第14話 義妹とお風呂 その2

「ねえ!早く脱いで入ろうよ!私、さすがにこの格好じゃ風邪引いちゃうよ」


 俺は今、莉緒と二人っきりで脱衣所にいた。

 莉緒はツインテールのリボンを解いてブラジャーのホックを外そうとしていた。


「……あの、莉緒?一回待ってくれよ……」


「待つわけないじゃん!さっきも言ったよね!まさかとは思うけどお兄ちゃん、ここまで来て怖気付いたわけじゃないよね?」


「来たというよりは強制連行だったけどな。自分の意思でいるつもりは毛頭ない」


 俺はジト目で莉緒を見つめて返答した。


「そうだったかな?でも、ここに入った時点で少しくらいは私とお風呂入りたいって気持ちがあったってことでしょ?」


「そんなわけねえだろ!誰が妹と一緒に風呂入りたいと思うんだよ!」


「だって、ここまで来る途中でいくらでも私の手を払って逃げることだって出来たのにしなかった。……つまりはそういうことじゃない?お兄ちゃん?」


 俺の発言と行動の矛盾点を指摘した莉緒がにんまりとした笑みを浮かべていた。

 確かにそうだ。逃げるタイミングはいくらでもあったが、俺には一緒に風呂入りたい気持ちは少なからずあった。

 しかし、変に言い切ってしまったため、ここで一緒に入りたいとは言いづらい。どうすれば前言撤回をして一緒に風呂に入れるか、俺は脳をフル稼働させた。


「……莉緒、さっきはあんなこと言ったけど、やっぱり一緒に入らないか……?」


 変に誤魔化すことなく、俺は自分の気持ちを素直に伝えた。


「お兄ちゃん……」


 莉緒は少し涙ぐんだ表情を見せた、が次の瞬間……。


「もーう!入りたいなら最初からそう言えばいいのに!どうしてお兄ちゃんはそんなにツンデレなのかな!そのツンデレは元々は私のものだったのに!ほんとに可愛いんだから!」


 莉緒が嬉しさを爆発させて俺に抱き着いた。


「その格好で抱き着くには色々とまずいって!」


 今の莉緒は下着のみ。つまり布切れ一枚を身に付けた状態。今まで感じたことの無い感触が俺の身体中に駆け巡った。


「別に気にすることないじゃん。服着てるか着てないかだけだよ?それとも全裸で抱き着いて欲しかった?それなら待っててね、今脱いじゃうから」


「分かったから!脱いだら早く風呂入るぞ!入ったら何したっていいから!」


 俺もさっさと服を脱ぎ、莉緒と風呂に入った。


「入ったのはいいけど、どうする?」


「そうだね~、お兄ちゃん折角だから私の髪洗ってよ」


「いいのか、お前の髪触っても?」


「いいに決まってるじゃん。大好きな金髪綺麗に洗ってね。よろしく」


「ああ、分かった」


 俺はシャワーで莉緒の髪にお湯をかけて、シャンプーを手に取った。


「……なあ、莉緒?」


「どうしたの?」


「お前の髪、どうやって洗えばいいんだ……?」


「え、普通に洗えばいいんじゃないの?」


「普通っていってもな、俺はお前みたいに長い髪じゃないからどういう風に洗えばいいのか分からないんだよ」


「そうだね。最初は頭の方を洗って徐々に髪先に向かって洗っていってもらえばいいのかな。髪先の方は優しく撫でるような感じで洗ってね。痛んじゃうから」


「や、やってみるよ」


 俺は言われた通りに髪を洗い始めた。


「女子って髪洗うのも大変なんだな。風呂の時間が長いのも理解できる」


「私くらいまで伸びると余計に大変なんだよね。でも、どこかの誰かさんがツインテールが好きって言うから切れないしさ。ほんと困っちゃうな」

 

「もしかして、それは俺のことじゃないよな……?」


「さあ?どうでしょうね。自分が一番分かってるんじゃない?」


 莉緒がチラッと俺の方見たから間違いなく俺だろう。


「――ふう……。お疲れ様。お兄ちゃん洗うの上手だったよ」


「そうか?それなら良かったよ」


「じゃあ次は私の番だね。洗ってあげるから前に来て」


「俺はいいよ、身体洗って先に湯船に浸かってろよ」


「嫌だ!私もお兄ちゃんの髪洗うの!」

 

 莉緒が後ろを振り返った。そして腕を前に組み谷間を強調するような態勢を作って俺に色仕掛けをしてきた。


「そんなことしたって洗わせるわけないだろ。早く身体洗え」


 俺は莉緒の胸に視線をやりながらも、ギリギリで言い返すことが出来た。


「ええ~?こんなにおっぱい見せてるのにだめなの?」


「……だめだ」


「今、ちょっとだけ間があったね。興奮してるんでしょ?」


「興奮してねぇよ!俺が見てるだけで興奮なんかするわけがないだろ!」


「見てるだけ……。それなら実際に触らせてあげるよ!」


 そう言うと莉緒は俺に飛びついてきた。


「おい!さっさと離れろよ!俺も頭洗って湯船に浸かりたいんだ!」


「それなら私にやらせた方が早いと思うよ?いつまでもこの状況のままだよ?」


 先程とは全く違う感触が俺の胸に当たっていた。マシュマロのような弾力、そして莉緒の体温がしっかりと伝わってくる。


――――生のおっぱいってこんなに凄いんだ……。


 いや待て、生のおっぱいってなんだ。おっぱいは全部生に決まってるだろ。こんなことを口に出したら間違いなく全世界の女性を敵に回すようになるだろう。


「しょうがねぇな!今回だけだぞ!早く洗ってくれ!」


「やった!お兄ちゃん大好き!」


 俺は「……はあ、」と深いため息を付いて莉緒に任せた。

 そして、髪と身体を洗い終え、俺達はようやく湯船に浸かった。



 

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