第2話 鎖
携帯に1件の通知
今からうち来て
部屋に入ると君は暗い中で煙草をふかす
「ん、早かったね」
「いつも通りだろ」
部屋に散らばる他の男を匂わせるモノたち
「とりあえず煙草吸っていい?」
「いいよ」
僕達ふたりはかなりのベビースモーカーだ
吸い終わると食事をとる事もなく体を重ね合わせる
揺れるシングルベッドの音だけが響く
君といてわかったことがある
僕達は似たもの同士だ
親にも捨てられ愛がなにか分からない
友達はお互いいる
けれどそれもいつかは途切れる関係
薄く脆く儚い
自分の心のスペースを誰かが侵略するのが怖くて堪らない
本当に誰かから大切だと
必要だと思われたことはあっただろうか
少しずつ僕達はお互いの事を話し、同じような環境で生きてきたこともあり信用できるとほんの少し心の中で思ったのかもしれない
小さい頃から両親ともに異性関係の喧嘩が絶える事なく響いていた怒鳴り声
お前なんか生まれてこなければよかったと
心の奥底にまで刻まれた言葉たち
殴る蹴る、
追い出されるなんて日常茶飯事だった
大人になんてなりたくない
つまらない人間たちだ
そう思っていた僕たちは、きっとそんな大人達の愛を少しでも欲していたのかもしれない
次第に増えていく悪い関係
家に帰らなくなり
煙草と酒をあおりバイクで夜の山道を朝まで走らせる
なんてことのない事で苛立ち
喧嘩を繰り返す毎日
そんな日々が幼少期からずっと続き終わりが見えない
体に無数にある切り傷と墨
馬鹿な人
そう言って優しく撫で一筋の涙を流す君
馬鹿なやつだ
そう言って君の傷にキスをする
互いが息をしている事を確認するように
互いが互いを見ている事を確認するように
僕達は歪な何かに縋りついている
愛し方も愛され方も知らない僕達は歪なこれを愛と呼んだ ましろ。 @tomoki0316
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