第7話

私が小学校1年生の時まだおばあちゃんが元気だったから、歩けなくなる前に、岡山の親戚の所に夏休みお泊まりに1週間くらい行った。

私と弟とお母さんとおばあちゃんと4人で、多分新幹線で行ったと思ったけど、そこはよく覚えてなくて。

でも、岡山市内からちょっと離れていて、駅から歩いてその家に向かう時、道に牛がゆっくりと人に引かれて歩いてたり。

途中の小さい川にひしゃくが置いてあって、冷たい水を飲める。とってものどかな田舎だったのを覚えている。

そこには、おばちゃんとおじちゃんが住んでいて。色々お仕事を教えてもらった。

牛を飼っていて、赤ちゃんが産まれたばかりだった。

でも、沢山牛がいるわけじゃなくて、お母さん牛と赤ちゃんふたりだけだった。

子牛に大根の葉っぱみたいなのをあげたり毎日した。

その親戚の家では、畑もやってるけど、1番はタバコの畑をやっていた。

私はお手伝いが好きだから、畑のお手伝いもさせてもらった。

タバコの葉っぱは、小学校1年生の私の身体の半分よりも長くて、大きさは顔よりも大きかった。

触ると一瞬何かの毛の様な感じだった、葉っぱの茎が少しあるから、それを鉄の長ーい三角の尖った小さな刺すところがついた物に並べていくんだけど、それは、多分2メートルくらいあって、隙間がない様前後ろも間違えない様に順番にして並べたら、茎の所に上から挟んで、その2つの鉄の棒を縛って吊り下げて、外の木の棒で出来た、干す所に、毎日、毎日、カラカラに水分が抜けるまで干すって言ってた。

雨に当たらない様に、夕方になったら作業小屋に片付けて、朝になったら外に出した。

私は、小さかったから、葉っぱを並べる所だけ、お手伝いした。

終わった後は、ヤニで手がベタベタで茶色になって、しばらく取れない。軍手もあったけど大きかったから、やりにくくて、そのままやったからだ。

だから。おじちゃんとおばちゃんの手は、茶色になってた。

タバコの畑の1番奥に、川というか滑り台みたいになってるんだけど、水が流れてる所があって、途中の奥に穴があって、そこは水のカーテンになってて、またひしゃくが置いてある。

畑で水が飲みたい時はそこで、汲んで飲んだ。そこには、あんまり見たことのないシダの葉っぱや、茶色のヒゲみたいなのが、水のカーテンと一緒に水を伝ってたから、その時は小さかったからわからなかったけど、今思い出すと、あれは木や葉っぱの根っこだったんだなっておもった。

次の日は、近くのもう一つの親戚が倉敷に住んでいておばあちゃんとお母さんと弟と歩いて駅まで行った時。

行く道にまた、牛が引かれて歩いてて。

うんちをドンっと、道に落として行ってしまって、それを避けながら、大笑いしたのを覚えてる。

それから、泊まってるおじちゃんとおばちゃんの家のお風呂は外の小屋の五右衛門風呂だったから、弟と緊張して入った。下が熱いから、水の上に浮かんでる木を沈めながら、周りのふちも熱いからって言われて、なるべく真ん中に2人で気をつけながら入ったけど、ちょっと暗いし怖くて直ぐ出たのを思い出す。

朝にはまだ暗いうちにニワトリの鳴き声が聞こえてきた。牛の横にニワトリもいた。トサカがあったからオスだったなぁって思い出す。

そこは、おじちゃんとおばちゃんしかいないって、言ってたんだけど、そのニワトリがなく時に、子供の声が聞こえて、まだ暗いし、布団の中だったから。

その笑い声の子とは会わなかった。

朝起きてからおじちゃんに、聞いても知らないよって言ってたから、ニワトリの声だったのかなって思った。

岡山に行ったのは、その時一度だけだ。

今も、まだひしゃくで水が飲める所はあるのだろうか。

また、いつか行けたらいいな。

そういえば倉敷で人力車に乗ったのも、その旅行だったなとふと、思い出した。




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