第10話 去るもの追いかける



毎朝毎朝、泰真は会社に

入るとビシッと決めたスーツで

颯爽と入ってくる。

毎日違うスーツで、それにつらなう大河も中々負けず劣らずな風貌!

コッチ(大河)も毎日スーツは日替わり、何着もってるねん。


でも


「スーツ似合うなぁ

めっちゃカッコイイ」

と茉穂は自販機の陰から

泰真を見てつぶやいた。


一応諦めてはみたものの

イケメンを見たらゆらいでしまう。

チュッパチャプ〇を

チュパチュパした後ガリガリ

と噛み砕きながら自分の

優柔不断さにあきれるーw

口の中は

ジャリジャリした感触

コレが茉穂のお気に入り。




泰真がふと振り返り

自販機の横を項垂れて

通り過ぎる茉穂を見つけて

何故かハートが


"キュウウーン"


ハッ「ヤッパリ好きなのか?」

胸を抑え歩く泰真を見て

大河も気づいていたのかニヤニヤ


「チッ中坊か?」

と大河は小さく呟いた。






夏、今年も猛暑だ

バスから降りるとアスファルトの

熱気がブォンと押し返して

来る。


茉穂は泰真をすっかり

諦めていた。

恋愛は多少の駆け引きも必要

茉穂の視線を感じなくなった泰真は、茉穂を目で探す様に

なってしまった。



「専務どちらに?」

立ち上がった泰真に部長が

声をかける。50半ばの彼は

貫禄があって角刈り強面ながら

笑顔よろしく優しく見えるが

中々手厳しい。


彼は父親つまり社長の友人でもある。



「えっと・・企画マデ」

泰真はシドロモドロヤベェ


「ああ、じゃあ御一緒しましょう

私も行くとこだったんですよ。」

ニコニコと笑いながら彼は

手を指す。


「あ、アハハいゃあ・・・

あ、ヤッパあとから行くかな~

部長はお先にドーゾ」



「・・・・・」




「・・おい泰真

何かかくしてないか?」

部長は目を開き優しい顔は一転

小さい頃叱られていた

オッサンの顔つきに戻った。


「い・・やマッサカァハハハ」



「何かするとお前

鼻の穴開くからなあ

すぐ分かるんだよ

まあ、俺に隠し事出来ないからな

専務なんだから女子社員に

妙なするんじゃねーぞ

分かったか!」



「も、勿論!デス」

ヤバイ、部長、佐江元拓司は

目付け役として親父が

俺を見張らせている、違う

俺の相談役としてだ!!たてまえは!


名目は色々あるが、ヤッパ見張り役か?俺が帰ってきてから

本社から直ぐ飛んで来た❗


「では、専務失礼しました。」

又ニッコリ頭を下げて

部長は歩きだした。


泰真は直立不動

冷汗がタラタラ流れてきて

スゴスゴと専務室へと

帰るしかない。

チラ部長の去った先を見るドキッ


部長も角から隠れて

チラ見していた。





「今日は企画に行くの

やめとこ。」




泰真はメッセージをいれてメール送信


"今度こそ海鮮"


「シカト」と送り返された。


パソコンを前に泰真は項垂れる。

おかしい、俺が誘えば誰彼構わず

寄って来るはず・・・


もう一度釣り糸を投げる

"海鮮食い放題だゾ"⇀📨送信


「・・・く、食い放題?ってか?」

茉穂は垂らされた餌に

悩んでしまう。


海鮮、エビ、イカ、刺し身〰

食いたい

ムムム(´⌒`)( ¯ ¨̯ ¯ )百面相で

悩む茉穂に


「コラ、仕事しろっ!!」


後ろから佐江元部長が茉穂の

ド頭をコン

イテッ

茉穂は慌てて振り返る


「コラァ

華枝、ボケーッとスンナ」


「ア、アハハ誤解ですってバ!!

部長」

慌てて茉穂は弁解する。


「華枝茉穂、お前の事は

親父さんに頼まれてるんだからな!

しっかり、鍛えあげるからな!!」


部長はデカい目を開いて茉穂を

見据える。

茉穂も多少のプライドがあり

部長に言い返す。


「あ、はいぃ?新人じゃあ

無いですけど、ソコソコ

仕事は出来ると評価は

もらってます。」

茉穂も6年務めている

1年生の面倒も見れる6年生だ。


部長佐江元は茉穂の

口を引っ張りイテテテテ

「生意気な奴ポカッ

イテッ

皆の評価じゃない、俺の評価が

物を言うんだよ!!」



「ブブヒョ

分かりましたから~」イタイ〜


全く泰真と言い華枝といい

俺をなんと思っているんだ

ブッブッ言いながら佐江元部長は

室長の方へと歩いていった。




茉穂は部長登場で

泰真の誘いをポーンと忘れていた。


イライラ、イライラ、イライラ

パソコンの前でスマホを

弄りながら泰真は、茉穂の返事を待っていた。



そんな泰真を見て

明日のスケージュールを確認

しながら大河はニヤニヤ

「釣れなかったか!」

と呟いた。



・・・


退社時間が迫り帰り支度を

する。


「あ !! ゜ㅇ゜ アレェ?

しまった!!」

ポカポカ光る携帯を見て泰真へ

返事するのを忘れていた事を

思い出した。


「ま、いっか!」


茉穂はそう言うと携帯の

全て消去をポチッと押して

バックにポイ


「スーパーでホッケの開き

とミツ〇サイダーゼロを買って帰ろ

甘さ押えた炭酸とホッケ合うよねウマ」

そう一人言を言いながら席を立った。



一方泰真は会議を終えてボー

窓の外を眺めてはボー

まるでと恋煩い


"オレいつから好きになった?"


"アイツはオレを

好きじゃ無かったのか?"


とかバッカ考える。




夕方17時半コーヒー片手に

外を眺めると、スキップしながら

退社する輩を発見‼️


泰真はバババっとコーヒーを置き

上着を掴んで

「ワリィ大河あとは頼む!」

そう言うとエレベーター目掛け

走り出した。


何事かと大河もソコにいた

秘書らは泰真を目で追った。

大河はすかさずビルの下を眺めた。

しばらくするとドタバタドタバタと

走る泰真が信号で止まって

足踏み状態が見えた。


「ん?何やってんだアイツ‼️

運動会か?足踏みーハジメか?」

アハハ

あの子を知ってから笑わせてくれるよ。




「バス停はコッチか?」アッ

泰真は茉穂がバスに乗り込む

所を見つけ猛ダッシュ。


「待て、待て、待て~」

泰真は茉穂に呼び掛けるが

イヤホンをした茉穂には

BT〇のテンポの良い音楽しか

聞こえない。


ティーティティティ ティ ティ

ラーラララララ〇〇BABYー

思わず踊り出しそうだ。

茉穂は体を揺らしながらノリノリで

バスに乗り込もうとした。



そんな茉穂の腕を引っ張り





「オイオイオイィィィ茉穂!!」

と泰真は声をあげる。


何と不機嫌な顔付きで泰真が

現れガシッと腕を捕まえたから茉穂はビックリ


アッと小さい声を上げながら

茉穂はイヤホンを片方づつ

耳から離した。


「専務」


「・・・・・どーしたん?」

茉穂は不思議そうに見上げてくる。

そりゃそうだパリッとしたスーツ

姿で、ハァハァ言いながら

茉穂の前に立って居るのだから・・


茉穂が軽い声をあげバスを降りるとバスは様子見をしていたが茉穂が運転手さんにペコリと頭を下げたので、バスは走りだした。




その後2人は無言だったが

泰真が来たタクシーを止め

「飯行くぞ!」

と一言呟いた。

その言葉に魅力を感じ食い意地の張った茉穂、それに泰真にはもってつけの状態で茉穂は今、超、腹ぺこだった。


タクシーは海屋へ走る。

茉穂も飯と聞けば機嫌も良くなる。




「・・この間は悪かった。」


「え、ああ・・」

気まずそうに首の後ろをかく泰真を

見て、なんだか茉穂も気まづくなる。





お互い余り会話もなく窓の外を見る

接点の無い2人に共通の会話は

無い。

賑わいのある街を抜け

駐車場の広い海屋に着いた。

大河が予約しておいてくれたらしい

海屋の入口には大漁旗の

下で女将が待っていた。


「いらっしゃいませー

おまちしておりましたよ。」


泰真の横にいる

茉穂に気づき "あ"と女将は一声

あげた後、茉穂のニッコリ

とした微笑みを見て


「可愛らしい

お嬢様ですね。」

と泰真に言った後、部屋へ

案内していた。



「お料理はこちらで準備

致しますが宜しいですか?」

女将は茉穂を見て聞いてくる。


ニッコリとした茉穂の顔を見た

泰真は


「うん。よろしく!」

とつぶやいた。


今旬のお刺身がドーン


ヤリイカ、つぶ貝、ウニ

煮魚、焼き魚

茉穂はウホウホ久しぶりのご馳走を見てテンション⤴︎⤴︎⤴上げ上げ

上機嫌









🍓🍓

まさぽんたさん応援何時も

ありがとうございます😭

🍓🍓

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る