侵入?いやいや、普通に入っただけですよ?

「く、くぅ~………っ!」


朝になり目が覚める。

そして伸びをして気づいたがどうやら筋肉痛も大分良くなったみたいで痛みもほとんどなくなっていた。

時計を見たら9時。

事故にあったのが10日前のはずでその日は月曜日だったから今日は木曜日。

本来だったらこの時間は学校へ行かなければならない時間帯で遅刻が確定してしまう時間だが、昨日爺ちゃんと話してしばらく休むことが決定したから特に問題なし!

さすがにまだ体が重い感じはあるが動けないほどじゃないし、多分このまま動けば大丈夫だろう。

そう思ってベッドから出てリビングに向かうと朝ごはんが机の上に置いてあった。

今日は洋食みたいでウインナーと目玉焼き、サラダが皿に盛り付けられていてラップがかけられていた。

だけど爺ちゃんの姿はなく、もう出かけたみたいでいなかった。

それを確認した俺はパンを1枚トースターで焼き冷蔵庫からドレッシングを取り出して椅子に座る。


「いただきます」


そしてパンを一枚とりかじりながらテレビをつける。

昨日のニュースではあの楽泉山の事件について取り上げられていたが、今日の時間帯のニュースではさすがに取り上げていなかった。

………昨日から嫌な予感がしてるから今日またなにか新しい情報はないかと期待したが、これはこの時間に起きた俺が悪いな。


「ごちそうさまでした」


とりあえずを終えた俺は食器を流し台において洗う。

洗い物が終わってからはしばらくソファーで魔力操作をしながらゆっくり過ごしていたのだがやっぱり嫌な予感が消えない。

昨日、あのニュースを見てから嫌な予感がしていたからこの嫌な予感の原因は楽泉山にあるのは確実なんだけど………


「よし!考えてたって仕方がない!」


結局いくら考えたところで答えが出るわけでもないんだし、直接行って確かめればいいだけじゃんね?

最悪爆上がりしたステータスなら…あれ?


「そういえばこの状態でもステータスって反映されてるのか?」


ふと思い出す。

【鑑定】や【魔力操作】が入院していた時の昼間に出来てたんだから反映されてるとは思うがステータスの方は何一つ分かっていない。


「まぁいいか。行きながら確認すればいいか」


最悪スキルが使えることは分かっているから【飛翔】スキルで逃げればいい。

ということで準備を整えて家を出る。

持ち物は飲み物と財布、スマホだけだけどな。


「いってきます」


誰もいないけど一応声をかけて玄関の鍵をかける。

そして自転車に乗って楽泉山に向かった。

ちなみに道中でもやはりマスコミが沢山いてちょっと引いてしまったのは内緒だ。







~数分後~

自転車を走らせること数十分でようやく到着した。

自転車を止めて近づいてみる。

だが、やっぱり死体が見つかったからか警察が既に黄色いテープを張っていて数人の警察官が侵入されないように立っていた。

少し離れたところにはマスコミらしき人が大量にいるし……なんか帰りたくなってきた。

でもここまで来たんだし覚悟を決めて行くしかないよな……

それにしても改めて見ると本当にすげえな現場だよな…… そんなことを考えながらまた近づいていく。

すると俺に気付いた警察の人が話しかけてきた。


「君、ここからは立ち入り禁止だから入らないようにね?」


「あ、はい!すみません……」


…やっぱり無理か…ここで帰ってもいいんだけど、それだとここまで来たのが無駄になっちゃうからな……


「君は学生さんかな?」


「まあ、そうですね」


「こんな時間にここに来るなんて学校はどうしたの?」


………不味い、とっても不味い

馬鹿正直に事故の大怪我が何でかは分からないんですけど、1日で治っちゃったんで退院したばっかりなんで学校休んでますって言ったら頭おかしい奴かと思われるし、そもそも境先生に言うなって言われてんだからそもそも正直に言えん!

なんとか誤魔化さねば…


「いえ、特に用事はないです。学校もちょっと休んでて、ただ散歩してたらたまたまここを見つけまして」


「そうなのかい?あまり危ないから近づかない方がいいよ?」


「はい!気をつけます!」


よし、上手くごまかせたか? 誤魔化せたよな?

これで納得してくれたようなので早く立ち去ろう。

これ以上突っ込まれる前に俺は逃げるぞ!!

俺はそそくさとその場を後にする。

後ろでは警官の人と話していたが、俺は振り返ることなく自転車の置いた場所から全力で自転車をこいで逃げた。

ちょっと離れたら直ぐにスマホを取り出して近くのネットカフェ、マンガ喫茶を探す。

ふっふっふっ…俺が簡単に諦めるわけないだろう?

俺には秘策があるのだよワトソンくん。

そしてすぐ近くに見つかったので自転車を置いてそのまま入店して席に着く。

そして意識して幽体離脱(仮)をする。

これが俺の狙い。

元々入れないことはある程度察してはいた。

だが、それは警察官が見えてる時だけだ。

なら見えないようになってしまえばいいじゃない作戦だ。

これならさっきまで使えるか分からなかった魔法も使えるしステータスも反映されている。

つまりこっちの方が安心感がある。

………さて、それじゃあ入らせて貰いましょうかね。













侵入、ゲフンゴホン………入ることが出来た。

やっぱり幽体離脱(仮)をすれば見つかるわけがないから簡単に入ることが出来た。

それじゃあ、探していこうか。

嫌な予感の正体を………

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