第11話 2人の夜

「真智田様、今日は日本酒を

御用意出来ますが・・」

女将さんが泰真を見て聞いてくる。


「今日はやめときます

彼女もいるので」


「そうですか、今日九州から

珍しいお酒が入ったんですよ。

残念です。

じゃあ又今度御用意しましょう。」


「ああ、ありがとう。」

茉穂は食いついていたイカ焼き

を皿に置いて口からイカの足を

ぴょろぴょろさせながら

「ん、んんっ」

ハンカチでお上品に、お口を抑え

「飲んだら?」

と一言!!


「え、いいの?」

泰真は茉穂の言葉に驚いた様に

聞きかえす。


「うん、どうせタクシーじゃん。」

それを聞いた女将さんは

嬉しそうに


「まあまあ、じゃあ御用意

しましょうね。

お嬢様の方は 梅酒?」

女将さんは何時もの様に聞いて

来る。


茉穂は笑いながら

「いえ、三〇矢サイダーゼロにポッ〇レモンをタップリ入れてお願いします。

ビタミンCとクエン酸は必須ですから~」


「毎回変な注文ですね。

で何味になるのです?」


「C〇🍋こゆ味」



「・・・あ、ーあーね。」


「承知しました、直ぐ

お持ちしますね。」

そう言うとソソクサと嬉し

そうに出ていった。


そんな会話に泰真は疑問を

もたず大好きな日本酒に有頂天

ご機嫌になっていた。



茉穂との食事に満足したのか

一杯のつもりが二杯

・・・二杯が三杯etc

一升瓶がカラ

泰真はとんだ酒豪だったー

酒は進みまくり泰真の腹にはウイスキーも合流、酒タップリ

茉穂の腹には魚介類パンパン


「さあ帰りましょう。」


「おう」

店を出てタクシーに乗って

行き先を告げたまでは泰真は

シッカリしていた。


「着いたよ、着いたよ!」

泰真は爆睡💤


おいぃぃ


「困りましたねー」

歳の頃は60位のタクシーの

生真面目そうな運転手さんは

身長168位、どうするか?悩みだした。

泰真の長ーい身体を見て

フーム、なかなか困ってしまった。

そとからドアを開け運転手さんは抱えようとしたものの

「あたあたあたたたタ」

とよろけてしまった。


仕方なくマンションの中に入り応援団をお願いした。

コンシェルジュさんは警備の人を呼んで泰真を2人がかりで抱えて

泰真の部屋へと向かう。

茉穂は泰真の上着とバックを

持って後を追う。


鍵を開けてもらうと

「あとは宜しく御願いします

警備と言えど中には

はいれません。」



「え、私1人じゃ無理でしょ!」

茉穂はそう言ったが、規則は規則だと言ってサッサッサーとドアを閉めて出ていった。

ポッン

「・・・マジ‼️」


呆然とした茉穂を暗闇から光る目

・・・殺気を感じた。


ゆっくりと振り返るとガタイの良いドーベルマン2匹、ノソリノソリと歩き近寄ってきた。。


「お前、とうとう来たな」

奴らの目はそう言った。

・・・「あ!」


犬は一斉に吠えだした。


オンオンオンオン

「ツ!!ツ!! ツツシッ シーシッ」


茉穂は舌打ちに近い歯音を出し

スリッパをかまえるチッチッチッ

「日本語で吠えろったダロ!!」


犬は茉穂に飛びかかりそうになるが

泰真が犬の足を片方づつ掴む

犬は泰真を「何するんじゃ」

と言う目で一瞬見たが、飼い主には忠実らしい。


しかし泰真は起きる様子は無い。


無意識?

犬もそう思ったのか

はたや諦めたのか泰真の

傍で丸くなった。


泰真が手を離し

「ハ、ハウス」

と泰真が言うと、ドーベルマンは主人ノ言う通りスゴスゴとハウスに帰って行った。


今だ


茉穂は泰真の両手を握りズーズーと

引っ張り何とかリビングまで

来た。

Wwwひとりじゃ無理

そう思いドーベルマンを見る

アレ?。


ドーベルマンはソファーに

座り茉穂を見下して見ている。


「お前らいつの間に?」


ハウスに入って無かったのかよ!

入るフリかよ!


「コラ、手伝え」

茉穂が言うと犬は知らん振り

チッ!


あてにならないな、お前ら犬は犬かよ!


ギラッと振り返るイヌ

当たり前の事言うなとでも言いたそうな顔をしている。


ベッドルームはどこだ?

茉穂はキョロキョロウロウロ



"しょうがねーな、お前"

的な顔をしたドーベルマンは

ハアーなため息をした。


ゆっくりとダルそうに体を起こしドーベルマン1匹がトコトコトコトコ

ガチャガチャガチャガチャ犬立ちをして両手でドアノブを抑え


ドアを器用に開けて毛布を

引っ張り出し泰真の方へ


何時もそうして寝てるのか

泰真の枕元にゴロン

足の間にゴロン

まるまっちまって寝てしまった。


腹一杯食べたけど運動したせいで

「お腹空いたなぁ!」

デカイ泰真を引っ張り回すのは

かなりな体力消耗


「よし!

腹ごしらえでもするか!」


茉穂は腰を上げキッチンに行くとビックリ、デッカーイ冷蔵庫がある。

「こりゃー期待出来る‼️」

せ━━━━のぉo-pun The door



なんてこった

野菜室も冷蔵庫も冷凍庫も

満杯!!


「おぉーっ誰かの手作りらしき

アップルパイ発見‼️」


「うまそーう うまそ!」

茉穂は遠慮なくゴソゴソとアップルパイを引き出しテーブルの上でカット


「おぉーっ、高級そうなコーヒー

発見‼️」

ドリップ式のコーヒーは、有名店のロゴ入り。

コポコポコポいい音⇀

あー良い香り。


「いただきマー!」

アングリ開けた口に視線がささる。

そうテーブルに2匹発見

チャッカリと


「まさかのまさかーの」

椅子の上におちゃんちゃん

見ればゴクン、ゴクンと生唾を飲んでいるヤンケ!


おめーらさっきまで丸まっちまって

寝てたやんけ!


じーっと見る犬、あんぐり開ける茉穂の口、食いにくい、奴らは動く気配無し!!


「食い物だけは蔑ろに

出来ない、分けなきゃ」


泣く泣く仕方なく八等分した2切れを

キッチンペーパーの上に

置こうとしたらパクパクパク

「あ、アレレ早」


べローンべローン

「うわぁー手がベッチョベッチョ」

ドーベルマンは茉穂の手まで

舐め上げた。


うわぁー汚ぇ


茉穂が後ろを向いて手を洗った

すきにテーブルの上の

アップルパイは全て姿を消して

「・・・なんてこったい!」


叫び声も上がらない


「あんたら、なに?1口残そうか

とか考え無いワケ?」


と茉穂はドーベルマンに説教する。

怒りの程は何となく分かったようで黒目をチラチラおよがせている。


パイ生地がボロボロと落ちていて

片ずける羽目になった。


くっそおおぉぉぉ


「八等分した意味 な!!」

茉穂はぶっぶっぶっぶっ

コーヒーも冷めちゃってっし


気を取り直して

またまた冷蔵庫OPEN

上から下へと身体をくねらせ

物色する!


甘いの食いたかった!

草、葉っぱ(野菜類の事)、肉 デカい魚・・・

茉穂のお目当てのスイーツは

ないやんケ


と諦めた頃、泰真のスマホが

ピカピカ


「冷蔵庫にアップルパイ

入れて置いたから

食べてね💗」


꒪Д꒪ヤバ…茉穂は血の気が引いた。

彼女の手作り、しかもキッチンを

許した仲なのか?


このドーベルマンも容認する仲

ってことは?恋人か?

そんな大事な人が作った

アップルパイを食っちまった、作った人物って泰真の愛人か?あのご令嬢が作ったのか?誰が作ったんだ?


「おめーらなら知ってるよナ!!」

とドーベルマンに聞いてみる。


それとも彼女じゃない彼女でもいるのか?


「おめーらなら知ってるよナ!」

ドーベルマンはニヤリッ


モテる男はスイーツまで何時もゲットするのか?スイーツ係のカノジョも

いるんケ?



「兎に角、し、しーらないっと」

茉穂はさっき犬があけたベッドルームから、手頃な掛布団を持って来て泰真に掛けた。


"アップルパイ食ってないけど

食べた感じ?"

サラサラサラとメモにごめんなさい!

私は食べてないけどたべられた

と頭を捻るような反省文


ドーベルマンが完食したけど

イヌのせいばかりじゃない。

アップルパイを、おっぴろげたままの自分も悪い。


茉穂はここでも勉強した。

食い物広げてはならない。

自分の食い物は犬の前では確保しなければ食われる。

飼い主以外のマテは通用しない

馬鹿犬は特に◤◢◤◢注意◤◢◤◢


ドーベルマンのせいにしたいけど

ここは言わない、自分が悪い犬だもん、責任なんて押し付けても

しょうもな!!。


"ごめんなさーい。"

と又付け足した。


「おめーら飼い主様を頼んだ✋」

と2匹の頭をポンポンと叩こうとしたら交わされた!

(おめーら腕を上げたな!!)


2匹も帰れ帰れと後ろ足で砂かけ

ジェスチャー


仲良くしたくない茉穂とドーベルマン


一応コンシェルジュさんに一言頼んで様子を見て貰う事にした。

若い男女が一晩一緒にいたら・・


アイツ酒飲んでるし🐺にならないとも限らない!最初は狙っていたが気が変わった今、茉穂は一線を引く!


茉穂は、テーブルにメモを残し

ドアを閉めた。


近くのコンビニで濃厚プリン

とケーキを買ってタクシーに乗り

自分のワンルームに帰り着く頃には

もう日付も変わろうとしていた。

とりあえず寝るか!


茉穂はベッドの上でクーラーを

ピコピコ

泰真の自動で調節してくれる

ような立派なデカイ、

エアコンじゃない。


「あーあ、実家には

帰れないしなー」


両親は兄夫婦と暮らし、もう違う家族が出来てもうすぐ子供も生まれる。

諒佳となら母親も上手くやってる。


ちょぴっと寂しいけどそれはそれで嬉しい事だ。


さて

お風呂に入って寝るか!!




☀️🌱

日が昇りスッキリとした朝の空気を感じながらのダラダラ寝を堪能してる最中のーぉ遠慮無しの


ピンポンピンポンピンポン

の連打で茉穂は飛び起きた。


「ファー🥱

誰ですか?」


「俺」


のほほんとした脳内が引き締まる。


「ウワッアップルパイの仕返しに

来たか?どーしょー」

泰真の声を聞いた途端バッチリ

目が覚めた。


覗き穴から確認すると黒Tにジーパン、財布をポケットに挟み髪はマッシュウルフの・・真智田泰真

あんな飲んだのに起きれたのか!


覗き穴から見た泰真はイライラしてるのか小刻みに首を揺する

コンコンコン


「えっと・・どーしました?」


「あのな」

むっつりとした声は

不機嫌そのもの、

どーする、こーするもないよね

謝る一択!


「あーごめんなさい

せっかくの彼女の手作りの

アップルパイ食べちゃった

んじゃないけど・・

食べられちゃったんだけど

あ、あたし謝りに行きます

彼女さんの手づくりなんて

知らなかったから・・」



「へ?彼女?」

泰真は呆れながら呟いた

彼女って?誰だ?



「あなたのカノでしょーが

ちょっと待ってて下さい」

茉穂は胸までのチョコレート

ブラウンの髪をクルクルと巻き

リップクリーム塗り塗りで

ドアを開けた。


ションボリ項垂れる茉穂を見て


「おいおいおい

何時もの元気はどうした。

しょぼいの

お前らしくないぞ!!」


「だって、

彼女いたし

アップルパイも凄く上手で

ドーベルマンも納得してるし

だから

もう食事なんか誘わなくて

いいですから、今日は

兎に角彼女さんにあやまりす。

ってか彼女さんに

食べられたの報告したん

ですか?出来たら

言わないでもらえますか?」



「待て待て、どっから彼女情報?

が飛んできた?アップルパイぐらい

冷蔵庫に入ってても

不思議じゃないだろ!」



「ライン見たってゆうか

開けたんじゃなくて

見えた👀オープン画面に」


「は?」

泰真は慌ててLINEを開くと

「冷蔵庫にアップルパイ

入れて置いたから食べてね💗

大河より。」



その文面を茉穂に見せる。

「しかもこれ、茉穂に食べて

貰う為に大河に頼んでおいた

リンゴ屋のアップルパイだ!!

素人っぽくリンゴがゴロゴロ

大人気なんだぞ」



「・・はぁーあぁぁぁぁ」

それ聞いた茉穂はほっとしたが

怒りも湧いてきた!


「きしょーきしょーきしょー

ドーベルマンに私のアップルパイ

食われたってことぉー」


茉穂は足をジタンダしながら

ひとしきり悔しがった。


「一口も食ってないのおーぉぉお」

そりゃあもう誰が見たって

可哀想なくらい茉穂は悔しがり


泰真は呆れた

こんなに食い物に拘る奴見た事ない!



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