第12話 敵の動き
メイジーに留守番を頼み、俺と反乱軍は帝国の軍勢とぶつかり合うこととなった。
反乱軍は孤立しているギリアムさんの部隊を救出することを目指し、そして俺はこれ以上風の里が荒らされないよう、帝国には警告をしようと思う。
……できることなら、真正面からぶつかって蹴散らしてやりたいという気持ちがある。しかし、今回は反乱軍も同行している。俺ひとりならいくらでも無茶はできるのだが、それに彼らを巻き込むわけにはいかない。
彼らの仲間の救出を最優先としつつ、帝国の侵攻を防ぐ。
難しいが、それをしっかりこなさなければ……
「そう思い詰めるな、デューイ」
思わず眉間にシワが寄っていたことに気づいたハリスさんがそう声をかけてくれる。
そして、同乗しているもうひとりの人物もそれに続く。
「そうだぞ、デューイ。私たちの目的は同じなんだ。協力して帝国を叩くぞ」
「ああ」
レイチェルだった。
これからとんでもない軍勢を相手にしなければいけないという状況下でありながら、とても落ち着いている。男たちに絡まれた時は、メイジーもいたため実力を発揮できなかっただけのようだな。場数も踏んでいるようだし、実は猛者なのかもしれないな。
……さて、そろそろ本題へ移ろうか。
「それで、作戦はどうするんですか?」
「問題はギリアムたちがどこにいるのか……その場所を特定する必要がある」
「緊急事態発生時に集合するポイントは決めていないんですか?」
「いや、決めてある。……そこにいてくれると助かるんだが」
厄介なのはその場所へたどり着く前に帝国と接触をしていないか。
恐らく、今あの周辺は斥候兵がうろついているだろう。メイジーたちに突っかかっていったのはそういった連中なのかもしれない。
さらに事態を複雑にしているのが……火喰いという男の存在。
なんでも、俺と同じタトゥーが刻まれ、特殊な炎魔法を扱うという。ヤツもまた、俺と同じく聖竜の力を宿しているということか。
だったら、対抗できるのは俺だけだ。
風竜と炎竜。
どこまで戦えるかは分からないが……やれるだけのことはやろう。どのみち、そいつを倒さないと帝国を打ち破ることはできないのだ。
「とにかく、まずは緊急事態発生時に集まることとなっている場所へ向かわせているが……ギリアムたちが無事に到着してくれていることを祈るしかないな」
結局のところ、現段階では運任せの要素が強いか。
しばらく馬車を進めていくと、先頭が突然止まる。
それに合わせて、他の四台の馬車も停車。
「どうしたんだ?」
ハリスさんは御者に尋ねるが……大体のことは察せられた。
「帝国軍です……」
御者の声は小さく震えていた。
「おいおい……まさかもうここまで手を伸ばしてきたのか?」
「い、いくらなんでも早すぎない!?」
動揺するハリスさんとレイチェル。
確かに……連中の動きはまるでこちらの動きを読んでいるかのようだ。偶然か必然か――それによっては、状況がガラリと変わってくる。
――反乱軍の中に、裏切り者がいるかもしれない、と。
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