第21話 なんなのサ

「晴音ー(はるね)、大きくなったなー

ママは何処?」


と泰真が抱き上げた女の子に聞いた。すると


「泰」


親しげに呼ぶ声に、茉穂も泰真も振り向いた先にはゆるふわなブラウン系の長い髪、目はクルリと丸くまつ毛も長い、バッチリと化粧した彼女、スッピンの茉穂とは比べようもない大人美人


「お、桜子(とおこ)元気だったか?

相変わらず美人だな!ハ」


「泰こそ

背が高いしイケメンだからすぐ

晴音が見つけたわよ」

すると向こうから


「泰ー」


そう叫び五六人の男が泰真目指して

かけてきた。

歳の頃は同じようだった。

みんなそれぞれ背が高く泰真とは友達なのだろう。和気あいあい


高身長の彼らには、158センチの茉穂は見えなかったようだった。


「よおー、元気だったか?

相変わらずイケメンだなー」



「おまえらこそ!

今日はなんなんだ全員集合

じゃないか!」


彼らは円になり久しぶりに会った同級会のように茉穂には分からない会話が弾んでいた。

「アハハハハ」と泰真が笑う顔は

初めて見たのかもしれない。


彼らは泰真が心開ける間柄なのだろう。じゃあ私は

もはや部外者な雰囲気、部活で他所の学校な扱い。

そんな茉穂を放ったらかしにして泰真も楽しそうじゃないか。


子供を抱き上げた泰真と横に立つ彼女をみると家族そのものソコに友人集う感じに見える。


「ま、いいか、」


10分、20分、30分経過

まだまだ話は続いている。

子供も退屈するかと思いきや泰真に抱っこされて上機嫌!


神社の焚き火の火の粉をあびながら

1人ぼんやり突っ立って泰真の同級会が終わるのを待つのも時間の無駄なので、自分は自分で楽しむ事にした。


茉穂は泰真に渡す交通安全のお守りと由梨と自分に縁結びの御守りを買って諒香に安産のお守りを買った。


チラと泰真をみると相変わらずの長話をしていた。

なのでもう一回参拝する事にした。

又長い列に並ぶ事もアホらしいので

脇から泰真との縁切りと、今年こそ結婚出来るように祈った。


パンパン

どーぞあのバカヤロウと縁が切れますよーに。

あそこで丸く円になり子供を抱いてるアイツです、縁切り宜しくおねがいします。


それと、今年こそ良縁に恵まれますよーに!来年は嫁に行けますよーに

贅沢言えば背が180越えで顔?は

良いに越したことはないですが

普通でも不細工でもOK.家庭を大事に

してくれる人限定!!

パンパン


去年は近くの神社で泰真と付き合えるようにと祈った。

本当にあの時は大好きで絶対、泰真と結婚したいと思っていた。

泰真は憧れだった、だが、

どうよアレだ、あの👉家族は何なん!!


あの彼女も泰真に惚れている、女の勘が間違い無いと言っている。

泰真も私を放ったらかしにしてるって事は満更でもないのだろう。


今頃、私と来た事を後悔してるに

違いねーな!クソ


すると泰真がキョロキョロし始めた

やっと私を思い出したらしい。


ヴヴヴ 、ヴヴヴ、ヴヴヴ

携帯が震えた。


「茉穂、皆が晩飯食べようって

言ってんだけどどうする?」


は?最初がそれ?

私が何処で何してるのか気にならんのか?茉穂は呆れてしまった。


「行けばー!」

冷たく答える。


「泰くーん、私パンケーキ食べたい」


「おう、パンケーキな

任せろ!晴音」


「な、茉穂どこにいる?」

今更かよ!パンケーキの返事の

後かよ!


「私パンケーキ見たく無い‼️」



「おま、子供に対抗してどーする

久しぶりに会ったんだ茉穂が

折れてくんない?」



「うん、いいよ

おれてあげるよ、茉穂様は

心がひろーい!

楽しんで来なよ!」


「は?」


「おい行くぞー泰真」



「え、ちょ、待てよ」


「いーからいーから」

子供を抱っこしたまま泰真は押されつつ歩かされていた。


「オレ、連れがいるんだよ

待てよ!」



「嘘つけ、誰も居ないじゃん

どこにいるの!無視無視」

そんな会話を聞きながら茉穂は電話を切った。


泰真は、晴音を桜子に渡して

茉穂に連絡したが出ない!


この辺で鈍い泰真もあせる!

急いで車に戻ったが茉穂の姿は無かった。ボンネットの上に交通安全のお守りがポイと置いてあった。


やっとここで茉穂が本気で怒ってると思った。するとLINEが来た。


"もう帰る


アンタのいい加減さには

呆れた。

こんなとこまで連れ出して

今から帰るからご心配なく

あーつまんない初詣だった。

バイバイ"

もう二度と来るかバーカ


泰真はふにゃふにゃとしゃがみ込んだ

「泰、早く行くぞー」

向こうから友人の声が響いた。


「泰くーんパンケーキ

パンケーキー」


そんな声を聞きながら泰真は境内を

走り回り茉穂をさがした。

すると長い参道を歩く茉穂が見えた

真ん中ではなく端を歩いている。


「茉穂ー茉穂ー」

泰真のデカイ声も茉穂には届かない。


「あー足が痛い。」

無理もない茉穂は何もすること無く突っ立っていた。

何かをしながらならそれもアリかもしれないがボーッとボケェっとメンタルもやられる。


バス停何処だろう。

キョロキョロしてアッチか?コッチか?始めて来た土地だからサーッパリわかんね!とキョロキョロ

だいたい方向オンチなのだ!


どーする?

街中にあるのだから交通機関もあるだろう。そう考えながら又歩く。


後ろから「茉穂」と叫びながら泰真が必死の形相で追いかけて来た。


「あれ?どしたん?同級会の

打ち上げは?」



「いや、ゴメン行かない」


「行かない?なんで?」


「・・・だからゴメンて!」


「じゃあバス停何処にあるか

知ってる?どこ?」


茉穂がそう聞いていると後ろからさっきのメンバー2人が走って来て


「泰、どーしたんだよ!」


「あれ?この子か?泰の連れって?」


「クスッ以外だな、泰は桜子みたいな

女が好みと思っていたのにな!」


2人は茉穂を見た。

チャラそうなクラスに一人はいる

目立つ発言をする男子と静かで冷静な判断をする彼。


『いるよな〜こんなコンビ』

と茉穂は思った。

言いたい放題の彼に茉穂は多少イライラした。

「ね、ね、君も行こうよ

俺たち高校の同級なんだ泰はバスケ

やっててさ大学進学で離れちゃったんだよ。

だから久しぶりに会ったんだ


桜子はマネやっててさ、てっきり

桜子と泰がくっつくと思ってたんだけと泰がアメリカ行っちゃったろう

それでペラペラでなペラペラ」


「💢もう、やめろ茉穂には

関係ない話しだ!」

泰真はヤバそうに彼の口を止める。


「あ、悪いコイツ調子者で」

もう1人の男性が茉穂に申し訳なさそうな顔をする。


「まあまあそう言わず

行こうぜ、彼女もね、ね、」

相変わらずのKY


茉穂は丁寧に御遠慮する。

「いえ~

私用がありますから

帰ります、バス停教えて

ください。

泰真は参加で!!」


茉穂がKYな彼にそう伝えてあげた。

彼は嬉しそうにバス停までの道程を説明する。

「え?バスで帰るの?

その坂道を降りてすぐだよ

ほら、あのパン屋さんの前だよ。

駅行きのバスがあるから乗ったら

そして新幹線に乗れば?」

親切にも、引き離そうとしているようにも見える彼に泰真が怒鳴る。


「おい、勝手な事言うな!!

やっと連れ出せたんだ

茉穂、俺も帰るよ

皆には謝って置いてくれ」


お喋りな彼に泰真が言うと彼は


「せっかく久しぶりなんだぞ」

と茉穂を見て言った。


そう言われたら茉穂のせいのような気すらしてしまう。


「いいって、参加してきなよ。

私達なんでもないんだから

そうでしょ。」

プイッと怒り気味に茉穂は呟く

1人で帰るって言ってんだから

構うなよ!ウザ

と言いたいけどグッと耐える。


「そうかぁ!

じゃあ行けるじゃん!」


真ん中センター分けの彼は嬉しそうに叫んだがもう1人のツーブロックの七三分けをした目鼻立ちのハッキリした彼は

「田中、もうヤバイから

誘うな!」


そう言って彼は田中と言う空気読めない奴を促しながら

「じゃあ必ず又帰って来たら連絡しろよ。」


そう言ってKYな彼を引っ張り後戻ろうとする。突然引っ張られた彼は

「お、おい桜子が・・」

と言う彼をもう1人のまともな

彼が睨みつけ、


「お前の気持ちは良くわかるが止めとけ!」

そう言った。


茉穂は

「私を気にせず行けばいいのに

気が引けちゃうじゃん

かと言って一緒に行っても話分からないし、沢山いる人達の中で

一人ってかなり辛いよ!

そんな所に一緒にっていうのか?

アンタは馬鹿か?

私の女友達五六人と酒のめる?

私女子校、思い出話の中にはいれる?」

そう言った。


「ゴメン、茉穂を連れ出したのに

つい懐かしくなってしまった。

いい奴らだから、仲間はずれは

考えて無かった。」

そう言った。


「今の今まで仲間はずれじゃん

アホか!

いいよ

行って来なよ、あの子嬉しそう

だったじゃん。

私達恋人でもないじゃんか!

アンタとの縁切り神様に頼んだし

ムリ!きっと叶えてくださるよ。」



「大丈夫、又近いうちに会うし

その時パンケーキ食べさせるし

え?俺との縁切り」



「ふぅーん又集まるんだ!

そうだよー、アンタとの縁切り!」


「はぁ〜なんでだよ」


「また会うんでしょ」



「ああ、うん。

春に花見したんだその時以来だったし、ちょくちょく会ってるからサ」



「彼女も?」


「うん、勿論」

悪気もなく頷く奴にはもう絶望しかない、KY過ぎる!!


茉穂は疑問に思った、泰真も泰真なら自分も可笑しい!

嫌い嫌いと言いながら泰真といる

しかも奴は女遊びをこよなく愛する癖に私には手を出さない

これってなんなん?

しかも見合いをして結婚すると言う私に、それは嫌だと言う。


なんなん?

お前どー言うつもりだよ。

そう聞いてみたいが



あんましコイツには、関わらないがいいと脳内の右脳左脳が言っている。

連れてきているパートナーも分からんドアホな奴だ苦労することになる


ならば退散退散


コイツから退散!

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