第9話 子供8人


それから朝の


専務会社入場の

ワーワきゃあきゃあ の取り巻き

から茉穂の姿は消えた。


「おい、泰真最近

彼女いなくないか?」

大河の言葉に振り返ると

確かに最近見ない。



「・・・」


「社長令嬢とのデートが

バレてたりしてニャニヤ」

大河はおちょくるような

冷やかす様な目をして言った。


「は?社長令嬢?

何処の?」


「確か噂じゃあ二、三、日前の

海屋で見たって話だ。」


「は?は、あれは仕事、取り引き先の社長がどーしても今日話がしたいと言われて仕方なかったンだよ。」


泰真はビックリして

大河を見るが大河は首を

横に振って右肩をポーン

左肩をポーンと両手で

押さえ


「いやいや、それはコッチの

話で噂は違う様に流れてるぞ

しかも相手は社長の娘ってアハハ」


「はああああ

つるっパゲの、お爺さんが何で

娘になんのサ

どーしたら毛がはえてくるんだ?

ハゲたピカピカ地帯なんだぞ

いやいや毛を生やす気もない社長に

娘と呼ぶのは無理やろう。」





「いやいや高級店から専務だけ

出てきたよー

デートよ、相手だれ

ってなって

多分あの人よーあの人

となって適当な相手が

付けられたんじゃ~?

いやぁー根も葉もない噂って

コワイな!」


大河は腕をクロスさせ

大袈裟にブルブルブル

「オレも気をつけよーっと!!」


ガクブル

「そんな噂が・・茉穂にバレたら」


大河はニコニコして

「大丈夫、多分バレてると

思うぞ!

俺の耳まで入ってきてるからな」



「あの日海屋に海鮮食べに

茉穂と行く予定だったんだよ

茉穂には海屋とは言わなかった

けど海産物と言ってたから

大喜びしてたし

しかも俺キャンセルしたのに

社長がその日偶然、偶然、海屋に

予約してるからどーしてもって

社長に引っ張られて仕方なかったんだよ。


まさかだけどサ

茉穂との約束スッポかして

他のやつと行ったなんて

勘違いしてねーよ?な・な!!

だとしたら

ヤバイヤバイ」

縋るような目をして泰真は大河を見るが


「そんなん知るか!ってかサ

お前と彼女デキてんの?」


と大河が聞いてきた時

泰真は少し考えて

「多分付き合ってないから

出来てない!が江戸時代中期は

完璧」


大河は笑いながら

「今の話、出来てないのな?

じゃあ心配ないじゃん。


誰の物でもないなら誰と飯食っても

浮気とかじゃないし心配無いだろ!

理由はある分けだし」


多分、多分、付き合ってないってなんだよクフフ大河は頭の中で笑った。


「お前サー

前世の記憶と重なって

不安定なんだよ

前嫁らしいから浮気って言葉に

反応するのだろ

お前の話じゃあ、お前だいぶ

遊んでいたんだろう?

今更びびんナ


な、な!江戸時代の女って

どんなだった?」


「どんなって・・・わからん!

そんな事、記憶あるか!!

子供の顔すら分からんのに!」



「お前の子供ってまだいたりして

アハハアハハアハハ」



「そんな・・こと、ん?」


泰真は何かおもいついたように

目をクルリとまわして

くちごもった。


「おい茉穂面倒見てくれ」


「え?はぁー」

茉穂は泰真に抱かれた小さな子を見て

絶叫した━━━━━━!

「誰の子ぉ━━━━━━━━よ!」



「しょーがねーだろ

出来ちゃったんだからよー」

目を丸くする茉穂に生まれた

ばかりの子供を渡した。


「そんな顔するな

半分は俺の血が混ざってん

だから、ほら可愛いだろうがー

な、な

なんか茉穂にも似てないか?

お前慣れてるしなー

扱い方上手いじゃん。」


そういうと赤子の頬っぺを

プチっと押した。


「いい加減にしろコノ~種馬

何で母親でも無い私に

似るんだよ!!」

そういうと茉穂は庭にあった棒

で俺を叩き出した。


「これで8人目か!!」

茉穂は寂しそうな顔をしていた、


「あんな男なのに

何で好きなんだろう」

茉穂はポッリと呟いた


子供達が夕暮れになると遊び

から帰ってきた!

全員茉穂の子供じゃない。

そして全員顔が似ていない。

と言う事は少なくとも8人

女が居る。


「わぁー 何処のあかちゃん?」

子供達は当たり前の様に子供を

可愛がる、慣れたもんだ!


全員泰真のオンナの子供

茉穂は自分の子供を作らない

自分の子供を産んだなら

この子達を育てられるのか

わからないからだ。

自分の子が可愛いに決まってる。


泰真もそういう事をしない

茉穂が子供を捨てるような女じゃ

ない事を知っている

もしかして子供が出来たら

それ以上に可愛い

自分の子供を連れて

でて行くかも知れない

それは困るし茉穂が居なくなるのも嫌だ。

泰真はよく茉穂の性格を知っていた。



「はぁークズだ!」

泰真は過去の自分に溜息を

もらす。


ボーっとする泰真に大河は

ギョッとする。


「オイオイオイィー

マジか‼️」


泰真が何も言わなくても

おおよその察しはついた。


「いや夢かもしれない

そんなクソ野郎だったかオレ

だいたいなんだよー

こんなことあるんだろうか?

いやいや

今みたいに憲法も無いから自由

だったんだ。

出来ちまった物は仕方ない説」



大河も「ウーン」とうなる。

「聞いてみるか?

彼女もなんか記憶あるかも

それにその手首の彼女と

オソロのアザ

気になるし

いやぁー不思議な事も

あるもんだなぁ」



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