Dia.5「馬鹿話」

「なぁー、兄貴」

「なんや愚弟」

「夏ってなんでそんな暑いん」

「太陽が近いからやろ」

「ふーん」

 ……。

 …………。

「兄貴」

「なんや」

「なんで蝉ってあんな喧しいん」

「確か求愛やろ。アレで番を探しとるんやと」

「ほーん」

 ……。

 …………。

 ………………。

「兄貴」

「……なんや」

「俺らってなんで生きてんねやろな」

「よしわかった、とりあえずお前そこに直れや」

「え、なんでなん」

「なんでやないねん。

 俺さっき『課題やるから話しかけんな』言うたよな?」

「言うたっけ」

「言うたしなんならお前返事したわ」

「だから何」

「話しかけんなて言うことやドアホ」

「ごめんごめん」

「なんでちょいと笑てんねん」

「笑てへんわ」

「……まあええわ、ほんまに期日ヤバいからマジで話しかけんなよ」

「分かった分かった」

 ……。

 …………。

 ………………。

 ……………………。

「兄貴」

 ……。

 …………。

「俺彼女できてん」

「なんでこういうときにそういうこと言うん?」

「バリ興味津々やん」

「そら気になるやろ急すぎるわ」

「いやまあ」

「なんやねん」

 ……。

「……嘘なんやけどな」

「歯ァ食いしばれやオイ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る