第23話 幼なじみのライバル出現?
どうしてキュウを好きなったのか。
好きになった相手が異性だったら、そう尋ねるだろうか?あなたは人を好きになったことを誰かに告白してその相手に
「どうして好きになったのか」を問われらどう思うだろう。
その疑問は好きという気持ちを理解出来ない、と言われたも同然。同性を好きになる者の根本的な後ろめたさがそこにはある。
わざわざ同性を好きにならなくても、という声が聞こえてきそうで、きっともう二度と自分の気持ちは言えない。それが僕がずっと抱えていた悩みだった。
それが今。僕の周りには、キュウとナナと八重さんという友達が身近な友達になった。
僕はキュウが好きで、キュウは八重さんが好きで、ナナも八重さんが好きで、八重さんは誰を好きかは分からないけど、お互いを好きな理由を疑問に思ったりしない関係。
僕は今が一番、自分に正直に生きている。
僕らの関係は気持ちを隠す必要がないから心地いい。
僕は、キュウが八重さんを好きだ、って聞かなくても分かるし、ナナの八重さんへの想いも分かる。そして僕の気持ちをキュウとナナは知ってくれている。もちろん、どうして?なんて聞かれるはずもない。
それぞれの想い人への気持ちは片思いに近かったけど、それが返って絶妙で、四人が良い関係でいれる理由だった。
「ロクタくん、
僕の目の前に座ってコーヒーを飲んでる八重さんがナナと僕を見ながらそう言った。
ナナが思わず、とたんに咳き込んだ。
「なに、なに。八重、急に何の話よ」
ナナは慌ててそう言う。
「だって、ロクタくんとナナが付き合ってるって
「なんでよー。そんなことないよ」
ナナは八重さんの言葉にそう返した。
「え?ナナちゃんを好きな奴と今から会うの?」
珍しくキュウが勘よく突っ込む。
「そう、だから言っておいたほうがいいと思って。
そうだ、八重さんには僕とナナが付き合ってることになってたんだった。僕はナナの本当の気持ちを知ってるから、すっかり忘れてた。
「なんの話よ、八重」
ナナは頬を赤らめてそう言う。
「だって
「へえ。ナナちゃん、やっぱりモテるね」
キュウがそう言うので、色白なナナの頬が桃のようにピンク色になった。確かにかわいい。
「僕は心配してないよ。ね、ナナ」
僕はそう言いながら、ナナは八重さんを本当に好きだから、と心の中で言った。
「わあ、ロクタ、すごい自信だな」
キュウが茶化すから、さすがに僕も恥ずかしくなった。
「そんなんじゃないだろ」
そう言って赤くなる僕を見て、三人が笑った。
でも今はそんなお互いの本心より、四人でワイワイ出来ることの方が嬉しかった。
片思いのまま、好きな人の傍にいれるのって両想いとは違う幸せがある。
いつまでも大切な仲間でいたいな、と僕は思った。そしてその気持ちは四人の明るい笑顔から、みんな同じ想いなんだ、と感じた。
かけがえのない関係。僕たちは青春の真っ只中だった。
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