Dia.6「二月十六日(水)十五時三十八分」
「お前モテるよな」
「そんなことはない」
「いやお前こないだチョコでロッカーパンパンにしてたじゃねえか」
「じゃあモテてるのかもしれ痛い教科書の入った鞄で殴るなやめろ」
「言うほど中身入ってねえよ」
「そういえば今日も教科書忘れて田中に吊るし上げられてたな」
「殺すぞ」
「理不尽」
「今はイケメンが何言っても腹立つ時期だからなクソが」
「俺のせいで、お前を傷付けてしまったのか」
「お前マジで殺すぞ」
「理不尽」
「いや今のは確信犯だろうが」
「いやしかしおかしい」
「何が」
「お前も少しぐらいはモテたっていいはずだろう」
「嫌味か?」
「まあ嫌味ででででッ、ではないから耳を引っ張るな」
「分かった、遺言ぐらいは聞いてやろう」
「いや、見てくれも悪くないし割と誰にでも優しいじゃないか」
「あ?」
「一人ぐらい思ってくれている女がいたっておかしくないはずだが」
「いねーだろんなもん」
「いや?」
「?」
「いや、昨日実は聞いたんだが」
「何を」
「いや、お前にチョコを渡しそびれた女がいたという話を」
「え?」
「嘘でさッ、ァァァァ痛い痛い痛いエビ固めはやめてくれ俺の腰はその方向には曲がらないからァァァァッ!!!」
「死ね!! 今すぐ死ね!!! 純情な男子学生の心をッ、心を弄びやがってェェェェェ!!!!!!!!!」
「あだだだだだだダメだってそれほんとにダメだから! ギブ! 俺が悪かった!!!!」
「うるせえェェェェェェェ!!!!!」
「……ァァァァアア…………いでえ…………ひでえよ…………」
「自業自得だろうが」
「冗談のつもりだったんです、よっと。
いでぇ、お前本気で固めたなコレ……」
「お前が悪い」
「事実を並べただけだろう」
「?」
「すいませんでした」
「よろしい、ダッツ三つで許してやろう」
「多くないですか」
「?」
「かしこまりました、すぐに」
「よろしい」
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