第3話 いざ庭脱出!
カラスノエンドウの森林を潜り抜け、アカツメクサの林を渡り、我々はついに庭の端にある柵へ着いた。
美しい反射をするコンクリート壁、中には貝殻や色とりどりに光る水晶体が有る。そして灰色のバックグランドと共にキラキラと反射してる。
“近くで見るとこんなにも違うんだなあ…って何やっとるんだい?”
“キュルキュル!”
ガサゴソ…
土をブルトーザのようにかき回す太郎を見て何だと覗く。これが所謂ハムの天性なのか!?
“キュ??”
暫くして出て来た太郎は目線を感じたのか一瞬固まる。よく見てたら…魂抜けてる!戻ってこーい!
“ブルルル!!!(;゚Д゚)私は何処!?何をしてた!?”
“ウワッ!Σ(・ω・ノ)ノ!”
流石はモフ界の天才、身震いしただけで飼い主が吹っ飛ぶ!
“ゲホゲホ!何やってんだ?ゲホゲホ!”
“キュルキュル!!(^^)!主、生きていたゾーイ!”
すっごく楽しそうに走り回った後、深穴へ消えてゆく太郎を見て恐る恐る入るワレ。
“ガサゴソ…ガサゴソ…”
“ゴツン!Σ(×△☆)”
壁沿いを暫く掘り進み、ふと木の根に突き当たる。そしてハムの姿が消えた!
“アレ!?”
“キュルキュル!('ω')ノ”
そこには早く上がって来いよとコンクリートの隙間から顔を出す太郎の姿が。
“いでよトカゲのカギ縄!”
ヒューンボテッ....(;゚Д゚)
ミスった!まさか自分がこれ程非力だったとは、たかが20センチ…こんなに難しい事なのか!?
“キュー…(?д?)”
“なんかすまないね(;^ω^)”
やはり最後は太郎の力で引っ張り上げてもらった。そしてそのむくっとした顔がブサイクで面白いのは何故だろうか。
“やっと出られた!!”
バサッと言う音と共に地面から顔を出した。周囲には綺麗な緑苔がいっぱい!
美しく水光を反射する柔らかい天然の草原、トゲトゲの葉っぱがまるで花の様に重なる真緑色のコケ一本一本が木々の如き聳え立ち互いを支え合ってこの緑色の草原を作り上げている。
“スナゴケは例え直射日光の当たる少々乾燥した地域にも生えるって本当だったんだね。”
スナゴケはコケの見た目をして割と丈夫な品種で有る。コケと言えば水辺付近のミズゴケや杉苔を思い浮かべる人が多い。けど、こうして近距離でスナゴケを見ていると、いつの間にかコケ本来はこうで有るべきなのじゃないかと妄想してしまいそうで不思議な感覚で有った。
“ブーン!”
ピョンピョン…
ハムも歩けば顔程も有るトビムシがあちこちをウサギのように飛び回っている。コケは例え一見意味のない雑草に見えるが、こう見ていると案外豊かな物だ。
“あれ?紫色の良く跳ねるトビムシと白い跳ねないトビムシが居るぞ…って踏むな~!Σ( ̄□ ̄|||)”
“キュルキュル?…ブヒッ!?Σ(・ω・ノ)ノ”
ハム、知らぬふりをする...
シロトビムシの跳躍器は退化している、ムラサキトビムシやトゲトビムシとは違い地中生活に特化した色素の抜けた個体でもある。ちなみに重さは0.001グラム未満そして太郎の体重は約150グラム以上!うっかり潰されてしまった!Σ(゚д゚lll)ガーン!
しかし安心はできる、この類の生物は一年に三、六世代は生まれこれらの生物を捕食する生物もわんさかいる。いわゆる食物連鎖の原点に近い生物なので
うっかり一二匹減っても大丈夫では有る。
“ガガガガ!!!”
“タン!!?”
とか思っていたら、なんかヤバイもんが来た!
大気を切り裂く謎の黒い物体!爆音を流しながらこっちへ来た!!通る全てのコケは弾かれ、大粒の雑草が地面へと刺さる!
“草刈り機だ!巻き込まれるぞ!!”
キューン!!ε≡≡ヘ( ´Д`)ノ
逃げて逃げて逃げまくれー!!太郎マッハ号は無敵!あっという間に百メートルは逃げた!
“ハアハア!助かったあ!”
“キュルキュル…ゼエゼエ!(T_T)”
流石のハムも疲れた、傍に有った小川から水を少々。プハア!生き返るぜ!(>ー<)
相当ビックリしたのだろう、知らぬ間に家から離れた裏山付近まで着いてしまった!山と家じゃレベルが違う!だと言っても戻ったらもっとピンチ!この姿、人に見つかってはいけない!ならば簡単...
“よっしゃ!進めえ!ってあれえ…”
“グテー…_(:3」∠)_”
私の前に現れたのは疲れ果てたハムの姿で有った。
“ありがとう。疲れてたんだな…今日はもう休もうぜ。”
仕方ない。今日は、河原の流木の中で夜を過ごす事にしよう。
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