美しき景色と予想外

看護師さんと病院の人達全員に申し訳なさを覚えた次の日の夜。

とりあえず今日は昼間はおとなしくしていた。

だけど夜、あの状態で魔力を感じられたお陰なのか幽体離脱(仮)をしてない今の状態でも魔力を感じられるようになった。

そして昼間に【魔力操作】のスキルレベルを上げるために体の中にある魔力を操る訓練をしたかったのだが、何かの弾みで魔力を操れきれなくなって昨日みたいなことになったら困るからやめておいた。


そして、また夜がやってきたのだが…


「後は【吸魂】スキルだけか…」


今日の夜は昨夜【魔力操作】でとんでもない失敗をやらかしちゃったからさすがにやる気になれない。

それで残りの使えるかわからない【吸魂】スキルなのだがこれは本当に使い方がわからない。

【吸魂】こいつはまず間違いなく【浮遊】みたいな俺が意識しなくても自動的オートで使われるようなスキルじゃなくて【鑑定】みたいに使うときは意識しなきゃ使えないタイプのスキルだとおもう。

だけど、昨日変わったことがあった。

そう病室が変わったことだ。

何かわからないけど本能的な物なのか今の病室に移されてから病院にある中庭が気になるようになった。

今いる病室は中庭が見える。

前いた病室からだいぶ移動したから前いた病室からは一切見えることのなかった中庭が幽体離脱(仮)の状態なら見えるようになっていた。

そして、この【吸魂】スキルなのだが、問題は俺が魂なんて見たことないっていうのが問題だった。

じゃあ見えるようにすれば良いと簡単に言う奴がいるかもしれないがそれができたら苦労しないんだよな……

でも今はそんなこと言ってられないし、どうせやるなら見えてた方が都合が良いだろう。

というわけで俺は一途の希望をかけて中庭に向かってみることにした。

それで移動してみて気付いたのだが、幽体離脱(仮)の状態だと普通に移動することができるみたいだ。

体の方と線で繋がっているとかはなく本当に自由に動けるみたいだ。

3階から今は1階分降りて2階に来ているのだがこれ以上進めないなどはない。

そして、中庭まで出てきたのだが…


「グヌヌ…何かがいるような気がするけど何も見えない…!」


中庭まで出てきたのは良いのだが何かいるような気はするのだが何も見えなかった。

多分だがこれは感知系などのスキルなとがあればわかるのだろうと思うが、それっぽいスキルを取得したという通知は一切来ていない。

だが、きっと先人達も言っていたはずだスキルがないなら生やしてしまえばいいでないかと。


「ステータス」


------

名前:神山 空

性別:男

年齢:16歳

種族:人間Lv.16/レッサーレイスLv.1

職業:学生


体力:160/240 魔力:110/110

攻撃:26

防御:20

俊敏:36

器用:46

知力:79

幸運:46


所持SP100

魔法スキル:【風魔法Lv.1】【火魔法Lv.1】

取得スキル:【暗記Lv.4】【速読Lv.2】【柔術Lv.1】【鑑定Lv.3】

種族スキル:【魔力操作Lv.2】【魔力増加Lv.1】【浮遊Lv.1】

職業スキル:【知力強化Lv.2】

固有スキル:【吸魂Lv.1】


称号:境界の管理者とコンタクトをとりし者

------


昨日のあの騒動で流してしまっていたが魔法スキルも無事に取得できていた。

だけど今はそこじゃない。

今、俺が注目したいのはスキル欄の上にある所持SPという項目だ。

以前鑑定したときはSPはスキルポイントの略称でこれを消費すればスキルを取得できるらしい。

だけどこのSPも使い方の説明やらが一切なかったからわからないんだよな…

とりあえず俺は半透明のボードに映っているステータスの中の所持SPの所を指でタップする。


取得可能スキル一覧

【剣術】 :10P

【短剣術】:10P

【大剣術】:10P

【槍術】 :10P

【弓術】 :10P

【盾術】 :10P

【斧術】 :10P

【水魔法】:30P

【土魔法】:30P

【光魔法】:50P

【闇魔法】:15P

【気配感知】:10P


どうやら正解だったみたいだ。

所持SPの所をタップしたら取得できるであろうスキルがめちゃくちゃ出てきた。

これも極一部で本当にたくさんのスキルが取得可能みたいだ。

…この中から魂が見えるようなスキルを【鑑定】を使って探すの?

………やばくない?






終わった…とりあえずめちゃくちゃある取得できるスキルの中から最初に名前的に該当するスキルを抜き出して、更にスキルを【鑑定】で見てやっと見つけたよ…

【気配感知】や【魔力感知】とかはめちゃくちゃいい線行ってたんだけど俺が見つけたのはこのスキルだった。


【看破の魔眼】


そう、看破の魔眼だ。

ちなみにスキルの説明はこんな感じだった。


【看破の魔眼Lv.1】

・眼に魔力を集めることで使える。

・罠や隠された物を見つけられるようになる。

・見える物は眼に込める魔力に依存する。

・消費魔力はスキルレベルに依存する。


こんな感じでなかなか使えるスキルだった。

【気配感知】や【魔力感知】のように見ないでも見つけることはできないが【看破の魔眼】なら今回みたいに何かを感じれさえすれば眼に流す魔力を増やすことで【気配感知】や【魔力感知】で見つけられない物を見つけられるかもしれない。

まあ、これでスキル探しが終わったのだが、このスキル、なんと消費するSPが驚きの100P!

【気配感知】が10P、【魔力感知】が20Pなのに対して【看破の魔眼】は100Pと超高額!

これを取得してしまったらSPがすっからかんになってこれ以外のスキルしまうが今回はしょうがない。

それに魔眼に心惹かれるんだ…

それじゃあ、ピッピッと。


【看破の魔眼Lv.1】を取得しますか?

YES/No


もちろんYESっと。


『【看破の魔眼Lv.1】を取得しました』


よし。

これで【看破の魔眼】が使えるようになったはずだけど。

まあ、とりあえず試してみよう。


「【看破の魔眼】」


【看破の魔眼】と宣言すると眼に自動的に魔力が流れて眼に魔力が込められる。

すると次の瞬間には神秘的な光景が広がっていた。


さっきまでは中庭は普通の中庭で月明かりだけが花や木々を照らしていたが、今はそれだけではなく青白く光っている蝶が鱗粉のような光る粉を薄くまきながら空を飛んでいた。


「おおっ!すげぇ!」


思わず声を出してしまったがそれほどまでに綺麗なのだ。

そしてその幻想的で美しい景色の中にいて気づいた。


「………これが魂なのか?」


それらは俺とは違い青白く光っていて俺とはまるで違ったような存在に見えた。

だけど、やっぱり青白く光っている存在が魂なのだろう。

そんなことを思いながらも俺は【看破の魔眼】を使い続けた。

それから数分後、俺は自分の体に異変を感じた。

最初は風邪でも引いたのかと思ったが全然違う。

この幽体離脱(仮)の状態で風邪を引くわけがない。

…まさか…


「ステータス」


------

名前:神山 空

性別:男

年齢:16歳

種族:人間Lv.16/レッサーレイスLv.1

職業:学生


体力:160/240 魔力:43/110

攻撃:26

防御:20

俊敏:36

器用:46

知力:79

幸運:46


所持SP0

魔法スキル:【風魔法Lv.1】【火魔法Lv.1】

取得スキル:【暗記Lv.4】【速読Lv.2】【柔術Lv.1】【鑑定Lv.3】【看破の魔眼Lv.1】

種族スキル:【魔力操作Lv.2】【魔力増加Lv.1】【浮遊Lv.1】

職業スキル:【知力強化Lv.2】

固有スキル:【吸魂Lv.1】


称号:境界の管理者とコンタクトをとりし者

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ステータスを見たところ、魔力が減っていたのだ。

恐らく、というかほぼ確実にだがこの【看破の魔眼】が原因だろう。

【看破の魔眼】は相手の正体を見破ったり隠しているものを見つけることができるスキルだが、魔眼と名付いてる通り魔力を消費するスキルだ。

それで俺はこのスキルを使って魂を見て、その結果、俺は【看破の魔眼】に魔力を流し続けていたから俺の魔力が減り続けていたってことだ。

魔力を消費し続ければ魔力が減るのは当然のことだから、このまま使い続けるといつか魔力がなくなってしまいそうだ。

そうならないためにも俺は【看破の魔眼】の使用をやめた。

それからどのくらい時間が経っただろうか。

正直さっきの景色はもう一回見たいという気持ちはある。

だけど、今回の俺は【吸魂】の実験に来てるんだ。

眠っていないから回復速度は遅いがある程度魔力が回復したのは感じている。

多分これでしばらくはまた【看破の魔眼】を使えるだろう。

あの幻想的な光景を俺が、俺のために崩してしまう。

せめて見ていたかったどうなるのか。


「【看破の魔眼】」


また幻想的な光景が見えるようになる。

そして…


「【吸魂】」


俺が【吸魂】のスキルを発動させた。

そして、次の瞬間さっきまで見えていた幻想的な光景を作っていた要因である魂達が俺に向かって飛んでくる。


「うわっ!」


予想していなかった事態に驚き、つい声が出てしまう。


「……あれ?なんともない?」


何かしらの変化があると思っていたのだが何にも変化が起きない。

どういうことかと考えていたがそんなこと次の瞬間には考える必要もなかくなっていた。


『【吸魂】のスキルを発動しました』

『蝶の魂の吸収を確認。経験値を6、【飛翔】のスキル経験値を獲得』

『蝶の魂の吸収を確認。経験値を6、【飛翔】のスキル経験値を獲得』

『蝶の魂の吸収を確認。経験値を6、【飛翔】のスキル経験値を獲得』

『種族Lv.が上がりました。レッサーレイスLv.2になりました』

「ちょっとm『【飛翔】のスキル経験値が一定値に達しました。【飛翔】スキルを取得しました。取得済みである下位スキル【浮遊Lv.1】を【飛翔】スキルに統合します。』

『完了。【飛翔】のスキルレベルが上がりました』

『蝶の魂の吸収を確認。経験値を6、【飛翔】のスキル経験値を獲得』

『【飛翔】のスキルレベルが上がりました。種族Lv.が上がりました。レッサーレイスLv.3になりました』

「ちょt『蟻の魂の吸収を確認。経験値を2、【怪力】のスキル経験値を獲得』

『蟻の魂の吸収を確認。経験値を2、【怪力】のスキル経験値を獲得』

『蟻の魂の吸収を確認。経験値を2、【怪力】のスキル経験値を獲得』

『蟻の魂の吸収を確認。経験値を2、【怪力】のスキル経験値を獲得』

『蟻の魂の吸収を確認。経験値を2、【怪力】のスキル経験値を獲得』

『【怪力】スキルを取得しました』

「もう止まってくれー!!!」


俺は叫んだ。

叫ばずにはいられなかった。

今起きていることが信じられなかったからだ。

こんなに大量の魂を吸収するなんて思わなかった。

さっきから通知が止まらない。

止まる気配がない。

俺の魂からの叫びが届くことはなく、それからしばらく通知が鳴り止むことはなかった。

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