自然に生きる人々と文明中毒者たちの悩み
皆さん。
ウォッシュレットのない生活に耐えられますか。
あたしは無理です。
幸いにして聖院内のトイレは「イグアスの滝も真っ青な水量と規模」の滝から採れる水を利用した凶悪なまでの勢いの水洗式でして、ついでに水浴びというか体も水洗いしてくれる優れものなので耐えられました。ただし使う時にスッポンポンになるか、濡れてもいい服で入る必要あるけどな。
NBでも過去の本国におけるパンデミックを踏まえて、地上では日式ウォッシュレットと水に溶けるペーパーは普及しており、無重力環境下でも衛生的に利用できる股間すっきりなシステムが軍民共に広く使われています。
これが文明いうもんやで。未だに旧西暦時代引きずってて水に溶けへんペーパー使ってるとか、フルペーパーレストイレとか普及してない某国とか某国とか、ドアはないわものごっつ仕切りが低いわで大変恥ずかしいトイレが未だに現役な場所もある某国はよう聞いとけよ。
さらに皆さん。マキと飯盒でメシ、炊けますか。いまどき連邦宙兵隊はもちろん、日本の陸上自衛軍でも緊急事態対応訓練以外ではそんなん使いません。
ヤマ屋、つまり社内や軍内の山男に聞いてもですね、今時の好物は飯盒のメシじゃないらしいので娘さんよく聞けよ山男に惚れたらよ。
閑話休題。
で、文明開化してない地域に行って、一体ワシらに何をせえという顔のおっさんどものフリーズ状態を解いてみるとします。
「お父ちゃん、いや社長。これは今からそこの人間連れてきて話して貰います。その方が理解が早い」
『それはええけど、すぐ来てくれるんか?』
「もう来てる。うはは」
で、あたしがタヌキの後ろを指差すと。
「え?え?何やこのお方は?」そら気づけば痴女がいたら誰かてビビるわ。
「いや副社長、いきなり後ろに現れはりましたけどな、さっきお嬢さ…高木取締役が瞬間転送の話をしはりましたやろ。あれ聞いてたら納得も出来ますわ。ただ…その…お姿は…お嬢さん、説明しはった方がよろしいかと。はっはっはっ」
何故に武内さんがクレーゼさんを知ってるかというとですね、上町物流センターに来たら自動的にクレーゼさんに遭遇する事が多いのですね。
あそこは一応領事館敷地と物流センターを分けております。
ですが、肝心の領事館ビルは英国への一括貸付ですけどサブレント可能なようにしてありまして、又貸し契約で一階の大部分をホールディングスと物流センター、つまりユニオンキャリーとフットワークの三社合同事務所としてお貸しております。
物流センター敷地内にも事務所はありますが、あちらは物流現業の管理事務所兼休憩所ロッカー室食堂云々としており、こちらは管理部門や通関事務部門のオフィスとして使っているんですよ。
この状態にするのにアレサンドラさんも貴洋も、それはもう大変にものすっごく嫌がったのですが、ユニオンキャリー側が「双方の領事館と通関手続きするのに効率的デース」と言って合同オフィスにするのを押し切っていたりする訳でございます。従って、貴洋やアレサンドラさんの入退出や事務所内での挙動、おもっきしこちらで監視できていたり。
で、こいつらの監視をしているNB領事館オフィスは四階にあってあたしらの住居(クリス&ジーナ・直・クレーゼ&マリアの部屋がある)もこの階です。
英国領事館は受付一階、ビザ発給などの窓口業務や来客応接コーナーが二階でオフィスや領事公室が三階、で最上階の五階が英国とNBの領事居室と割り振られています。そして、武内さんが一階に来た場合、忙しくないなら四階にも寄るのでクレーゼさんがこっち来てたら自ずと顔を合わせる訳で。
…で。
あたしらが最上階に住んでない理由は「騒音や振動は直上より直下の部屋により強く響く」からです。防音制振構造にはしてあるけど、やはり我々夫婦、領事住居の下に住むべきだと思うのですよ。礼儀的にも人としての配慮の意味でも。
うん、ちょっとでも人の心があると、頭に思い浮かぶはずです。遠慮や配慮という行動の必要性。
…そう、あれの時に出る騒音とか振動を想定するとね!
「ではご紹介しましょう。別の次元の地球で、我が日本国の神社本庁とか、あるいはバチカンみたいな組織の長を務めておられるクレーゼ・ワーズワース・アクエリアス金衣女聖、日本流に言うと女神官長です。ワーズワースの名が入ってる理由は、わたしの義理の妹になるからです。あと、社長はうちの娘の事でこの方を存じておられます」とりあえず皆注目という事で、あたしは席を立ってこっち来いと義妹を誘導します。
『皆も驚いたとは思うが、この方が裸同然なんは、ちゃんとした科学的な理由があるし、ワケを聞いたら納得出来るやろ。クレーゼさん、すんまへんが自己紹介したって頂けますやろか』
「皆様、いきなり現れてさぞや驚かれたかと思い、誠に申し訳ございません。ただいま高木義夫様並びにジーナ義姉様にご紹介を頂きましたクレーゼと申します」
「クレーゼさん、椅子持って来てる?」
「はいお義姉様、これに」18金製純金張りの折り畳み椅子を出してあたしの横に座る。
「で、この方がインドの踊り子みたいな格好をしていたり、わざわざ自前の椅子を持って来た理由なんですが、単純に言うと体温が高いんです。ビニール張りの椅子とか溶けてしまいますから」
「厳密に言うとわたくしの周りが、何かいたしますと大変に熱くなりますの。今は大丈夫ですが、皮が焦げたり布や紙が燃え上がりますと大変でございましょ?」
「せやから皆さん、セクハラしたら絶対あきませんよ。文字通り焼かれますからね!わっはっはっ」
「むぅ…確かになんか、いきなり暑くなった気がしますな。暖房下げますか」武内さんが気を利かせて立ち上がり、壁にある会議室の個別空調温度操作リモコンパネルをいじってくれます。
「で、この方、別の地球から来た言う話をしましたが、実は生身でアークロイヤルみたいに瞬間移動出来るのは、たった今皆様が体験された通りです。あとこの方、人の記憶や考えてる事がわかります。なので、一切の嘘ごまかしができないと思ってください」うん、これ聞いた瞬間に親父以外の野郎共が狼狽するわするわ。お前ら何考えてたっ。
「お義姉様…ちょっとわたくし、困った事がございまして…お腹がすきましたの。お、な、か」
「え、食事のご用意とか必要で?」
「あっちゃー…三田村さんごめん。この人、普通の食事以外に必要なもんがあんねん。で、三田村さん武内さん。えーと、今本社にいる独身または単身の男性で定時上がりで予定入ってなさそうなん、何人くらいおるかな?」
「お義姉様、この場の皆様でも構いませんのよ?」
「やめてマジやめて真剣に未経験者は倒れるからやめて高齢者も多いねんからやめて」
「はっはぁ、何となく分かりましたで。お嬢さん、この方、ゲームに出てくる吸血鬼とかサキュなんとかとかいう類の方ですのか」お、武内さんゲーマーかいな。
(いや、息子のやっとる奴になんかそんなんが出て来ますねん)
「はい武内様。まぁ、そんな所ですわ」
「ちょっと電話を失礼させていただきます。…おい新谷。今詰所に独身組で誰がおる。独身限定でお嬢さんがなんかめっちゃええもんくれるらしいから、該当者はすぐ第1会議室に来い言え!ただし、少し時間かかるらしいから、後の業務予定入ってるやつは来さすなよ。んで、この後大丈夫やったらお前も来い、ええ目できるらしいぞ?…お嬢さんにクレーゼさん…でしたか。こんなもんでよろしいですか」
いやはや、あのDQNどもを上手く動かす言い回しがこうもスパッと出るのは流石ですよ武内さん。
だからこの人を重宝しているのよ。
「OK、めちゃくちゃ上出来ですわ。あと、三田村さん。総務の子にユン◯ル10本くらい冷蔵庫に入ってないか見てもろて。なかったらそこの牛乳マーク行って買うてきて。なるべくええのん買うたってな。絶・対・必・要やから」で、ニヤニヤしながら伝えてやると「何でわざわざあたしが言うのか」を悟ってくれたようです。
「えーと吉井さん、すまん、
そうです、この部屋が今から「上司に風俗をおごってもらえる部下」の状態になると予感してくれたようですよ…。
そして僅か2分で集まる有志5名。おまえらホンっマにこういう時だけは早いなという、ノリと欲望に生きていそうなメンツばかりが集まります。この話をご覧の方の七割はDQNだと認定しそうな連中ですね。
…しかも新谷君と、こないだ揉めた新婚出来婚孕み婚の一才児持ち吉川君。君ら妻帯者やないか!まぁ、あたしもママの店で、何百本もの既婚松茸をこの手で締め上げしばき倒してきたから敢えて止めぬが、みずから離婚の原因を作るなよ〜嫁は怖いで〜?
「みんな、わざわざ来てくれてありがとう。まずはそこに椅子出してるからかけて。で、今からやることは…うちの義理の妹がしてくれる、めっちゃ気持ちええ献血みたいなもんです。血は取りませんがだいたいそんな感じです。なもんでこの後、おめ◯する予定ある人は避けてください」
「ちょ、ジーナさんマジっすか?なんか凄い美人の外人さんですねんけど」
「いや、この機会を逃したらなんか、二度と出来ないことを損した気いするぞ」
「よしわかった。俺はお嬢さんを信じる。期待していた嫁には悪いが今晩はお◯こ抜きや」
「お嬢さんほんま気持ちええんですよね、ぼく
いや、今からリアル
…つか、天の声が言うてます。ほんまにブルーカラーでリア充系の若いDQNが多い会社て、だいたいこんな感じやからと!うん。あたしも社の若い男相手には平気で◯めことかち◯ぽとか言うな、息をするように普通に。
「あとな。あたしは大体何が起きるか知ってるけど、何分にも君らには未経験な話やからな。そこで、まずは最初に一人がどんだけ気持ちええ事になるかを体験してもらうことにしよう。誰か人柱の立候補せぇ…どうする?福原をキャンセルした狭間くんでもええし、嫁にち○ぽ突っ込む予定キャンセルした吉川くんでもええぞ。何ならちゃっちゃと
…ジーナさん相変わらずド直球でえげつない言い方するよなという皆の心の声が響いて来ます。
うん。知っててやってんだよ。普段から君らには微妙にドン引きされるようなキャラ作りしとかねーと、息するように自然にあたしを口説いたりちん○突っ込もうと行動しそうな奴がいるからな。それバレたらあんたらが後で武内さんにしばかれるからな。
「では若い衆。一番最初にやってもらう奴誰や、吉川くんか。君が一番左で、あと順番に座り直してな。そして吉川くんはちょっと目を閉じてリラックスせえ。クレーゼさん、なるべく全吸い避けたってな。でははじめ」言うなり、折り畳み椅子に座った男どもの背後に回り、左端から順に後頭部へパイパイを押し付けていく痴女。
(うわやばい、ちょっと声抑えるわ)
慌てて吉川くんの口をハンカチで塞ぎます。うわぁ、マジにエ◯マグラとかプラグ突っ込んでメスイキした顔しとるがな。
「はいお疲れさん。とりあえずこれ飲んで休み。なんなら横になってええから」
で、ものの2〜3秒で壮絶に吸い尽くされた顔でVサインを出しながら、あたしの差し出したユンケルを一気に開ける犠牲者一号。
まだ、声を発する事はできませんが、その目が、表情が「めっちゃ気持ちええぞ。はよお前らもやってもらえ」と語っております。そのサマに、他の連中も口元にタオルを押し当てたりして自発的に自衛した所で次々と犠牲になってくれます。こういう頭の回転はめっちゃ早いよな、こいつら。
「皆さん、何でこれを皆さんに体験させへんかったか、分かって頂けますやろか」
で、会議室の床に転がって、幸せに満ち満ちた満足げな顔で死にかけている五体のマグロを見ながら、あたし。
「こいつら全員そこそこ体力ある部類でっせ?それでコレやったらワシらが今のんされたら…」
武内さんが青ざめた顔でつぶやきますが、ほかの方々も、今の技が単なる抜き風俗ではなく、マジに生命力を吸い上げられる危険な技だと一瞬に理解できたようで何よりです。
さらにクレーゼさんがみんなの脳内に「お義姉様が申し上げた通りになりましたでしょ?」とダメ押しで語りかけた事で、この全裸に近い着エロ女が単なる痴女どころか「ほんまもん」だと理解したようですね。
ですが…ですが、あたしはおっさんの性欲を舐めておりました。
うちの会社の男どもの欲望を舐めてました。
結果として、目の前で起きた事で、向こうの地球でのクレーゼさんの立ち位置だの「なんで宗教団体の代わりにデカい顔ができるのか」を瞬間で理解したのです。
男の本能で。もう一瞬で。
この人に従うご褒美がコレだと。
コレはそこらの風俗では得られない快楽だと。
嫁に要求してもハナから無理な話だと。
コレを経験するには、この痴女に気に入られる必要があると。
おお神よ。我が社の罪深きエロ猿どもを
なんせ目の前の緑のタヌキすら「今の流れでだいたい理解いたしました。ワシ個人としては、社長並びに取締役方針に従い、クレーゼ様…ですか、そちらへのなんらかのお力添えを可能な限り実現できるよう計る事に全く依存はございません」うん、心読まんでも顔にに本音がモ◯◯ワ新ゴ太字72ポイントで書いてあるわ。
可能ならワシにもやって欲しいと。
可能なら今やってと。
せ◯◯り覚えた子供かお前は。
(武内さん。あたし、なんかとっても間違った事やらかした気いすんねんけど)
(男やから仕方ありまへんて。それに、見てたら結果的に全員やる気満々ですやん。動機めちゃくちゃ不純ですけど、田中部長すらあの物欲しそうな顔でっせ?ワシも人の事は言えまへんけどな、これで男の股間と心が一つになるなら結果オーライでよろしいやないですか)そう、あの数字が友達で、不正支出許すまじな立場の田中さんですら、流石にアレを何とか体験したい、しかし俺の立場上物欲しい様は見せられんと揺らいでいます!頼む田中さん!あんたが欲望に打ち勝ってくれないとあたしは不安なんじゃ!うちの経理、今後大丈夫やろなと!
「まぁ皆さま。提携の話が進めば、嫌が応にもこちらの聖院とはお付き合いさせて頂く事になります。付け加えておきますと…」
「その先はわたくしから申し上げさせていただきます。我が聖院宮本院だけでも金衣がわたくしと娘の二名、実姉になりますが銀衣騎士団長一名の下に、上級女官が常時十名、中級や下級の女官なり騎士を含めますと…入れ替わりはありますが、常に千を越す女官が詰めておりますわ。無論、皆さまのようにわたくしどもに請願に伺う王侯貴族の方々から庶民の皆さままでが日夜お越し頂いておりますので、その方々のお相手をさせて頂く体制がございますが」言うなり、あたしの時計を借りて聖院本宮の威容を皆さんに見せて回るクレーゼさん。
薄着から素っ裸に近いのまで色々な女官連中や、ビキニアーマーな上級騎士の皆様の映像画像を見せたら野郎共の目の色が変わる変わる変わる。
『ジーナお前、何でワシをここに連れて行かんかったんや!』
「おっさん…お父ちゃん。あんた連れて行ってみい、お母さんに絞め殺されるか刺されとるで。あたし流石に家庭崩壊の原因作りたないがな。ねぇ皆さん?」あたしの振りに、ここに通うと江坂のキャバクラや西中新地に入れ込むより更にまずいと皆が気づいたようです。ようやく。やっと。
あ、例の核攻撃のせいで大阪の風俗地帯の地図は少し変わっています。
かろうじて全滅を避けられた西中島南方や、江坂のあたりが今は北新地の代わりになる場所として機能していますからね、こっち。
「いや、これだけ巨大とは…ピラミッドみたいに作ったんやろか…この中にいらっしゃるのは全て女の人ばかりなのですか?」田中部長は流石に、こんなデカい建物を石で築く技術の存在に気づいたようです。ええぞ田中さん。その調子で性欲に負けんといてくれ。
「まぁ、重機や建機に代わる技術はあります。そういう世界ですわ」とクレーゼさんを見ながらあたし。あんま聖院絡みの話題にこれ以上触れんでくれ。エロ尼寺の事実に一喜一憂されたら話が進まんのじゃ。
「まぁ、話を進めましょう。この巨大な石造りの建物を見れば、それなりの文明や文化があちらに存在するのはご理解頂けるかと思います。決して未開野蛮の地ではないので、その点はご安心ください」ウォッシュレットはないけどな…いや、あるにはあるんですけど、ちょっと…その…我々が想像するもんじゃないんですよね…。うん、売春行為の過程とかで色々な用途に使うから。
「わたくしどもは敢えて文明や文化の発展を控えております一面がございますの。そちらで、えーと、インドや昔の中華人民共和国ですか、あとアフリカとかいう場所のように、増えすぎた人々で農作物や掘り出す諸々を必要以上に消費する事で、かえって人々が苦しむようなことを防がせていただいておりました」
「なるほど、敢えて進歩を止めておられたと」
「ですが誤解のないようにお願いさせて頂きたいのですが、わたくしどもは科学それ自体を否定はいたしておりません。むしろ聖院に修学宮を作りまして、各地から知恵あるものが集い、学問を修める事を推奨しております。大地は丸く、そちらでいう太陽の周りを巡って四季を作りますのはわたくしどもでも常識でございます」地動説が一般的で、天文観測が学問として存在すると付け加えてやる。
「アンティキティラ島の機械ていうのがこちらのギリシャで見つかって、これ何やねんいう話になった事あるけど、あれを更に高度にした天文計算機で船走らせたり、会計用の機械式計算機が手作りやけど量産されてる次元です。あと石組みの技術は見ての通りな」
「びせいぶつやきせいちゅう、というのですか。目に見えない細かい生き物が害を為す事も知られておりますわよ」
「つまり…あとは内燃機関と申しまして、何かを燃やして力に変えるものが普及すれば産業革命が起きるレベルの世界という話ですかな、取締役」田中さんはこういうの詳しそうやな。意外と言えば意外か。
「高木取締役、質問がございます」
「はい何でしょう武内部長」わざと畏まって答えます。で、これは重要に思える話をするぞというサインです。
「色々とお話をお伺いしたいところではありますが、今われわれが見たこの件だけでも社外秘にすべき内容ではないかと思えます。はっきり言えば、うちの若いの、結構口が軽いのですが」
「おぉ、確かに言われて見ればそうですねぇ」しれっと答えるあたくし。
「あと、そろそろお時間もよろしい時ではと思いますわ。役員の皆様におかれましては、思いを新たになさった事でしょうし、是非に本件の続きを議論する場を設けて頂けるものと思いますが」
『おお、言われて見ればこんな時間やな。せやな。ジーナ、副社長、是非明日以降なるべく早急にこの話の続きをする場を用意して頂きたいんやが、今日はお開きにしとくか?』
「竹崎副社長、クレーゼ金衣には色々お伺いしたい事もあるかと存じますが、とりあえず我々で質問をまとめた上で、改めて彼女も含めた会議の場を設けるのが上策かと思います」と、田中さん。
「確かに田中君の言う通りやな、あれもこれも聞いては話がこんがらかるかも知れんし」
「では営業と業務の各部門でまとめ上げた質問書の完成をもって次回役員会を開催という事でよろしいでしょうか。高木社長、あの話だけお願いします」
『ああ、武内君のな。副社長。本件の重要性や上町経由でのNBからの高評価を鑑み、武内業務部長を早急に取締役に昇格させたい。NB政府から名指しで感状が届いとるからには、向こうにも、それなりの人材であるいうアピールをしとかなあかんやろ』ちょっと不満そうなタヌキだが、後押ししとこうか。
「竹崎副社長。今後の事業展開を考えると、現業部門の働き次第で結果が大きく変わる話になると思います。出来れば現業出身者の昇格を謳っておく方が現場の士気向上につながるかと」
「私も、武内君の役員就任には賛成です。従来の日本国内の事業とは全く異なる場所での事業展開となれば、我が社開闢以来の本格的な海外業務となりますやろ。相手との渉外能力を含めて、現場の力が大きくものを言う流れは私にも予想できます。副社長の営業成果に応えるためにも社長のご提案は是非に推進したいところでは」おお、田中さん言うやん。
「正直、私も経理部長でなければ、クレーゼ様の世界の文明を見るために志願しておったところですわ。その辺の思いは、私の頭の中を覗いて頂ければお分かりかと」笑いながら自分の頭を指すが、本当にこの人、あの巨瀑宮の構造を見て回りたくてたまらんらしい。「正直、許されるならたまには金勘定以外の仕事もしてみたいというところですかな。あれを見てワクワクせん男はおらんでしょう」
「なるほど。確かに我々は社長のもと、思いを一つにする必要がありますな。昇進の件は承知いたしました。三田村君、稟議できたら回してくれ。推薦の一筆入れとくわ」
「あと高木社長…お父ちゃん。明日、退院して頂きますよ」
と、話がまとまったところで爆弾を落としておきましょう。
流石に皆さんこれには驚きます。
ですが、クレーゼさんを手で指して「大丈夫、この人連れて行くから。事態が事態や、即復帰してもらうで。健康体でな」
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