第24話 双子
僕たちを乗せた車が、八重さんの別荘に到着したのは午後2時だった。
別荘に着くと玄関には、40代ぐらいの女性と僕たちと同い歳くらいのイケメンくんが出迎えていた。
この男が、噂の
「今日からお世話になります」
代表で八重さんが出迎えてくれた女の人に挨拶をすると、僕たちも
「お帰り!一週間はいれるんだろ!今日はこれからどこ行く?」
「
女性がそう言うと、えー、と言いながらも、僕たちの荷物を
「ありがとう」
八重さんは遠慮しながらも、
「
「後で、海にでもいこうぜ」
「そうね!でも海は明日にして、今日は近くの森の家に行きたい。確か動物いたでしょ?」
ナナは
「ああ、ばあちゃん家ね。いるよ、シュートも元気してる。そうだな、連れてくよ」
別荘に入るとすぐに、二階にある部屋に連れて行かれた。部屋は向かい合わせに二つ。ナナと八重さんの部屋と僕とキュウの部屋という風に案内され、それぞれに別れた。
荷物を置いて、また一階に戻る。
下で
それぞれに席について、お礼を言ってコーヒーをご馳走になった。
「オレ、宮本
燿司くんは明らかに僕とキュウにそう聞いた?高校名聞いてわかんの?と思いつつ、答えた。
「谷山高校だけど…」
「…知らんなー、オレ、英明館高校を来年、受験する」
と、燿司は言った。来年って、え?今は中学生っていうこと?15歳?僕らより2コ下ってこと?僕はてっきり同い年と思っててびっくりした。なおさら中学生にしては態度がデカイなと思ってしまう。
それに、英明館高校って、県下でトップ校やん、とも思う。
「ホントにこっちに住むの?」
ナナはびっくりして、そう言った。
「当たり前だろ。ホントは中学から行きたかったけど、中学まではこっちにいろ、って母さんが言うから」
そう言って、晩御飯の支度をしている先ほど出迎えてくれた女性を見る。僕は親子なんだ、と理解した。
女性は由紀子さんと、八重さんやナナから呼ばれていた。
「そうなのよー!ナナさんと同じ高校は無理だから、いろいろ調べて、そこに行くって言ってて」
由紀子さんと呼ばれる女性は、僕たちにそう言った。確かに。ナナたちは、女子高だから、無理だよね。
「でもナナさんにも恋人が出来るだろうから諦めな、って言ってるんだけど」
と、由紀子さんはいきなり確信に触れてくる。
僕たち三人は顔を見合わせるも何も言わなかった。
キュウと八重さんはともかく、僕とナナはそれぞれの本命がいるのに、利害が一致して付き合い出したから。真剣にナナを好きな
そんなことをぼんやりと考えていると、すごい勢いで、
「大変!うちが燃える!」
「どういうことだよ!」
双子?と僕は心の中で思った。
「正確には、隣の家が燃えてて。
「そんなの、消防、呼ぶしかないだろ!」
「ごめんなさい、詳しいことまた連絡するか
ら、しっかり戸締まりしといて」
由紀子さんも出かけながら、僕たちにそう言い、出かけて行った。
大丈夫だといいけど、と僕は思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます