小さな運を集めたら…【ロコソラーレ】
無念の敗戦……
「自分たちの五輪は終わった」
涙を流しながら抱き合う選手達。
「もう少し試合がしたかった」
試合後のインタビューで、予選敗退の無念さを涙ながらに語る四人組。
自らのミスで、試合をコントロールできなかった藤澤五月は悔しさを滲ませ、
いつも明るい笑顔を振り撒いていた吉田知那美は、大粒の涙を零し、
正確無比なコントロールが思うように決まらず、唇を噛み締みしめる鈴木夕湖。
ロコ・ソラーレの北京オリンピックは終わった。
彼女たちの一途な夢物語は、目標まであと一歩及ばずに、終わりを告げる。
物語は、ここで終わる筈でした。
しかし……
そこに飛び込んできたのは、ナント準決勝進出決定、のニュース!!
リンドコーチが指を四本立て、ベスト4だ、と伝えると……
「えっ、本当?」
「ウソでしょ」
「本当ですか?」
「えっ?」
「えっ……」
「えっ!」
「きゃぁー」
「ハッハッハ……」
先ほどまでの悔し涙を吹き飛ばして、嬉し涙で抱き合う選手達。
こんなドラマチックな展開、思い浮かびません。
これぞ、スポーツ!
でも……
私は昨日、パソコンで日本-スイス戦だけではなく、勝利数で並ぶ可能性のあるイギリス戦、カナダ戦、韓国戦を、ウインドウ4つに分割して全て観戦していました。仕事中にも関わらず……
日本が劣勢に立たされ、イギリス、カナダ、韓国が優位に試合を進めていた時は、絶望が頭を過ぎりました。このままだと予選敗退になる、と。
ところが日本の敗戦が決定的になった頃、隣のウインドウ、韓国-スウェーデン戦では状況が一転して、韓国の敗戦が濃厚になっていたのです。
日本、カナダ、イギリスが同率で並んだ場合、当該チーム間の対戦成績が1勝1敗で並ぶため、トーナメント進出はDSCの上位2チームに与えられます。
DSCでは、日本がカナダを上回っていると言う情報をキャッチしていたので、このまま韓国が敗れれば…… ムフフな展開。
そんな希望を持って、全力でスウェーデンを応援しました(もちろん仕事中です)
そして韓国敗れる……
だから……
この状況を理解せずに、早々と敗者の弁を述べていたロコ・ソラーレのメンバーが不思議に思えて…… 往生際の悪い私なら全ての条件を整理して、「いやいや、まだ分からないぞ!」と言っていたと思います。
でもそう言う潔いところが、このチームの魅力なのかもしれません。
切り替えの早さ、感情表現の豊さ、何でも言い合える仲間……
最高のチームです。
ラウンドロビンは苦しい試合の連続でした。
シートによって氷の状況が大きく異なる事から、アイスリーディングがうまくいかず、リード、セカンドのセッティングが不十分になり、苦しい状態でフォースに繋げなければならず。フォースの藤澤選手も、とても好調とは言い難い状態で、相手のミスにも助けられ、ギリギリで、勝ち星を拾っていた印象があります。
ライバル国のイギリス、韓国に完敗した時は、これは厳しくなったなぁっと思いました。
最終的に、自力で準決勝進出を決める事は出来ませんでした。
ライバル国の敗戦に救われるという運に恵まれたのは確かです。
でも、運も実力のうち!!
気力、体力、時の運、全てが揃ったとき、勝利の女神は微笑むものなのです。
やっぱり大切なのは運……
以前書いたエピソード、「常呂町って?」、で触れましたが、日本代表決定戦で二連敗して絶体絶命のピンチに追い込まれたとき、こんな言葉を語っていた選手がいました。
「小さな運をたくさん集めていこう」
そう! ロコ・ソラーレは劣勢に追い込まれても落ち込まず、常に前を向いて、小さな運を拾い集めて来たのだと思います。その結果が実を結んで、大きな運を手に入れた……
涙ながらの敗者の弁から、一転しての笑顔!
うれし泣きをしながら、笑い転げる選手達!
とても格好良い姿ではないですが、これぞロコ・ソラーレ、常呂っ子です。
代表決定戦二連敗後に、吉田知那美選手は言いました。
「私達は、格好つけようとしても、格好つかないんだよ。だからさ、思いっきりやろうよ!」
きっと、ここからロコ・ソラーレの本領が発揮される筈。
準決勝進出は、ゴールではなくスタート!
勝敗は、時の運!
まずは今日の準決勝、そして決勝または三位決定戦。
あと二試合、ロコ・ソラーレの試合が観られるという幸せを満喫したいと思います。
そう言えば、今回の状況、ピョンチャン五輪の時と酷似していますね。
あの時も、日本は最終戦でスイスに敗れ、決勝トーナメント進出を逃した……
そう思っていたら、ライバル国のアメリカがスウェーデンに破れた事で、予選を突破しました。
ピョンチャンでは、準決勝で、めがね先輩率いる韓国に敗れて、三位決定戦にまわり、三位決定戦では、イギリス優勢で迎えた最終エンド最後の一投、イギリス、ミュアヘッドのミスで日本は銅メダルを獲得しました。
運は我にあり……?
さて、今回はどんなドラマが?
「私達らしさ、120%で行きたいと思います」と言う鈴木夕湖選手
それこそが、ロコ・ソラーレ一番のストロングポイント。
彼女たちがどんな表情を魅せてくれるのか、楽しみで仕方ありません。
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