いま
あれから、帰りは自然とあの場所に足が向いた。最早ベラドンナを観察することは日課だった。ただ見るだけの時もあれば、社や辺りの掃除を頼まれたり等して、別の事をして過ごす事もあった。友人というものも出来た。遊び人のような見目に反し、結構生真面目な奴だった。同じような大学生で、何年も信仰しているらしい。入信に至る経緯を話す時があれば、
今日は初めて教祖様にお目に掛かれる。今まで用事で空けていたらしい。その事を教えてくれたのも友人だった。
「初めてのお目通りは必ず、一人でじゃなきゃならないんだ」
緊張するか、と尋ねられ素直に頷く。
「大丈夫、お会いすると不思議と落ち着くんだ」
そうして案内されたのは、社に続く道から右に逸れたところにある、白壁の一軒家だった。一階の一番奥の部屋の前まで友人と共に通される。
「此処までだから、」いってらっしゃい、と軽く背中を押された。
静かに部屋に入り、失礼の無いように一礼する。目線を上げた先にいた人物は、初めてお会いしたのに、何処か、懐かしい気がした。そう、まるで母のような──
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます