ゆめ

 ベラドンナの花は枯れ、一つまた一つ、緑の小さな実を結ぶ。

 世界は輝いていた。あの方の言われた通り、毎日、祭壇に捧げる小さな杯に自身の血を数滴注いだ。あの素晴らしいお方に役立つと思えば、何事も苦にはならなかった。明確な将来をお示しになるだけでなく、役目まで与えて下さったのだ。何と誇らしい事か。

 ベラドンナの実は美しく黒色に熟していく。魅惑的な黒真珠となった実を一つ、食した。──何て、甘いのだろう。

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