせなら良い素材を使った方が良いよな?

となると俺の持ってる物の中だと………


「この2つだよな………」


俺が【アイテムボックス】から取り出したのはホブゴブリンから取れた

魔石と斧。

うん、というかこれしか無いわ。

あとは買ってきた鎌ぐらいかな?

ちなみに魔石と斧についてはこんな感じ。


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名前:魔石(中)

説明:魔物の体内に生成される魔力の結晶。

魔力濃度が高く純度も高いため魔法を使う際の媒体などに重宝される また、加工することで様々な用途で使用される。

魔石(小)より更に魔力濃度が高く純度も高くなっている。

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名前:ホブゴブリンの戦斧

レアリティ:並

品質:C

説明:ホブゴブリンが持つ大型の戦斧。

重く扱いにくいため使用者は少ない。

武器としての性能は低いが持ち主の攻撃ステータス次第ではとてつもない威力を発揮する。

製作者:ダンジョンマスター(ゴブリンキング)

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うん、鑑定結果を見る限りなかなか良さそうではある。

それに斧に関しては品質とは別にレアリティがという項目があった。

この項目は〔劣化〕〔下級〕〔並〕〔中級〕〔上級〕〔最上級〕〔伝説級〕〔神話級〕の9段階に分かれていて品質次第で下のランクが上のランクを上回る事があるらしい。

けど俺ではこれをどう【錬金】して使うか分からない。

だけど頭の中にはどんな風に【錬金】して使うかレシピが浮かんでくる。

これは多分というか確実に【錬金】スキルの力だろう。

まあ、やっぱり最初に作るべき物はこれだよな。

俺は斧を魔方陣の描いてある紙の上に乗せる。

紙からめちゃくちゃはみ出してしまっているがまあ大丈夫だろ。

………これ斧の重さで床抜けないよな?

床からギシギシって音が聞こえてくるんだけど床が抜けて一階まで落ちていかないよな?

心配になってしまった俺は【アイテムボックス】に斧と魔石、そして魔方陣が描いてある紙を持って庭にある倉庫に持っていき、倉庫の床に【アイテムボックス】から斧を取り出して改めて文字の魔方陣の上に置いておいた。


「よし、それじゃ早速………【錬金】」


イメージするのはインゴット。

柄まで金属でできているこの斧を全て余すこと無く1つのインゴットに作り替える。

すると目の前に黄緑色の光が溢れてきて次の瞬間には魔方陣の上には金属のインゴットが出来上がっていた。


「おおっ!できてる!」


思わず声が出てしまった。

まさか本当にできるとは思ってなかったし。

それじゃあ毎度お馴染み【鑑定】、【鑑定】~。


------

名前:魔鉄のインゴット

品質:C

説明:魔鉄でできたインゴット。

錬金術などに使用されることもある。

魔力が込められていて普通の鉄より頑丈になっている。

製作者:神山 空

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品質もCになってしまったが、名前が『魔鉄』になってるし間違いないちゃんと魔鉄のインゴットを作ることができた。


「ふぅー……」


なんとか失敗せずできたみたいだ。だけどこれで終わりじゃない。

次はゴブリンの棍棒を【アイテムボックス】から取り出す。

そしてそのまままた魔方陣の上に置いて浮かび上がってきたレシピの1つをイメージする。


「【錬金】」


今度もまた黄緑色の光が溢れ出てきた。

その光は一瞬強く輝いたがすぐに収まり、そこには普通の物よりかなり小さいが角材がしっかり置いてあった。


「よし、成功だ」


とりあえず成功したことに安堵した。

そして次に作る物はもう決まっている。

それは戦闘用の鎌だ。

ていうかそのためにこのスキルは貰ったんだからな。

俺はまた同じ様に魔鉄のインゴットと角材を魔方陣の上に置く。

作る鎌は柄の部分を木材にしてその上から魔鉄でコーティングするようにする。

その方が刃先とのバランスもいいはずだ。

………あと単純に魔鉄のインゴットの密度を高くしてしまったから魔鉄が柄も完全に魔鉄製にするにはかなり足りない。

結果出来上がったのがこちら。


------

名前:魔鉄の両手鎌

レアリティ:

品質:B

説明:魔鉄で作られた鎌。

魔力が込められていて普通の鉄より丈夫になっている。

武器としての性能も高く、切れ味や耐久性なども抜群である。

桁外れの魔力が纏われていて魔法発動体としても使える。

製作者:神山 空

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名前はシンプルだが性能的にはなかなかいい感じだと思う。

それに色々と使い勝手の良さそうな部分もある。

まず武器としての性能が高い。

草刈り用の鎌とは比べ物にならないくらい頼もしく思える。

それに当たり前だが両手鎌な分圧倒的に草刈り用の鎌より長いし大きい。

ホブゴブリンと戦っていて分かったがリーチの差というのは本当に重要だ。

俺はこれまで片手で鎌を使って戦ってきたが正直この長さの鎌があれば戦い方の幅がかなり広がると思う。

しかも魔法発動体の役目も果たしてくれるらしい。

これはありがたいな。

……ただ欠点があるとすればやっぱり重い事だろう。

多分ステータス的に余裕で振り回せるだろうが【鎌術】スキルのスキルレベルを上げておいた方が良いかもしれない。

まあ、そこは追々考えよう。

そして最後にこれが一番重要なのだが……


「これ、めっちゃカッコイイ!!」


そう、見た目がマジでカッコイイのだ!!

シンプルなデザインに黒をベースに所々赤黒い線が入っている。

なんかかつて捨てた厨二心がくすぐられる。


「これはテンション上がるわ〜」


思わずニヤけてしまう。


「……あっ、そうだ」


折角だから試し切りしたい。

俺は庭に出てさっき作ったばかりの鎌を振り上げる。

そしてそのまま勢いよく地面に向かって振り下ろした。


「うおっ!?」


すると俺の予想以上のスピードが出て驚いた。

確かにこれなら使いこなせれば今までの倍近い速度で刈れるかも……

いやでも流石にこの速度はちょっと危ないか?

そんなことを考えながら少し調整してもう一度地面に向かって振ってみた。

すると今度は思ったよりスピードが出過ぎて危うく自分の足に当たりそうになった。


「あぶねっ!」


もう少し加減しないとダメだな。

重さが一気に重くなったし片手持ちから両手持ちになった事もあってバランスが崩れているようだ。

一度深呼吸をして落ち着いてからまた振る。


「うん、大丈夫だ」


そして何度か振った後、一旦止める。

魔法も試してみたいがさすがに庭じゃ試すわけにはいかない。

さすがに昼間とはいえいつまでもこの大きな鎌を振り回しているわけにはいかない。

まあ、見られても普通こんなばかでかい鎌を振り回している奴がいるわけ無いから通販かなにかで買った厨二病患者と思われるだけだろうけど、それでも万が一という事もある。

とりあえず【アイテムボックス】に入れておくか。


「【アイテムボックス】」


手に持っていた両手鎌をアイテムボックスの中に入れる。

よし、武器も手に入れたしこれでダンジョンに入れる。

俺は新しく手に入れた武器に胸を躍らせていたのだった。

………だけど、買った草刈り用の鎌2本とも無駄になっちゃったな………

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