第2話 計画通りにいかないとキレる先生

 小学校生活って、担任次第で大半は決まってしまう的なことありませんでしたか?

 特に隣のクラスの先生が20代の先生だったりしたら、その思いはなおさらで、学活の時間に隣の教室から笑い声が聞こえようものなら、もうねぇ。

 こちとら、授業の遅れをカバーするって、国語の授業やってんだよ、てやんでぃ。って気持ちになってました。


 これは私が小学5年生頃の話です。

 担任は50代の女の先生でした。

 この担任(忘れもしないM先生)、今思えばかなりの激情型やったなぁと思います。

 持ち物もね、なんか怖かったんですよ。

 黒板の指し棒に竹の地下茎で作った鞭みたいなものが使われていたり(さっき、画像検索してみたら、「竹」「鞭」で似たものが出てきました!やっぱり鞭やったんや。((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル)

 怒ったら、その指し棒で教卓をピシャっとたたいて、教室を統制していました。

 なんか前触れなく怒るんで怖かったなぁ。


 そんなM先生の理不尽な授業は、よく社会や国語で繰り広げられました。

 ある日のこと、M先生は社会の資料集で「トラクターで収穫前のキャベツをつぶしている農家さん」写真を指して言いました。

「はい、このトラクターに乗っているおじさんに吹き出しをつけるとしたら?」

(今思えば、大喜利みたいな授業だな)


 私達はまじめに考えて、発表しました。

「“せっかく作ったのに悲しいなあ”と言っていると思います!」

「“安くても売りたいなあ”と思っていると思います!」

「“誰かたくさん買ってくれないかなあ”と言うと思います」

 誰もが、前向きな思いを発表するのですが、M先生は納得しない顔で

「はい、他には?」「他には?」

 を繰り返すばかりです。

「潰したくないなあ」「いやだなあ」「次は売れるといいなあ」…

 この時間を早く終わらせたいし、みんな必死こいて発表するのですが、先生はイライラするばかり。万策尽き果てて、教室がしーんとなった時でした。

 M先生は突然

「え?こんなことになったら、農業辞めたくなりませんか?みんなずいぶん我慢強いんややね!もう、先生だって、こんな授業やめたいわ!」

 と教卓にばーん!と教科書を打ち付けて、教室を出て行ってしまいました。


 みんなポカーン、ですよ。文字通りポカーン。

 どうやら、「トラクターで野菜を潰す」→「農業つらい」→「農業やめたい」→「農業の担い手減る」という流れで授業を進めたかったっぽいです。


 そのあと学級委員が職員室にM先生を呼びに行きました。やれやれ。

 私達がこの授業で教わったのは、大人って思ったよりこらえ性がない、ってことだったという…M先生のお話でした。


【おまけ】

 このエピソードを書くために、トラクターでキャベツを潰す画像を検索したのですが、今でも、豊作貧乏、大量廃棄ってあるんですね。40年以上も経っているのに同じことが行われているなんて、なんとかならないものなんでしょうかねぇ

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