第13話 義妹とお風呂 その1

 莉緒と生活を始めて十日が経った日の夜、俺は宿題をやっていた。


――ピロロンッ。


 スマホの通知音が鳴った。見てみると、母さんからLINEが届いた。


『陵矢元気に暮らしてる?莉緒ちゃんとはどう?』


 忘れている人もいると思うが、うちの両親は今新婚旅行中だ。ちなみに行き先を伝えずに出て行った。子供に行き先を伝えずに出掛ける親って頭イカれてるよな。

 そんな母さんの提案で俺は莉緒と二人で生活しているわけだが……。


『二人で上手く生活出来ているよ。莉緒とも前よりは仲良くなったよ』


 俺は事実をそのまま伝えた。しかし、俺と莉緒が恋人になったとは母さんにはまだ言わなかった。言うのは母さん達が戻って来てからでも遅くないだろう。


『それなら良かったわ。そうそう、一応聞いておくわ。莉緒ちゃんには手を出していないわよね?』


 相変わらず勘の鋭い人だ。俺が金髪ツインテを好きなことを含めての判断だろう。


『何言ってんだよ、妹に手を出すわけないだろ』


『そうよね。陵矢のことだから金髪ツインテの莉緒ちゃん欲情して、既にセックスまでしちゃったのかと思ってたわ。莉緒ちゃん可愛いし』


『するわけねぇだろ!何考えてんだ!』


 俺は母さんからの返信に幻滅した。息子に対して「セックス」と送ってくる母親なんて世界探してもいないだろう。しかも、俺がそこまでやると思っている母さんの思考が本当に恐ろしかった。息子のことをもっと信じてくれ。


『冗談よ。相変わらず陵矢は通じないんだから。まあ、私は二人がどんな関係になろうと文句を言うつもりはないわ、徹さんも同じ意見よ』


『じゃあ、仮に俺達が付き合ったとしても文句言わないのか?』


『もちろんよ。私達が結婚して確かに兄妹にはなったわ。けど血が繋がっているわけでもないから、その辺は好きにしていいわよ。後のことは莉緒ちゃんと話して決めなさい。二人で出した答えなら私達は何も言うつもりはないから』


『分かった。母さん達が戻って来た時に伝えるよ。二人も旅行楽しんで』


『はーい。じゃあ陵矢またね。おやすみ』


 何故か知らないうちに俺が莉緒と付き合っても良いと許可が下りた。まさか、母さんの口から「何も文句は言わない」という言葉が出るとは思っていなかった。むしろ反対されると思っていた。

 もう少し問い詰めて話せば良かったかと後悔が残ったが、俺は残っていた宿題を片付けることにした。

 

「クソッ……!勉強に集中できねぇ!」


 どうしても母さんの言葉が脳裏をよぎってしょうがない。


「一旦、風呂にでも入るか……」


 俺は頭と気持ちをリセットするために風呂へと向かった。


「さて、今日はどのきき湯を入れようかな……って……え?」


 俺が脱衣室へのドアを開けると莉緒がいた。いつもなら分からないはずのくびれたウエスト、大きく膨らんだ胸を抑え込むピンク色のブラ、そしてモデルのように綺麗な直線のラインを描く脚。

 つまりだ、今の莉緒は下着だけの状態だ。


「え……?お兄ちゃん……?」


 莉緒はツインテールのリボンを外そうとしたところで止まっていた。

 

「ご、ごめん――!」


 俺は勢いよくドアを閉めた。そして俺は急いで自分の部屋へと逃げた。母さんと話し終えた矢先に俺はとんでもないことをしてしまった。


「莉緒の下着姿、凄かったな……。見れて良かった……」


 自分の部屋に戻った俺は布団に包まり、莉緒の下着姿を見てしまったことに対して反省の情を持たず、逆に興奮してしまっていた。

 ここ最近で自分の感情を縛っていた枷が一気に外れたため、莉緒に対する気持ちもやや暴走気味になっていた。


――バタンッ……!


「お兄ちゃん!妹の下着姿を見て逃げるって一体どういう神経してるのよ!?」


 勢いよくドアが開き莉緒が部屋に入ってきた。俺は慌てて起き上がった。


「い、いや!ドア開けていきなり妹の下着姿が目に入ったら逃げるだろ!……って、おい!なんでお前下着姿なんだよ!」


「だってまだお風呂入ってないもん」


「いや、そういうことじゃねぇよ!せめて部屋に来るなら服着てこいよ!」


「やだよ、めんどくさい」


 下着姿の妹が自分の部屋に押しかけて来るなんてどういう状況だよ……。

 しかも見られている当人はなんか生き生きとしてるし、もう意味が分からない。


「お兄ちゃん、私の身体どう?」


「は……?」


「綺麗な身体してるかどうかって聞いてるの!どうなの!?」


「……え、ああ、綺麗だよ。女性が憧れる身体だと俺は思うぞ」


「ほんとに!?やったあ!」


 飛び跳ねて喜ぶ莉緒、そして飛び跳ねる度に揺れる胸。

 俺はその胸に釘付けだった。


「ちょっと、お兄ちゃん。そんなに私のおっぱいジロジロ見ないでよ」


「み、見てねぇし……」


「嘘だね、明らかに目線が私のおっぱいだったもん」


「それはお前が飛び跳ねるからいけないんだろ!」


「ほら、やっぱり見てた。お兄ちゃんのえっち」


 莉緒は腕で胸を覆い隠して少し照れた表情を見せた。多分、故意でやっていることだと思う。しかし、そこが逆にあざとくて可愛い。


「好きな人のおっぱいを見てて何が悪い!」


 俺はそれに対して、いつも通りに開き直った対応をした。


「別に悪いとは一言も言ってないよ?そんなにお兄ちゃんが私のおっぱいが見たいなら、今から一緒にお風呂入る?」


「――え……?莉緒なんて言った?」


「一緒にお風呂入るって言ったんだけど?嫌だった?」


「嫌とかそういうことではなくてだな……」


「なら問題ないじゃん!脱衣所行くよ!」


「いやいや!ちょっと待てぇぇぇぇ!」


「待ちませーん!お兄ちゃんとお風呂だ!」


 莉緒に無理やり腕を引っ張られて俺は脱衣所に強制連行されるのであった。

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