第24話 デパ地下大好き
大寒を過ぎ2月に入り節分を過ぎると
いよいよバレンタインデーが来る。
「今年も予定無しか!」
ギリチョコはデパ地下で買う予定
女の子にとっては大イベントなのに
茉穂には予定も無し
「寒い2月が余計寒い。」
「茉穂せんぱーい、私渡辺さん
狙ってますから先輩は狙わないで
くださいね。」
「先輩、私、富山さんですから
チョコはあげないでくださいね。」
毎年、毎年、後輩女子からのお願いアピールが来る。
「アンタらね若さも美貌も
あるんだから、心配する方が
おかしくない?
もうアラサーの私だから誰も
相手しないーって!!」
「何言ってんですか?
先輩はモテてますよ。
だ、か、ら、予防線貼って置かない
とあぶないんですから
まーったく!」
「ハイハイ渡辺と富山ね
了解、了解‼️
ギリはあげるけど
ギリチョコだから。」
「見るからにギリチョコですよ
分かりましたか先輩‼️
誤解されるような物は
やめてくださいよ。」
「分かった分かった❗
ちゃんとギリチョコって言う
よ。」
2月街はバレンタインの色に染まる
茉穂も一人でデパ地下へと向かう
全部ギリ&友チョコ
紙袋いっぱいのチョコの一つも本命
が無いのか恨めしい。
気を取り直し次いでに夜のご飯も買う。
最初中華のホワホワな湯気を見て
小籠包に目が止まる、肉まんあんまん餃子どれもこれも美味しそう
しかしその向こうにはお刺身がー
当然お寿司も並んでる。
イタリアンにコリア、デパ地下はなんとも素晴らしい。
デパ地下を堪能してエスカレーター乗る、結構な大荷物になった、
なんて考えていた時、一組の親子連れが目にはいった。
女の子は彼の腕に抱かれ、母親は
彼の横にいた。
黒のロングコートを羽織
茉穂お気に入りの藍色のシャツを
着こなし、それに金のネックレスが映えて遠くからでも目を引く高身長なイケメン。
そんな親子連れと上下のエスカレーターですれ違う時女の子が言った。
「泰くん、あの時の
お姉ちゃん!!」
ハッとした泰真が振り返る
エスカレーターは人、人、人
しかし腕には晴音を抱いていて動けない。
お正月とは反対になっていた。
今見送るのは茉穂・・
もう茉穂は振り向かなかった
ちょっとショックもあるが泰真とは
縁はない、そう思えてしまった。
何よりも幸せな家族に見えて自分が幸せな家族を壊す厄介な嫌な女に思えて仕方がない。
走りたい、走りたい
エスカレーターを降りると茉穂は小走りで人混みに消えた。
泰真はエスカレーターを降り晴音を
エスカレーターから離れ置くと
また二弾飛びでエスカレーターをかけ上がるが右を見ても左を見ても茉穂は居ない直ぐ携帯を出して連絡しても茉穂は出る事はなかった。
1週間後は2月14日のバレンタイン
「ママ、泰君と結婚しないの?
晴音、泰君がパパだったらいいなー
ママと泰君が結婚したら泰君は
晴音のパパになるんだよねー」
無邪気に話す娘の晴音に桜子(とおこ)
は苦笑いをした。
「晴音ねー、泰くんに会いたいママ
泰君に電話して!」
晴音が泰真を慕っているのは知ってる私も泰真が好きだった、私の気持を知りながら泰真はアメリカ行きを決めていた。
「ゴメン桜子
友達以上の気持ちは無い!」
そう言われた、桜子は泰真と同じ大学へ進もうと決めて猛勉強していたが彼が希望したのはアメリカの有名大学
資金も授業料も半端ない金額
泣く泣く諦めた
それに彼には桜子に対して気持ちは無いと言う。
そして桜子は地元の公立の大学を卒業そして上場企業に就職、同じ会社の上司と結婚、そして子供が出来ない理由で離婚、3年必死で待ち続けた子供を妊娠していたが皮肉にも離婚後に妊娠が発覚。
桜子の離婚妊娠は元バスケ部にも
噂が流れアメリカにいた泰真も知った。その頃から泰真も桜子を気にして多少の支援もしていた。
そして泰真だけじゃないバスケ部の
マドンナだった桜子の子供、晴音の事は皆、気にかけていた。
「ママ、泰君に電話したい。」
晴音はせがむように桜子に言う
「晴音、お正月見たでしょ
泰君は彼女がいるんだよ」
「大丈夫ママ、晴音のお願いなら
泰君は嫌がらないし」
「じゃあ電話するだけね」
桜子は電話を晴音に渡すと泰真の
ラインをアイコンで探して電話を掛けた。
「おー晴音、どうした?
なんかあったか?」
「泰君、あの人と
お正月の彼女と結婚するの?」
「あ、ああそうだな!
まだ分かんないよ!」
「やだ!ママと結婚して!!
晴音のパパになってよー」
「ハハハハハママだってヤダって
言うだろー」
「言わない晴音
泰君がいい!!」
「分かった、分かったアハハハ
忙しくて晴音にも会いにいけないなぁーママは、元気?」
「うん元気だよ。じゃあ、
泰君が忙しいなら
晴音が会いに行くねー
パンケーキ約束したよ。」
「おー、そうだったな
じゃあママとおいで
今度ママが休みの日な!!」
「うん。
いっぱい食べるよ。」
「ハハハハハOKOk」
「ちょっと泰真いいの
あんな事約束して
知らないわよ。
彼女いるんじゃなかった?」
「パンケーキ食うだけだろ
心配要らないって!」
「結婚とか考えてるんじゃない?」
「あと5年はしない。
だから晴音と会ってパンケーキ
食うくらい時間はあるよ。」
「あと5年って?」
「俺あと5年は自由な独身。」
「彼女も合意してるの?」
「合意?してないけど
俺の気持ちは固まってる。」
「泰真、こうと決めたら
譲らないもんね、頑固だしクスクス
じゃあ、泰真が心変わりする
時間もあるって事?」
「そう?じゃないけど
まあな、そう言う事」
「フフフ良かった、じゃあ私とも
遊べるのね」
「勿論、晴音とも
遊べるしな!自由、自由」
そんな約束をした日が今日だった。
晴音を連れ食事をして
マンションで飲み直す予定をしていた
桜子とは仲の良い友人
泊まりと言っても晴音もいるし
2人っきりって事じゃない
だから
変な関係にはならない!
同級生で友達だぞ
それ以外になる理由もない第一
桜子もそんな気もない。
大丈夫だ。
そして夜があけた。
「ぅーサブサブ寒い。」
茉穂は日曜日実家へ呼び出され
久しぶりの愛車(軽)に乗り運転していた。たまに運転しないと運転出来なくなる。
泰真のマンションの前を通過する頃
一台の高級車がマンションから出てきて前を塞いだ。
「チッ!なんだ・・・ょえ!!」
運転していたのは泰真だった
助手席にはあの美女
後部座席にはあのおしゃまなムスメ小さい手が見えた。
奴は茉穂に気付かず楽しく談笑して
いた。
泰真は茉穂が運転する事など知らないのかもしれない、しかもマスクとマフラー 気付か無いのも納得する。
車は駅へと向かっていた
茉穂の実家は駅を通過した所にある
泰真の車は茉穂の前を走る。
茉穂も気になり後をつける、子供が
乗ってるのならチャイルドシート
まで用意したのか?
そこまでやる?
タクシーを呼べば済む話だ
いやいやそれより問題は彼女はお泊まりしたと言う事か?
クリスマスパーティの時見た泰真と
遊びの彼女のように
2人の一夜を想像してしまう。
茉穂の嫉妬妄想は激しい場面に突入、
茉穂は首をブルブルと振る。
泰真が車を回すように泰真について行く、そこまでついて行くか?ストーカーか?と自分に言い聞かせても動き出した嫉妬はメラメラと胸を抉る。
泰真が駅の駐車場に車を止めたようで三人が出て来た、3人は仲良く歩き始め女の子は当然の様に泰真に抱っこをせがみ、ご満悦
「泰真がパパで・・・」
美男美女でどう見ても仲の良い家庭にしか見えない。
バカバカしい、何で私が苦しまなきゃいけない?そう思えて可笑しくなる。
見合いの話は受けよう。
早くこの地獄から解放されたくて仕方がない。
結婚相手が決まれば私に敷かれた
レールに乗っかるだけだ。
そうすればきっと、この変な呪縛から解放される。
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