Dia.7「エイプリルフール」

「新年度あけましておめでとう」

「そんなこと言ってんのほんとこの世にあんたぐらいっすよ」

「喧しいな、折角の新年度に君は何をしていると言うのだ」

「いやあんたが呼んだんでしょ」

「はて」

「はて、じゃあねーんですよ。

 よくこんなになるまでほっときましたね」

「興が乗らなかったのだ」

「ほんとにそんなんで卒業できんすか?」

「できる」

「ほんとに?」

「嘘だ」

「帰りますよ本当に」

「悪かった」

「ほんとに思ってます?」

「嘘だ」

「駄賃代わりに冷蔵庫のビール全部持って帰りますね」

「嘘か」

「いいえ」

「嘘だと言ってくれ」

「一万円」

「千円」

「一万円」

「……五千円」

「よろしい」

「しかしアレだな、エイプリルフールだ」

「そうっすね」

「割と何を言っても許される日だな」

「まあ……、そう、っすね世間的にも」

「『研究室を爆破する』とか書き込んでみるか」

「ド派手に吹き飛びますよ、単位が」

「冗談だが」

「先輩ならやりかねないっすけどね」

「失礼ではないか」

「冗談ですよ」

「そうか」

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