今日だけ復活。マイナーアニソン友の会

椎名富比路@ツクールゲーム原案コン大賞

『亜空大作戦のテーマ:亜空大作戦スラングル』 なんかゴリゴリだね

 私は、久々に二人きりでカラオケに来ている。


 なにより唱子さんが歌いたい曲があるそうで。


 雷鳴がイントロとか!


「ああ、この曲って、歌える人いたんだ!」


 おそらく、高校生でこのOPを知っている高校生って、私か唱子さんくらいだろう。

 この曲は私たちの中でも、「アニメ本編を知らないが頭に残っているアニソン」トップ3に入る。


「このベースが最高なのですわ!」


 間奏のベース音がたまらない。


「ゴリラ! ゴリラ! ゴリラ!」


 やっぱり、この歌詞はインパクトが強すぎる。


 弾けるようなベース音のかっこよさも相まって、なんか壮大なスケールを思わせた。


 いつ聴いても迷曲であり、名曲である。


 初めて聴いたとき、何事かと思った。


 超絶おかしい歌詞なのに、物語にひどくマッチしていたのを覚えている。

 こういう狂った曲なら、強烈な歌詞でも負けないと思えた。


「この物悲しい弦楽器と勇ましい金管楽器との融合が絶妙ですの」

「間奏が長いのに、全然退屈しない曲ってこれくらいだよね?」

 

 この曲は、アニソンの中でも間奏が長い。

 山本正之曲


「そうですわ。三分くらいの短い曲ですのに、消費カロリーがすごいですわ」


 ゴリラのように、お茶を一気に飲み干す。

 こんなに消耗した唱子さんって、初めて見るかも。


「ああ、ゴリラですわ」


 こんな難しい歌を歌いきり、唱子さんがグッタリとする。

 唱子さんレベルの人でも、歌いこなすのが難しい曲なのだ。


「なんか、ゴリゴリだね」

「今日のわたくしは、ゴリラなんですの。猛獣ですわ!」


 唱子さんが、ドラミングをする。


「このアニメってたしか、ゴリラと何も関係ないんだよね?」

「作詞家の頭を覗いてみたい作品ですわね。やりたい放題が過ぎますわ」


 やりたい放題と言えば。


「そういえば、二人がいないとやりたい放題だよね、唱子さんって」


 実は、はやせくんとリンちゃんと会話しているとき、唱子さんはある程度セーブしている。

 もちろん、私もだ。


「二人には、もっと深く接していただきたいですわね」

「だから、『私たちとは別でデートしてきな』って言っておいたもんね」


 はやせくんとリンちゃんを、二人きりにさせようという配慮だ。

 リンちゃんは、私たちがヒマだとわかると、デートだとしても誘ってきてしまう。

 悪意はなく、単純に優しすぎるのだ。


「わたくしも、優歌さんと二人でデートしたかったですし」 

「デートじゃないけどね」

「つれないところも、優歌さんらしいですわ」


 ゴリラを連呼したからか、唱子さんはチョコバナナパフェを頼んだ。

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