第5話森の世界

不思議なドクロを巻いたシダ科の植物がゆっくりと動き始めた、光を求め地面から顔を出した木の芽にそこに産み付けられた卵から孵化する幼虫達。高く聳え立つ様々な木々の間から振り下ろされる朝日の柔光が森林の地面を目覚めさせる。

“これが森林。森と呼ばれる場所なのか...”

目の前で徐々に変わる生命の数々を見て圧倒する私達。鳥の鳴き声、リスの駆けまわる音、何千の虫の鳴声。全てがこんなに壮大で、不思議と心になじむ。

自分の昔、ずっと見てなかった何かが此処には有った。

“此処は綺麗だ、けど…”

何故だろうか、自分は此処には居てはいけない感じがするのは何故か。そして心をざわつく不安と何処からともなく恐怖を感じるのは。

“キュル?”

“太郎も不安かあ。”

夢にしちゃやけに長い。自分はこれからどうするのだろうか。

“ヒラヒラ...”

何か青く光る物が目の前を横切った。それと同時に心地よい風が辺りを吹く。

まるで青い羽根を纏った天使の如き、美しい蝶が私の前に降り立った。

“アオスジアゲハだきれー…って何をする!?”

こんなに至近距離で蝶を見たのは初めてだ。フワッと鼻をくすぐる花風の清涼感そして清らかな風…かと思ったら急に細長い脚で掴んできた!!

“キュルキュ…(;゚Д゚)”

“タロー!?”

うっかり私を前へ押す太郎。その眼からは:行って来いベイベー!キラリーン☆!そう言ってる…ダロウ。タロウだけに( ノД`)シクシク…。

“分かった。又、何処かで合おう!”

“キュルキュル!”

せっせと離れてくハムの太った姿を見てやれやれと涙をぬぐう私。ありがとう!兄弟!

何故だろう、アオスジアゲハを嫌う動物が結構いるのは…それとも今朝のメガキックに恐れを生したのか(T_T)。

“ヒラヒラ。クルクル……”

頭上をまるでプテラノドン如くワイバーンのように旋回するアオスジアゲハを見て手を上げる。フッ…虫に攫われたぜ!

“ギャーッ!!!!”

ワレを攫ったのはアオスジアゲハ!スピードは時速15キロ位って所か!たかが自転車如きのスピードでは有るが体感上マッハ越えの爆音速!光速だ!

アオスジアゲハは蝶の中でもトップクラスに早い!その足に捕まった私はまさに暴風中心の枯れ葉、目が回る回る!そして木々を超高速で抜けた後目の前に広がったのは野生の世界であった!

顔を上げる二ホンジカに、ピンク色のアカツメクサの群れを映し出す湖の端。風潮の欠片もないこの人の地を離れた場所に私は新たな出会いを感じた!

“カアカア!”

“ヘッ!?( ゚Д゚)”

急に高さが変わった。と思いけやカラスに捕まってるではないか!!!ふざけるな!なぜ山林にカラス!!とその前に何故又攫われたんだ!

“ヒャアァァ!!助けてえ!”

“カアカアー!”

ワレは一体何処へ連れていかれるのやら!困ったゾーイ!

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