女王の奇跡
チェシャ猫と愛莉と初めて会った日の、翌日。夜十時の薄暗い路地で、ふたりは早くも再会することになる。
シロと一緒にある建物の塀に寄りかかっていたチェシャ猫とシロに、元気な声が飛んできた。
「やっぱり! あのときのお兄さんだー!」
シロと同時に、チェシャ猫は声の方に顔を向けた。そしてそこに現れた少女の顔を見るなり、チェシャ猫は自分でも驚くほど大きな声を出した。
「は!?」
昨日と同じ制服姿のその少女は、あの女子高生、姫野愛莉だった。
「あんた、あんときの頭の悪いクソガキ」
「そう、愛莉だよ! 覚えててくれたんだ!」
愛莉がぱあっと満面の笑みを咲かせる。隣にいたシロが困惑顔でふたりを交互に見比べた。
「えっ、なになに。知り合い?」
「いや、知り合いっつうか、なんつうか。てか、あんた……」
チェシャ猫はというと、困惑で眉間に皺ができていた。
「なんでこんな……こんな場所に」
なにせ三人が遭遇したこの場所は、夜の歓楽街、その片隅の寂れたラブホテルの前だったのである。
戸惑う彼の反応など気にも止めず、愛莉は勢いよくチェシャ猫に飛びつく。
「また会えて嬉しい! 昨日は連絡先貰えなかったし、それどころか名前も聞いてない!」
「なんだこいつ。教える義理ねえだろ」
「あるよ! 言ったでしょ、あたしお兄さんのこと好きになっちゃったの!」
チェシャ猫の拒絶などものともせず、愛莉は一方的にアプローチした。
「お兄さんを初めて見たときはモサいしダサいし暗そうだなーって思ったの」
「喧嘩なら買うぞ」
「でもそんなお兄さんが、鮮やかにあのお化けを消してくれた。動きに無駄も隙もなく、音もなく、気配もなかった。まるで周辺の空気に溶け込んで、自然の全てがお兄さんの味方になったみたいだった」
愛莉の声が、徐々に蕩けていく。
「そんなギャップずるいよー! 好き! ねえ、今日こそ名前と連絡先教えて!」
「うるせえ、離れろ」
ついにチェシャ猫は、愛莉の額を手のひらで押し退けて自身から引き剥がした。
「大体、あんたみたいなガキがこんな時間にこんな場所……」
チェシャ猫の脳裏に「援助交際」の四文字が浮かぶ。シロも怪訝な顔でチェシャ猫を見た。
「チェシャくん、この子は? 随分と懐かれてるようだけど、まさか君、女子高生をお金で買って……?」
「はあ!? んなわけねえだろ」
チェシャ猫がぶんとシロに顔を向ける。と、今度は愛莉がハッとした。
「あれっ……お兄さん、この男の人とホテルに来てたの?」
「違う! そっちも違う!」
再度チェシャ猫の険しい顔が愛莉に向く。愛莉は顔を覆って下を向いた。
「そんな! 歳上好みだったなんて!」
「そこかよ。て、違うっつってんだろ」
「あたしとは遊びだったのね!」
「あんたともなにもねえだろ」
素早い掛け合いをするふたりを眺め、シロがみるみる軽蔑の面持ちになっていく。
「チェシャくん。君がそんな人だとは思ってなかったよ」
「だっから、違うっつってんだろ!」
チェシャ猫が語気を強く尖らせた。愛莉とシロがぴたりと静かになる。チェシャ猫はそれぞれを一瞥し、数秒黙ったのち、シロに言った。
「こいつは昨日現場で出会ったガキだ。報告しただろ、『一般人に見られた』って」
「そうだったねえ」
シロがのほほんと目を細める。先程までの蔑んだ目つきはどこへやらの穏やかな顔に、チェシャ猫は気色ばんだ。
「あんた、分かってて俺をからかったな?」
続いてチェシャ猫は、愛莉を睨んだ。
「で、女子高生。あんたはなんでこんなところに?」
「バイトの帰り道だよ」
「なんのバイトだ?」
「ファミレスのホール」
愛莉の返事を聞き、チェシャ猫はシロに目配せをしてほっと小さな息をついた。ふたりが連想したような不健全なお小遣い稼ぎではなかったようだ。チェシャ猫は改めて、愛莉に向き直る。
「昨日のあれを覚えてるだろ。トンネルで見たやつ」
「う、うん」
「俺とこの人は今、あれと似たようなやつがここに現れるのを待ち伏せしている。これは仕事だ」
「えっ、ああいう怖いのが来るの? ここに?」
愛莉がそわそわしはじめる。チェシャ猫は眉間の皺をより深く刻んだ。
「あれとは違う。同じ仲間に含まれるけど、全く違う、なんつうか、どう説明したら……」
チェシャ猫が歯切れ悪く話していた、そのときだ。
シロがチェシャ猫のコートの袖を引っ張った。
「来た」
それを合図に、チェシャ猫は口を閉じた。そして静かに身を翻し、塀の角に沿って隠れる。シロも身を引っ込め、ついでに愛莉も真似てチェシャ猫の後ろに続いた。
塀の角から、チェシャ猫とシロはそっと表を覗き込んだ。入口に向かって歩いてくる男女がいる。愛莉も流れに乗って、チェシャ猫とシロの影から同じ男女を注視した。
女の方は、二十代と思われる。胸元の大きく開いた、丈の短いタイトなワンピースを着ており、華やかに巻いた明るい茶髪がよく目を引いた。察するに、風俗嬢である。
その隣を行く男は、三十代から四十代ほどと思われる。やけに痩せた、腫れぼったい目の男だ。地味なスーツに地味なコートを合わせており、顔も大人しそうである。目立つタイプではなさそうだが、連れの女の肩を叩いて陽気に笑っていた。
シロがチェシャ猫に小声で話しかける。
「やっぱり彼、様子がおかしいね。昼と夜で別人みたいだ。昼はもっと死んだ目をしてた」
「仕事とプライベートで態度が変化する人、って感じでもねえな。人格そのものが変わってる」
チェシャ猫も頷き、目を凝らした。
「あの男の職場でひとりが原因不明の高熱で入院、ふたりが原因不明の嘔吐で入院だろ。病魔系のレイシーか?」
「そうかもね。同じ空間に晒されると発病させられるタイプなのか、或いは憑依型が対象者を転々としてるのか。もう少し調べてみよう。今日はこの辺で引き上げて……」
ふたりの不思議なやりとりを聞いていた愛莉は、きょとんと首を傾けた。
「れいしー、って?」
「あんたには関係ない」
チェシャ猫がにべもなく吐き捨てる。愛莉は悔しそうにむくれた。
「なんでよ。あたしばっかりハブるのやめてよ。寂しいじゃん」
「初めからあんたは無関係だろうが」
チェシャ猫は冷たい態度を変えないが、愛莉も引き下がらない。そろそろ帰りたいシロは、苦笑いを浮かべてふたりの言い合いが終わるのを待った。
「お嬢さん、こんな時間にこんな治安の悪いところにいちゃだめだよ。今日はお家まで送……」
と、そのときだ。
「あっ……お、俺はなんで、こんなところに」
例の男女のうち男の方が、ホテルの前で急に立ち止まったのだ。つい先程まで楽しそうに女の肩を叩いていたのに、今はまるで酔いが覚めたかのように真顔で立ち尽くしている。
「俺には妻も息子もいる。冷静に考えたら、こんなの許されるはずがない」
「どうしたのタッちゃん? いつもはそんなこと言わないのに」
女が戸惑いを見せる。男はホテルを見上げ、少しぼうっとして、女に視線を戻した。
「いや、なんか急に理性が……。大体、君、そんなにタイプじゃないし」
「はあ!? そんなわけない!」
途端に、女が声を荒らげた。そして同時に、スカートの裾からぬっと、鎖鎌のような尻尾が伸びる。
「標的の目には、私はこの世の誰より魅力的に映るはずでしょうが!」
「しまった!
シロが無声音で叫んだ。チェシャ猫が舌打ちして、モッズコートに手を突っ込む。ガンホルダーから拳銃を手に取る彼に気づき、シロは慌ててチェシャ猫の腕を掴んだ。引き止められたチェシャ猫は、不服そうにシロを睨む。
「なぜ止める。見誤ったが、結果的にレイシーは文字どおり尻尾を出した。確定だ」
「今あれを撃つのは危険だ。どんな動きをするか分からない。過去の例から近い種類を調べて、研究してから出直した方がいい」
「んなこと言ってられるか。早くしないと、あの男、女に喰われる」
シロの静止を振り切って、チェシャ猫が塀の影から飛び出した。シロと同時に、愛莉も青くなる。
「チェシャくん!」
ホテルの入口前には、捲れ上がったスカートから尻尾を突き出した女と、地面に尻もちをつく男の姿があった。
愛莉の声で、女がぐるんと振り向く。チェシャ猫と目が合った女の顔は、今まで見ていた若い女のそれとはもう違う。くすんだ青みがかった灰色の肌、ぎょろりと膨張した黄色い目の、世にも不気味な姿に変わっている。
「なんだ、そんなところに隠れて聞き耳を立ててたの? やだわあ」
棘の生えた尻尾をビタビタと地面に叩きつけていたかと思うと、突如、そのレイシーはチェシャ猫の方に突進してきた。
「お前から先に喰っテヤル!」
その素早さは、チェシャ猫の想像を遥かに上回った。
チェシャ猫が拳銃を構えるより速く、突風のように突っ込んできたかと思うと、枝のような手指を大きく振りかざす。十センチは優に超えるであろう長い爪は、かわいらしいネイルアートがぼろぼろに砕けて張り付いていた。
鋭い爪の先端が、チェシャ猫の首筋にちくっと突き刺さる。しかし、その腕は首を掻っ切る前に凍ったように動きを止めた。
代わりに、チェシャ猫の腰にぎゅっと締め付けられる感覚があった。
チェシャ猫がちらと、そちらに目をやる。そこにはチェシャ猫の背中に顔をうずめてしがみつく、愛莉がいた。
なにも言わずに、ただ後ろからチェシャ猫を抱きしめている。たったそれだけだ。
それと関連があるのかは謎だったが、女のレイシーは腕を引っ込めて怯んでいる。この隙を突いて、チェシャ猫は拳銃を真っ直ぐ突き出した。
それからはあっという間だった。トシュッと空気を切る音がして、レイシーの眉間に孔が開いた。そこから黒い灰が吹き出し、孔が広がり、タイトなワンピースごと粉になっていく。
十秒も経たないうちに、女の姿は完全に消え失せた。残っていたのは、黒い灰の山と、気を失って寝そべる地味な男だけである。
チェシャ猫は、は、と短い息をついた。
「仕留めた……」
「ね……」
愛莉も同意する。だが彼女は呆然としていて、まだチェシャ猫に腕を巻き付けたまま固まっていた。
「おい、離れろ。べたべたすんな」
「う、うん」
愛莉がおずおずと離れると、チェシャ猫はすぐさま屈んでコートから試験管を取り出した。地面に零れている灰を採集し、蓋をする。
愛莉も隣にしゃがんだ。
「これなに? さっきの女の人はどこに行ったの?」
首を傾げながらも、愛莉は躊躇なく灰に手を伸ばした。チェシャ猫がぎょっと目を剥く。
「おい、素手で触るな。なにが起こるか……」
と、彼は途中で言葉を切った。
愛莉の指に触れた灰が、みるみる消えていく。
「え……?」
塀の影にいたシロも、駆けつけてきて目を疑う。
「灰が消えてる……? なんだこれ、見たことないよ」
愛莉の指先から波紋が広がるように、黒い灰はすうっと透き通っていく。数秒もすると、灰は跡形もなく消えてなくなった。
*
ホテル前から引き上げた彼らは、『和心茶房ありす』へ場所を変えた。愛莉も一緒についてきている。
「たしかに仕留めたけど、流石にちょっと危なっかしいよ」
カウンターに入ったシロは、真っ先に説教を開始した。
「危うく目の前でチェシャくんの首が吹き飛ぶのを見せられるところだった。トラウマ刻まれちゃうよ」
「だってあんなに速いと思わないだろ」
チェシャ猫は愛莉と並んでカウンター席に座り、むすっと拗ねていた。シロは呆れ顔で、チェシャ猫の額に人差し指を突きつける。
「だーかーら! 動きを研究するって言ったんだよ?」
それから彼は、ため息とともに腕を組んだ。
「まあでも、僕の指示に従っていたら、犠牲者がチェシャくんじゃなくてあの男性だったというだけだね。結果としては、犠牲を出さずにレイシーを駆除できたんだから万々歳だね」
「だろ。じゃあいいよな」
「開き直らない。あのレイシーが急に止まったから助かったものの、君、あと少しで死んでたんだよ? そういう自覚は持ってよね」
カウンターを挟んで揉めているふたりの脇で、愛莉はそわそわと店内を見回していた。ウサギや花々のかわいらしい和風な装飾が、店の中を彩っている。こんな店があったとは知らなかった愛莉は、不気味な女などすっかり忘れてこの雰囲気を満喫していた。鼻歌を歌いながら、メニューを手に取る。
「わー、どのメニューもおいしそう。ねえシロちゃん、オススメはどれ?」
「んー、抹茶ラテなんてどうかな。甘くてふわふわで、それでいて抹茶の味わいはしっかりしてるよ」
チェシャ猫を叱っていたシロだったが、愛莉に対しては穏やかな顔をする。愛莉はメニューの中の抹茶ラテを指さした。
「じゃあそれ!」
ほのぼのとしたやりとりを横目に、チェシャ猫は改めて切り出した。
「なあシロさん。俺の感覚が間違ってんのかもしんないが、さっきのレイシー、こいつが俺に飛びついた瞬間怯んだ気がする。そういう事例、前からあるのか?」
「さあ、聞かないね」
カシャカシャと、シロが抹茶を点てる音がする。チェシャ猫は少し、記憶を辿った。
「トンネルにいたレイシーも、こいつを襲おうとしてたわりに、やけに動きが緩慢だった。まるで触れないみたいに……」
「ふうん」
シロは数秒空中を眺め、そして視線を愛莉に戻した。
「お嬢さん。君、名前は?」
「愛莉。姫野愛莉だよ。黒いお兄さんはチェシャくんで、あなたはシロちゃんだよね」
愛莉はチェシャ猫とシロが互いにそう呼び合っていたのを学習していた。シロがにこっと微笑む。
「うん。それでいいよ。時に愛莉ちゃん、君は『レイシー』って知ってる?」
「んーん、知らない」
愛莉がまばたきを繰り返す。分かっていない彼女を一瞥して、チェシャ猫はシロを見上げた。
「おいシロさん。今更だが、こいつにレイシーのこと話す気か?」
「今更だって分かってるんじゃないか。レイシーそのものや駆除の様子まで見せておいて、もはや誤魔化しようがないでしょ」
シロはチェシャ猫と目を合わせず、抹茶ラテを作っている。
「なにより、レイシーがこの子に怯んだり、この子が触れた途端灰が消えたり、気になる点が多い」
「だとしてももう関わるべきじゃない。平たく言うと迷惑だ」
チェシャ猫はドンッとカウンターに手のひらを突いて、椅子から立ち上がった。
「こんな頭の悪そうなガキに必要以上に喋ることないだろ。情報漏らされたらどうする」
チェシャ猫は元々良くない目つきをもっと鋭くして、シロをじっと睨んだ。チェシャ猫に威嚇され、シロは無言で目だけ上げた。手元は抹茶ラテの準備をしている。
愛莉がむっとして口を挟む。
「あたし、情報漏らさないよ! 漏らさないから仲間に入れてよ。あたしもそのレイシー? ってやつの話、知りたい」
「意欲的になってんじゃねえよ、部外者」
チェシャ猫の三白眼が愛莉をぎろっと射抜く。
「今すぐ帰れ。そんで全部忘れろ。昨日も言ったが、このことは絶対に……」
と、チェシャ猫の目の前に、メニューがずいっと突きつけられた。思わず、チェシャ猫は押し黙る。
カウンターの向こうからメニューを突き出して、シロはにっこりと目を細めた。
「チェシャくんも、なにか飲む?」
「……和紅茶を」
シロに静かに気圧され、チェシャ猫はすとんと椅子に着席した。チェシャ猫が大人しくなったのを見届け、シロは機嫌よさげにメニューを元の場所に立てかける。
「チェシャくんを否定するつもりはないよ。僕もね、レイシーを知らずに生きてきた愛莉ちゃんを、こっちの世界に引きずり込むのは気が引ける。でも、こんな中途半端な状態で帰らされても、愛莉ちゃんだって納得できないよ」
決して怒鳴ってはいない。言葉遣いも柔らかい。それなのに、聞く者を逆らわせない圧がある。またもやチェシャ猫は、シロに気圧された。
「でも……」
「愛莉ちゃんには知る権利がある。巻き込む巻き込まないは別として、僕らは事情を説明する義務があるよ」
シロのまろやかな話し方が、漂っている抹茶の香りとやけにマッチしている。
チェシャ猫はしばし無言になり、ちらりと横の愛莉に目をやった。彼女はじっとチェシャ猫を見つめ、なにやらにやにやしている。
シロは泡立てたクリームをカップに載せて、上からチョコレートのシロップをかけた。
「それにさ。この子になんらかの可能性があるんなら、狩人の業界に革命が起こっちゃうかも」
コト、と、愛莉の前に白いカップが置かれた。
ぽってりした茶器に注がれた、抹茶ラテである。愛莉がわあっと歓声を上げた。隣にいたチェシャ猫は、愛莉の嬉しそうな横顔を不服げに見つめる。
なおも不機嫌なチェシャ猫に、シロはくすっと吹き出した。
「チェシャくんは愛莉ちゃんが心配なんだね」
「違う、足を引っ張られるのが迷惑だから」
「でもチェシャくんはさっき、むしろ愛莉ちゃんに命を救われたよね?」
「う……」
チェシャ猫の脳裏に、自身に飛びついた愛莉の体温が呼び起こされる。あの瞬間、レイシーの攻撃が止まった。助けられたのは、紛れもないチェシャ猫自身だ。
言葉を詰まらせた彼に、シロはふっと勝ち誇った目をして和紅茶を差し出した。
「Q.E.D.でいい?」
カチャ、と軽い音がして、チェシャ猫の前に紅茶が置かれる。ほくほくと上ってくる湯気が、チェシャ猫の鼻腔を擽った。
言いくるめられたチェシャ猫の隣では、愛莉が快哉を叫んでいた。
「いえーい! シロちゃんとあたしの勝ちー!」
シロを味方につけられたら敵わない……チェシャ猫は大きなため息とともに項垂れて、しばらく顔を上げなかった。
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