第6話 ラキ、ソラ君にアレをヤってもらいなさい!

───ソラ君に何をお願いしたの! ママ! 私はメールの続きを確認。


「……まさか、もう、恥ずかしいよう。それに何でユメカともメールしてるのよ!……ママ、こんな事頼んでやってもらう事じゃないよ、アオハルかよ!」


「……ユメカちゃんて経験豊富なのね。色々教えてくれたのよ。ママ、もちろんパパと経験あるけど……ふふ、押し倒されちゃってキスされる事、そんな風に言うのね。大丈夫よ、ラキは立ったままの姿勢だから。オプションで顎と指もつけてもらったから。何て言ったかしら? メールに書いてあるでしょう」


───顎と指って何? ママ、バカなのかな。何を言っちゃってるのかな。私は一度深呼吸して、ソラ君からのメールとユメカからのメールを読む。


📩

小百合さん、お待たせ。で、俺に頼み事って何ですか?

俺が出来る事ならなんでもするけど。


📩

ソラ君、パスタ美味しかった? 

ありがとう。あのね、いきなりいいかしら?

ラキにアレして欲しいのよ。ラキ、ずっと憧れてたみたいなの。

好きな男の子にアレして貰うの。名前が出てこなくて……。

女の子を壁に押しつけて、ドンってやるの、何て言ったかしら?


📩

小百合さん、もしかしての事? マジですか?

俺は別に構わないけど……あっ、ちょっと待ってて。

またメールします。


📩

こんにちは。ラキのママ。ユメカです。

ソラ君からメールもらったんです。壁ドン以外にも胸キュン出来るのラキママに教えてって言われたので……。簡単に説明しますね。

バックハグ〈後ろから抱きしめる〉

床ドン〈寝そべって上からドン〉

肩ズン〈肩に頭をもたれかける〉

顎クイ〈手であごをクイッとしてキス〉

頭ツキ〈おでこをつけて触れ合う〉

肘ドン〈より近い壁ドン〉

腕ゴール〈逃げる女の子を腕で遮る〉

指チュウ〈指を唇の間にそえて、キス。擬似キス〉

デコツン〈おでこを軽くつつく〉

足ドン〈手ではなく足で壁をドンとする〉

こんな感じでーす。ソラ君なんでもオッケーだって言ってました。


📩

まぁ、ユメカちゃん。こんにちは。

ご親切にありがとうございます。

どれにしようか迷ってしまうわ。

ちょっと一人で練習してみるわね。

一番胸キュンするのをソラ君に頼もうと思います。


📩

ソラ君へ。小百合です。

ユメカちゃんから色々教えて貰いました。

ちょっとイメージしたんですが、

壁ドンをしてもらったあとで、顎クイ。

顎クイから指チュウでお願いしますm(__)m

テストの最終日、場所は体育館の裏が素敵だと思うの。


📩

小百合さん。了解しました。

十日のテスト終了後、体育館の裏にラキを呼んで

壁ドンからの顎クイ、顎クイからの指チュウですね。

俺、めちゃくちゃ学校楽しみになってきた!

小百合さんのおかげです! 小百合さん最高!



「ママ、何勝手に決めてんのよ! 私の恋愛何だと思ってるの?」

「ラキ、アオハルよ。青春を謳歌しなさい。ユメカちゃんも3ちゃんねるで悪口書いてないで、アオハルすればいいのにね。あっ、みんなそろそろ来る時間だわ」


───みんなって誰? 来るってどういう事?!


 ケイタイを取り戻した私はどっと疲れてしまった。もう食欲もない。

ママのせいで、ネットスラングを知らないママのせいで、明日から学校に行けないじゃん。


「あのあとね、ソラ君に呟くように言われたの。『壁ドン顎クイ指チュウ』ってブツブツいう事じゃないのね。白い鳥さんの事って教えてもらったわ」


 終わった。クラス中に拡散されてたんだね。落ち込む私にママが笑顔で言った。


「ラキがデパート行かないって言ったから、みんなを呼んでおいたの。美月ちゃん、花音ちゃん、ソラ君とユメカちゃん、みんな来たわ。さぁみんなでアオハルしましょう!」

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